11 指輪
モノカさん宅への帰路。
ふたりきりで、おしゃべりしながらのんびりと。
「今まで男性とこんなにお話し出来なかったのに、どうしてカミスさんとは出来ちゃうのでしょう」
昔からクラスの女子とかによく言われてたんです。 男っぽくないから警戒しなくて良いんですって。
「いわゆる熱血とかマッチョとかの男臭さは無いですけど、カミスさんって男っぽいところ、ちゃんとあると思いますよ」
モノカさんと一緒ですね。
「?」
荒事なんかじゃ無敵ですけど、すごく女の子ですものね。
「……」
怒っちゃったかな。
「カミスさんは、特別な指輪をお持ちだとか」
『絆結びの指輪』って言います。 けんちゃんはスゴい結婚指輪って説明してくれました。
「よろしかったら、私に、その指輪を……」
無言でモノカさんの前にひざまずいたら、手を差し出してくれました。
指輪をはめると……
「不思議な感覚ですね。 安らぐような、高揚するような」
僕の手の中に新たな指輪が生まれる感覚。
エルミナに続いて、モノカさんがふたり目。
つまり『複数契約可能』なのです。
そうそう、大事な注意事項を伝えねば。
「この指輪は感情共有効果とかいうのがあるらしくて、僕が、その、エッチな気分になっちゃったりするのも分かっちゃったりしちゃうので、もしそんな感じになったらごめんなさいです」
モノカさん、クスリと笑いましたよ。
「私なんかではそんな気分にならないでしょうから、心配無用ですよ」
何をおっしゃいますやら。 もしかして結婚の申し込みが殺到していた理由を理解していませんね。
「特使勇者で『武神』だから」
それだけじゃないですって。 モノカさんみたいなちっちゃくて可愛らしい娘さんが荒事で無双しちゃうところがギャップ萌えというか。
「萌え……」
それで、その、こうなっちゃいましたけど、僕としては今まで通りのモノカさんでいてほしいんです。
「今まで通りの私……」
ものすごく強いけど、ものすっごく可愛くて、
悪者退治では無双するのに、仲間にハグされて瞬殺されちゃったり、
ちゃんとマクラちゃんのお母さんしたり、マクラちゃんからお母さんされちゃったり、
武人のライクァさん、お姫さまなユイさん、アッチ系のネルコさん、みんなと仲良くなっちゃうところも、
全部がモノカさんなので、そのままの素敵な女の子でいてほしいです。
「……プロポーズ、承りました」
モノカさんのひとみが、うるうるきらきらしていて、すごくきれいですね。
ぱち、ぱち、ぱち、
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