9ーⅡ話 18歳 対ナンギン帝国紛争編② ちょっとアップシー国際港まで?
9ーⅡ話です。
ちょっと会談しに、アップシー国際港までお出掛けです。
9ーⅡ話
マック達を訓練に送り出した後の4月某日………
僕、冒険者スクリューはアップシー国際港に向けての船の上にいます。
前回と同じ手順で、ブリストル港からカーゴ級貨物船で向かいます。
「でも何で僕を指名したの? フリ………いやスクリュー君 」
「いや、暇そう………嘘ですよ。先輩を本気で引き抜こうかと思いましてその交渉の為かな? 」
僕は今回のお供に王国海軍のバスター先輩………今はクリス君と一緒にアップシー国際港に向かってます。
他に護衛で例の3人にも一緒に向かってます。
〔グラムさんも誘おうとしたけど他の依頼で不在だった 〕
「先輩、マジでうちの軍に来ません? 」
「え、マジで!! でも良いのか? 」
「えぇ、厚待遇させてもらいますよ。ただ、忙しいですよ 」
「そりゃそうだ。現在は防衛戦の準備中なんだろ? 」
「先輩なら魔導兵部隊でも航空兵でも良いですよ? 」
「ン、魔導兵部隊ってなんだ? 噂の魔導鎧の部隊かい? 」
「先輩ならなれてるからすぐに使いこなせるでしょうね 」
「ウ~ン、航空兵はセイバーのパイロットだっけ? そっちも捨てがたいしね。どっちが良いかな? 」
「先輩もう移る気満々ですね。まぁ来てくれるなら歓迎しますよ 」
こうしてバスター先輩はブルー辺境泊軍に移籍になった。
「でもリチャードは誘わないの? 」
「基本、王族は無理です。王国海軍でしっかりと修業して立派な海軍提督になって貰いましょう 」
リチャード先輩は未来の王国海軍総司令官になって貰うため現在、王国海軍司令部での研修と海兵隊の訓練をしていた。
フィリップ現王国海軍司令官がシゴイテいるとか?
〔フィリップ司令官は厳しい人だからねぇ 〕
「スクリューさん、そろそろアップシー国際港が見えて来ましたよ 」 スカイ
無事にアップシー国際港に着きました。
船から降りると!
「いやぁ! スクリュー君久し振り! どうしたの、今回も依頼かい? 」
いきなり現れたね、フェイク君。
「………アレ、フェイク君? 久し振り。どうしたのかな? 商談かい? 」
「噂の魔導船を見に来たのさ! すごいねこの船、全金属製なんだね 」
フ~ン、そう言う事にして話を合わせておくか?
「向こうじゃ珍しくないけどね。結構あるよね、この手の船? 」
「エ、そうなの? 今度行ってみようかな? 」
「まぁその時は案内位してあげるよ 」
「その時はよろしく! それで今日も依頼かい? 」
「そんな所かな。まぁちょっと気になってる事が合ってね 」
「フ~ン、それじゃいつもの宿で奢ろうか! 前回のお礼もかねて! 」
こうして偶然を装ってフェイク君御用達の宿に向かう事に。
鬱陶しい遠巻きを引き連れて?
「で、フェイク………ガイアス君、言い訳は? 」
「あぁ、彼らは兄貴の密偵と言う名の僕の護衛だよ。既に買収済み(笑) 」
「なら良いけど。それで何の用? 」
「残念ながらワンタイ島には行けないよ。渡航制限がかかったから! 」
「チィ、それは残念。もう一度行って確認しようと思ったのに! 」
「え、何の確認に? 」
「………まぁ良いかな? 戦時賠償の件でね(笑) 」
「まさかワンタイ島を接収する気? 」
「あんな大きな島は要らないよ! まぁ資源の採掘権かな? 」
「何それ? あそこに鉱山は無かったはずだぞ! 」
「別に鉱山って言ってないけどね 」
「え、それじゃ何が有るの? 」
「………内緒(笑) それは停戦後のお楽しみで 」
「それは………そうだよな。優位な情報は自国優先されるからね。それに基本、前もって敵国に言えないし教えないよね? 」
