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09 きれい


 朝、なんとなく、いつもよりも早めのお目覚め。


 兼ねてからの懸念材料って言うと大げさだけど、


 要は、いつも朝ちゅんしているスズメっぽい鳴き声の鳥の姿が見たかったので、


 ちょいと朝の散歩。



 建物から少し離れたお庭の片隅。


 何やら風切音がすごいけど、あれはモノカさん、かな。


 朝練真っ最中、すごい気迫、すごい集中力。


 目を閉じての槍の演舞に、思わず見惚れちゃったよ。


 あれって、凛々しいじゃなくて、カッコいいじゃなくて、もちろん荒々しいでもなくて、


「……きれいだな」


 ぴたりと止まったモノカさんと、目が合っちゃいました。



「朝から、お見苦しいものを……」


 えっと、朝練邪魔しちゃってごめんなさい。



「……きれい、でしたか」


 武術のことは何も分からないですけど、なんだか見惚れちゃいました。



「ありがとう、すごく嬉しいです」


 ?



「大切なものを守るための武術とはいえ、要は相手を傷つけるための技術。 きれいと言っていただけるのは、鍛錬の成果への何よりの褒め言葉かと」


 踊るように空気を切り裂く槍も、よどみなく舞い続ける身体も、もちろんモノカさんの表情も、すごくきれいでしたよ。



「……」


 しまった、言葉が過ぎたのかな。


 モノカさんが真っ赤になってうつむいちゃったよ。



『そこでガバっとハグるべきっ、なのっ』


『婚約したとはいえ、朝っぱらからなんてモノを見せつけてくれるんだ。 朝ごはん前なのにご馳走様すぎるよ』


『頑張って、モノカさんっ』


『がんばれモノカっち、お前がナンバーワンだ』




 この後のことは、描写不可、ですね。


 モノカさんの凄まじい殺気が朝の澄んだ空気を切り裂いた、とだけ言っておきましょうか。



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