17 僕
すっかり元通り。 いつもの、僕らしい日常。
家族は、みんなとても仲良し。
時々、ライクァさんも訪ねて来てくれて、すごく安心、とっても楽しい。
ライクァさんは、今は城下町の外れでひとり暮らしなんだそうです。
お城で暮らすとみんなが緊張しちゃうとかで、遠慮しちゃってるみたい。
ツァイシャ女王様のためにも、なんとかならないのかな。
ハルシャちゃんも言ってたけど、あのふたり、今でもらぶらぶだと思うんだけどな。
「たぶん、国を託せる後継者が育つまでは、おふたりとも今のままかと」
そうなんだね、クリス。
早く立派な後継者が見つかると良いね。
「……」
なんで僕を見つめるのかな、クリス。
「まだまだ先は長い、だな」
そりゃあ僕なんてまだ10代半ば。 こっちの世界じゃ成人かもしれないけど、本当にまだまだですって、シスカ。
「こんなに気持ちに芯が通った方なのに、どうしてこうなのでしょうか」
芯があるかは定かじゃ無いけど、僕は僕のままだよ、エルミナ。
「カミスパパは、モノカママとのお出かけ、どうするの?」
そう、チームモノカからのお誘いで、チームカミスと合同遠征の話があるのです。
「遠征前に、お城での用事を済ませてきちゃいますね」
いつものように、『収納』に洗濯物を入れましてっと。
いつものように、壁の絵にご挨拶。
壁の絵は、マクラちゃんからのプレゼント。
僕とモノカのふたり、手をつないで、笑顔。
「行ってきます」
僕はカミス
そこそこ駆け出し冒険者で、お城で一番のお風呂掃除名人
変な噂もいっぱい流されちゃってるけど
家族や友達や商店街のみんなが
僕のことを分かっていてくれれば、何も問題無し
これから、どう流されちゃうかは分からないけど
あっちの世界にいた頃から、こっちの世界でしたことまで
全部が僕、ってことで
ただし、ひとつだけ注意するなら
これ以上、妻と婚約者を増やさないように、かな
「それで、あの件についての情報はどうなのかな、クリス」
「やはり、かなり信憑性が高い話のようです、シスカ」
「ツァイシャ女王様の近衛騎士、『七人の戦乙女』と誉れも高いあの凛々しい女騎士様たちの中に、カミスに想いを寄せている者がいるらしい、と」
「またルルナお姉さんにこっそり聞きに行かないとだね、エルミナママ。 でも、ハルシャはカミスパパがもてもてでうれしいなっ」




