まあ、しょせんは腐女子ですので?
とあるテーマに参加したSS
朝起きたら、男の子になっていた。
何を言っているのかわからないと思う。
でも大丈夫。
ワタシにもわからない。
ただ、あったはずの胸がぺちゃんこになって、なかったはずの股間がこんもりしていたというだけのことである。
考えることしばし。
昨日、特に変わったことはなかった。
朝起きて学校へ行って、帰ってきてごはんを食べて、お風呂に入ってゲームして寝た。
うん、いつも通り。
特に変わったことは――……あ、あった。
ゲームする前にちょこっとログインしたサイトの画面の隅っこに出てた、なんか変な広告クリックしちゃったわ。
『並行世界のあなたから、叶わぬ恋を叶えたいので、性別の異なるあなたとの人生交換の希望が届いています。受けますか? YES/No』
とかいうのだったっけか。
性別ごときで叶わぬ恋なら諦めろと鼻で笑ってブラウザバックしたはずなんだけど。
なに。
アレって選択しなきゃ勝手に『YES』扱いになっちゃう質の悪いヤツだったわけ?
やられたわー。
さすがワタシ。
用意周到っていうか。
自分のことだけあって、性格わかってるじゃん。
つっても、性別ごときで恋に悩むとか。
ワタシはワタシでも、並行世界とやらのワタシは、ずいぶん弱気だったみたいねー。
誰を好きになったか知らな……お?
あ、記憶があるわ。
いままでのワタシの分プラスして、こっちのワタシの分も。
そりゃそうか。
じゃなきゃ入れ替わっても、向こうで苦労するだけだもんね。
残念ながら、どうやって入れ替りを行ったのかとかその辺の記憶はあやふやだけども。
コレはアレね。
残してて、元に戻されちゃたまらんってとこかしら。
ん~?
こっちのワタシが好きだったのは……っと。
ありゃ。
我が心の友デスか。
小中高と、なぜかずーっと一緒のクラスだった腐れ縁な幼馴染み。
それこそ、お互いホクロの数まで知り尽くしてるあの野郎デスか。
やー。
若気のいたりってゆーか。
思春期に突入するまで、ワタシもアイツも、男女の差なんてほっとんど気にしてなかったのよねー。
親も親で。
やんちゃ盛り生意気盛りな子供を扱うのにいっぱいいっぱいだったのか。
お風呂なんかもまとめて放り込まれてたし。
お互いの家を行き来して、お泊まり会とか平気でしてたし。
ワタシの胸が膨らみかけて。
アイツが精通するくらいまで。
男と女でいろいろ違いがあるだなんて、意識すらしたことなかったわ。
それがなんで、恋愛対象になるかな、こっちのワタシ。
確かに見た目はいい男に育ったけどさー。
惚れる要素なんてどっかにあったっけ?
こっちでの記憶をたどってみても――うん。
ちょっと頼りなくない?
アレはどー見たって受けキャラ……って!
待って。
ちょっと待って。
ワタシ、いまオトコノコなのよね?
おっぱいがなくなって、ピーッがついてるのよね?
て、ことは……ヤダ!
ぼんやり思いを巡らせてる場合じゃないじゃないの!!
鏡ッ。
鏡はどこ!?
いまのワタシってどんな風なわけ?
って!
キャーッ。
なにコレなにコレなにコレーッ。
まんまワタシなのに、ちゃんと男の子だーッ。
ふわふわの猫ッ毛につぶらな瞳。
女の子だった時と変わらぬ低身長。
なんだけど。
ソレがまたいい味出してて。
中性的ってゆーか。
性別を感じさせないってゆーか。
地味子改め、ミステリアスボーイと化しちゃってる!
あー。
両親共に顔はいい方だから、お手入れさえサボらなければそこそこいい線いくんじゃないの、とか他人事みたいに思ってたけど。
うん、いーわコレ。
我が親友がどう足掻いても逆らえなかった、必殺技。
うるうる上目遣いがこっちでも使えそう。
しかーも!
向こうでのパイオツの大きさに比例してるのか、新たなる我が分身。
平常時だっていうのに、なかなかのサイズを誇ってるではあーりませんか。
バッカだねえ。
こっちのワタシ。
コレなら。
コレならアレができるじゃない!
そう。
腐女子の憧れ、BL生体験がッ!!
我が親友のちょろさは半端じゃないのよ?
必殺うるうる上目遣いからの押し倒しで、絶対美味しく頂けちゃうわよ、アイツなら。
なんだって性別にこだわったかな、こっちワタシ。
あ、腐女子ならぬ腐男子じゃなかったからか。
ふむふむ?
並行世界っても、あちこちビミョーに違うワケねー。
ふーん。
ほー。
はーん?
グッジョブ!
こっちのワタシ。
よくぞ入れ替わってくれたわッ。
腐女子たるもの、一度は夢見る――かどうかは知らないけども――男体化ッ。
妄想の世界でしかなかったあーんなコトやこーんなコトが、リアルで体験できちゃったりするだなんて素敵じゃないのッ!!
ありがとう、こっちのワタシッ。
この身体は、ワタシが大事に大事に有効利用させてもらうわー!
んふふ。
楽しみィ。
これからどうしようかしら。
アレもやってみたいし。
コレもやってみたいのよねー。
あー、でもまずは。
手始めに、我が親友を落とすところからはじめるとし~ましょ~っとwww
後々成長したワタシが、イイ男を喰いまくるハーレム野郎へと進化するのはまた別の話である。
ちゃんちゃん♪
腐女子あるある(笑)←ぇ