風のいたずら
胸いっはいに吸い込んだ
両手をひろげながら
真似したわたしは
おもいっきり、咳き込んでしまった
大丈夫?
大丈夫、ありがとう
少し伸びた髪を気にすることなく
わたしはあなたに近づけるよう、
自ら、背伸びを優先した
つま先から伝わる感動みたいなものが
このあと、
思い出にでも変わってゆくのだろうか
気に入った場所かどうかは
そのときはあんがい、気づかないもので
あとから思い出して気づくもの
ほんの少し、右肩上がりのあなたの癖に
いま気づいたこと
だけど、
あとから思い出すことは
たぶん、ないんだろう
風がいくつかの見えない線をあやつり
わたしも
ふわり、あなたに近づく
よろけて、あなたの両手におさまる格好は
どうか、風のせいにでもしようかな。