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18 裏話



 --- ニケルちゃんたちがモノカさん宅に到着した頃のお話し ---



 秘崎萌乃果です。


 この異世界に召喚されて、結構楽しくやっております。


 チームモノカという冒険者パーティーのリーダーだったり、


 特使勇者というかなり自由な風来坊だったり、


 家族も仲間も知り合いも、たくさん出来ました。


 みんな良い人たちばかりです。


 なのですが、やっぱり人と人との間柄、合う合わないはあるわけでして。



「……」


「……」



 ただいま、我が家のお風呂で入浴中。


 本来はまったりリラックスタイムのはずなのですが、


 浴室に漂うこの緊張感、いかんとも、しがたい。



「早く上がってよ」


「そっちこそ」



 愛娘マクラのお友達のニケルちゃんが、遠路はるばる我が家を訪ねて来てくれました。


 あの過保護パパこと領主さんをどうやって説得したのかは分かりませんが、片道三ヶ月の徒歩の旅、頑張ったね、ニケルちゃん。



 今回のニケルちゃんの旅には、お供が三人。


 私の敬愛する先輩冒険者ロイさんのお仲間、


 完璧メイドと名高いセシエリアさんと、


 豪放女騎士のヴァニシアさん。


 おふたりとも尊敬出来る素晴らしい女性なのです。


 もちろん強さも折り紙付きなので、ニケルちゃんの長旅の護衛には最適。



 問題は、三人目。


 私の因縁の相手、えろクノイチこと、宿敵の、スズナです。



「ちょっと鍛えすぎなんじゃないの」


「そっちこそ、お肉が付きすぎだろ」



 ニケルちゃんたちの歓迎会の最中に、まあその、いろいろありまして、罰としてふたりっきりのお風呂、となった次第。


 なぜお風呂が罰なのかと言いますと、まあ見ての通りですね。


 このお色気過剰ボディのスズナと洗いっこさせられるという屈辱、私にとっては何よりの侮辱にして恥辱なのです。



「そろそろ良いんじゃないかしら」


「とっとと上がろうぜ」



 結局最後までこんな感じなのですよ。


 因縁の相手というのは伊達では無いのです。


 裸の付き合い、などと言いますが、裸を見ることで憎しみが増すことだってあるのですよ。



 いえね、おっきいのが嫌いだってわけじゃないんですよ。


 ロイさんの奥さま、リノアさんのふくよかお胸には、ひれ伏して拝みたくなるほどの畏敬の念を抱いておりますし、


 ヴァニシアさんのわがままお胸の圧倒的なことと言ったら、まさに力こそパワー、畏怖の念を抱いちゃったりします。



 でも、スズナはねぇ。


 何と言いますか、生意気なお胸というか、挑発的なお胸というか、ケンカ腰のお胸というか。



「じろじろ見ないでっ」


「見られるのがイヤなら引っ込めろよ」



 お風呂から上がって、脱衣所でもひと悶着。


 結局、みんなの望みだった裸のお付き合いで仲良し作戦は大失敗。


 むしろ生でアレを見せつけられて格差を思い知らされた私の心は、ズタボロのしおしおですよ。



 そしてスズナがアレを下着に納めながらあれこれしちゃっているところをガン見中。


 なるほど、でっかい娘たちはああやっていろいろ調整しちゃってるのね。


 無乳同盟の同志たちには無縁の、あの誇らしげな作業、うらやま。



「あんまり見ないでってば」


「いいだろ、減るもんじゃなし」



 私は、スズナに背を向けて、着るのです。


 見られて減ったらイヤだし。


 そしてそれこそが、油断だったのです。



「えいっ」


 ひゃぅんっ、なにすんのさっ。



「もうやめましょ」


 なんだよぅ、そんな柔らか凶器、押し付けてくんなよぅ。



「私たちがこのままだと、ニケルちゃんもマクラちゃんも、困っちゃうのっ」


 やめろぅ、ずるいぞっ、こんなの脱出不可能だろっ。



「どうするのっ、この格好のままでみんなのところに行ってもいいけどっ」


 わかったっ、降参しますっ、もうケンカしませんからっ。



「……」


 なんで離れないんだよぅ。



「今までの分の、お返し」


 悪かったよぅ、反省したから顔に押しつけてくんなよぅ。



「どう鍛錬したらこんな身体になるのかしら」


 やめてぇ、さわさわしないでっ。



「やっぱりこのまま連れて行って、みんなに見せちゃおうかな」


 こりゃあかん、腰に力がはいりませんよぅ。



「こっちにいる間は、こんな感じで仲良くしましょ」


 こんな感じってどんな感じなんだよぅ。



「よろしくねっ」


 よろしくないですよぅ、いや、すんげぇよろしい感触なのですけど。




 結局、ふたり仲良くお手手繋いで居間へ向かいました。


 みんながにこにこと、こちらを見ております。


 しょうがない、ニケルちゃんがいる間だけでも、こんな感じで。



 本当は、ヴァニシアさんやセシエリアさんと、しっぽりお風呂したいのですけどね。



 あとがき


 リヴァイスという世界は、ひとりの少年がプレイしている仮想現実ゲームです。


 彼は長い時間この世界を旅するうちに『鏡の賢者』と呼ばれる存在になりました。


 お供のメイドさんは『伝説のメイド』と呼ばれております。


 ここで暮らしている人々はいわゆるAIですが、それなりに大変なこの世界を楽しく生きているみたいです。


 リヴァイスの物語は、そういう人々のあれやこれやを短編として紹介するものとなりそうです。




 iPadのメモ帳につらつら溜め込んでいたショートストーリーや小ネタをひとつの世界にまとめようとしたら、こういう設定になりました。


 整合性や何やらいろいろアレですが、お話しがまとまり次第投稿したいと思っております。



 楽しんでいただけたら幸いです。


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