「君が間違いなく皇帝になってくれるなら教えても良いんだけれど、まだ確定してないしね 」
「ほんと、父上は何で指名しないんだよ。もし兄貴が皇帝に推挙されたら速攻でイングスランド王国に亡命して優雅に暮らそうと思ったのにねぇ 」
「来るな! 迷惑だしそれを理由に戦争吹っ掛けられても困るわ!! 」
「そうか? あの航空機? ってのが有ったらそうでもないだろう? 」
「へェ~、知ってるんだ? 」
「あぁ、2年前の報告書がやっと回って来てね 」
「エ、………遅くない? 」
「まぁ、諜報部は一応中立を表明してるし情報は公平にって言ってるけど実際はどうだろうね? もっともこの事は半信半疑みたいだよね。鉄の塊が飛んでたまるかって(笑) 」
「まぁそう思ってるんなら良いけどね(笑) それとワイバーン騎士が10騎ほど参加してるけどどうなの? 」
「エ、ソレハ……… まぁ良いか。アイツラはワイバーン騎士隊からの脱走兵って事になるかな? まぁ勝てばアイツラの立場が上がって僕らの立場がヤバイけど、負ければ即除名の上、居なかった事になるはず? 気にせずに倒しても良いよ 」
「随分扱いが軽いね。連中何したの? 」
「まぁ、何処にでもいるだろう。妙にプライドが高いバカ(笑) 」
「あぁ、そう言う事 」
「だからあのバカを殺ってくれ! 」
「なんだか物騒だな。知り合いかい? 」
「あぁ、兄貴の取り巻きの1人で好戦派の子弟だよ。僕がワイバーンライダーの素質が有るのを嫌っているんだよ 」
「ヘェ~、しかしガイアス君はあのワイバーンの卵を孵して育ててるんだって? あの卵をねぇ……… 」
「どうせバレてるから言うけど、あの子を貰って助かったよ。ワイバーン騎士隊は僕の側になったしね。これで陸軍の半分は僕側になったよ。それにここ、アップシー国際港は僕側になってるしね 」
「そうか、その調子でワンタイ島の領主も自陣に引き込めよ! その方が後々楽だしね 」
「何でだよ? 一体何が有るんだよ、ワンタイ島に? 」
この後、色々と交渉をしてある程度の戦時協定を決めていた。
もっとも肝心の第1皇子を完全無視状態だったが。
〔まぁ、第1皇子自体が現在ワンタイ島の対岸のアイモ街にてお飾り状態で指揮を取ってるらしい? 〕
「さて、ワンタイ島まで行こうかと思ったけど無理そうだね。さて、どうしようかな? 」
「なら明日、僕とちょっと狩りに行かないかい? 久し振りに草原ボアの肉が食べたいしね(笑) 」
「まぁ良いよ。そこで誰と合わせてくれるのかな(笑) 」
「まぁ明日のお楽しみに! 」
そして再会を祝ってドンチャン騒ぎをすることになった。
第1皇子への報告書には過去に知り合ったA級冒険者と偶然港で会ってそのまま宿屋で騒いでいたと報告される事に。
〔本当に結構騒いでいたからね(笑) 〕
次の日、冒険ギルドに寄らず、6人パーティーで猪狩りに向かう。
結構生息しているので大物中心で狙って狩って行った。
〔草原ボアの上位種のビック草原ボアを狙って行った 〕
「ヘェ~、その槍が噂の魔導槍かい? 」
僕が装備しているのは初期のサウス2型、一般向けの魔導槍だった。
流石にフェイク君にサウス11は見せられません(笑)
「フェイク君はクロスボウかな? その武器 」
「まぁそうだね。僕は元々剣術は今一でね。この武器を見つけた時は喜んだよ! 」
フェイク君はクロスボウを持って遠距離でボルトをボアに撃ち込んでいた。
ただ、威力は今一なのかボアが突撃してくるのを僕たちで倒していた。
〔もっとも、フェイク君のその腰の剣は結構使い込んでるみたいだけどね 〕
「威力が無いのは問題だね。何で鉄製のボルトは刺さったのに効いてないのかな? 」
「スクリュー君、これ見て! 」 クリス
クリス君はボアの死体を指差していた!
