06 伴侶
朝、とても素敵な朝食でした。
お料理班の皆さん、ありがとう。
ニケルちゃんたちとは今日でお別れです。
お昼前に、ミスキさんたちが配達魔導車システマの『転送』で送ってくれるそうです。
ニケルちゃんが今回の旅の日程をパパの領主さんと相談した時に、往路か復路かのどちらかは『転送』で送ってもらいなさいと約束したとか。
それでも、ハルシャちゃんと同い年の女の子が三ヶ月も徒歩の旅をしてきたのって、すごいことですよね。
僕もいつか、みんなと一緒に長旅してみたいです。
そのニケルちゃんが、にこにこしながら抱きついてきたよ。
お別れのご挨拶かな。
「カミスお兄さんって、もっといっぱい結婚しても大丈夫?」
どうかな、僕のことをちゃんと好きになってくれた人の気持ちは大事にしたいと思うよ。
「私が大人になったとき、もっといっぱい奥さんが欲しかったらお嫁さんにしてください」
ニケルちゃんがこれから素敵な人たちといっぱい知り合って、それでも僕が一番だったら喜んで。
「ありがとう、カミスお兄さん」
ちゅっ
『カミスお兄さんとコンヤクしてきたよっ』
『やったぁ、これでニケルちゃんがお母さんで、マクラちゃんがお姉さんだっ』
『みんな家族になれたねっ』
ちっちゃな三人がとても楽しそうです。
なんか、アレな言葉が聞こえてきたような気がしないでもないけどヨシッ、なのかな?
「カミスさんは、誠実な方なのですね」
アランさんほどではないですよ、ユイさん。
「いいえ、あの年頃の女の子の気持ちを真摯に受け止めてくださるなんて、お若いのにとても誠実でいらっしゃいます」
僕が出来ることなんて、限られてますから。
「それで、ひとつご忠告が……」
何なりと。
「私の兄の事なのです」
確か、アルセリア王国のゼルサニア王子様。
「兄は強き伴侶を求めておりました」
……
「私が国を出奔してから、その想いはより一層強いものになったと聞き及んでおります」
まさか、
「兼ねてよりモノカさんに想いを馳せていた兄が、今回の婚約の件を耳にしたら……」
決闘、ですか。
「すでにアルセリア王家の事情に口を挟める身ではありませんが、カミスさんはくれぐれもご注意の程を」
ちなみに、お兄さんはお強いのでしょうか。
「アルセリア騎士団随一の使い手と」
……気を付けます。
そして、ニケルちゃんたちはシステマで『転送』し、
アランさんたちは幌馬車スマキ2号で家路へ。
「行ったな」
みんな行っちゃいましたね、って、ヴァニシアさんはなぜここにっ。
「どうしてもやりたいことがあってだな、しばらく泊めてはもらえないだろうか」
モノカさんたちに聞いてみましょう。
「いや、カミス殿のお宅に、だ」
僕んちですか?
「実は以前から、ぜひライクァ殿に手合わせをお願いしたくてな」
つまり、手合わせが済んだら。
「歩いて帰ろうかと」
駄目ですよ、あなたみたいな女性がひとりで長旅なんて。
「つまり、カミス殿がエスコートしてくれると」
いえいえ、システマでの『転送』とか、クロ先生の転送薬での『転送』とか。
「心配いらんぞ、修行の旅なら慣れている。 それになぜか、私がひとり旅をしていると盗賊や人さらいなどの無頼の輩がやたらと湧いてくるのだ。 良い鍛錬になるぞ」
駄目ですって、もっと自分を大切にしてくださいよ。
「これほど大事に想ってもらえるのはロイ殿以来だな。 つまりカミス殿は私を貰ってくれるということなのだろうか」
ずるいですよ。 ヴァニシアさんみたいな人から迫られたら断れるわけないじゃないですか。
「早速マツカゼで式の日取りなどをロイ殿に知らせねば」
ちょっと待ってぇ。