頭には刺さっていたが骨で止まっているようだった。
〔狙いは良いが威力が無い様だった 〕
「フェイク君、そのクロスボウではボアは難しいぞ! 」
「そんな事言われても街売りのクロスボウではコレが一番威力があった奴なんだよね 」
「そうなんだ。………それじゃこれ使ってみる? 」
「なんだそれ? クロスボウみたいだけど? って何処から出したの? 」
スクリューが出したのはウエスト4型特殊弓銃の元々ベースになったウエスト2型クロスボウだった。
試作で作ったウエスト1型クロスボウの量産型で初期の頃にバーミンガム海兵隊の装備だったが、現在はウエスト4型(ウエスト3型の量産型)に切り替えているので現在はイングスランド国内に小数出回っている内の1丁だった。
〔魔導具化して弦を引くのを自動化した者だった。まぁ元々偽装用に持っていた1丁だった 〕
「これは旧式になるけどイングスランド王国で出回ってる軍払い下げのクロスボウなんだよね。もっともただ弦を引くのに便利な機能が付いてるだけでボルトは手でセットしないといけないんだけどね 」
「いや、それでも画期的だよ。クロスボウの欠点は弦を引くのが面倒な所なんだよ! それをアッサリと解決してるし………ほんと君は何者なんだよ? 」
「普通のA級冒険者のスクリューですけど何か? 」
「………まぁ良いか。で、これくれるのかな? 」
「本当はあげたくは無いけど、新皇帝(予)に友情の証であげますよ。それより北から何か飛んで来たけどね? 」
「エ、良いの? ありがとう♪ 大事にするよ! それと………もうそんな時間だったな? まぁ少し待っていよう 」
飛んで来たのはワイバーン2頭とワイバーン騎士だった。
地上に降りると、1頭の小型ワイバーンがフェイク君の前に!?
〔小型のワイバーンはフェイク君(ガイアス君)に頭から飛び込んだ!? 〕
「その子がフェイク君が育てている? 」
「そう、ワイバーンのクイン♪ 一応女の子で可愛いだろう♪ 」
「………フェイク君は以外とそうなんだ(笑) で、そちらの騎士様は? 」
「あぁ、彼はワイバーン騎士隊の総長でクインの教育をしてもらってるグラハムさんです 」
「お初にお目にかかる、ブルー辺境伯爵様。私はナンギン帝国ワイバーン騎士隊総長のグラハムと申します。以後お見知りおきを 」
「今はスクリューで! 近くにお宅の諜報員が居ますので! 」
「あぁ、彼らは騎士隊の部下で殿下の護衛です。まぁ時々殿下に撒かれますが優秀な部下ですよ(笑) 」 グラハム
撒かれるって(笑)
「しかし堂々と降りてきましたけど、大丈夫ですか? 」
「な~に、好き好んでワイバーン騎士隊に近づくバカはこの国にはいませんよ(笑) 」
ワイバーン騎士隊の訓練で度々ここには来るそうです。
その度に地元の冒険者達はワイバーン騎士を見たら離れるそうな?
〔最初の頃は勘違いした冒険者が攻撃してきたらしいが、今は返り討ちになるので近寄らないらしい 〕
もっとも今は訓練予定を冒険ギルドに事前連絡して注意喚起をしているらしい。
今日はその日だった。
〔だから近くに冒険者が居ないんだ! 〕
「まぁ君達は知らずにこの草原に来たことになってるからね。ワイバーンを見て驚いた事にしておいてくださいね 」
「………ただ冒険者ギルドでその話をすると僕たちがワイバーンを過去に狩ってるのに驚くって矛盾してません? 」
「あ、そうだね。まぁその辺は適当に誤魔化して(笑) それと2年前のワンタイ島でのワイバーン大量消失の件は君達の仕業かな? 」
「………まぁ良いでしょう。私達だけでワイバーンを30匹位狩りましたよ。内1頭分の肉はフェイク商会に、2頭分はワンタイ島とここの冒険ギルドに各々卸しましたよ? 」
「エ、ヤッパリスクリュー君達だったか! 道理でワイバーン肉を簡単に売ってくれるからおかしいと思ったんだよね。まぁ卵くれたし文句は言えないけどね(笑) 」 フェイク
「ハァ~、君達はワイバーンを簡単に狩れるって事か。流石ブルー辺境伯軍のトップだけは有るね。………できればワンタイ島にいる元部下は良いがワイバーン達は………いや、忘れてくれ 」 グラハム
「気持ちはわからなくは無いですけどね。因みにそのワイバーンはちゃんと制御してるんですか? 」
「あぁ、連中のワイバーンは隷属の首輪をしている。もっとも私から言えば、アイツラはワイバーン騎士では無いしな! 」
話を聞くと南部のワイバーンの生息地近くの領主の二男や三男坊で第1皇子の学友で、コネでワイバーン騎士隊に入ってきたワガママ中隊だった。
ワイバーン騎士隊のお荷物だったらしい。
「フム、すると船島を引いてる水竜もそうかな? 」
「な、その情報を何処から!? ………恐らく使ってるでしょう。何せ……………… 」 グラハム
話を聞いてる内に怒りが沸いてきた!
水竜のコロニーを襲って子供を拐って隷属の首輪を付けて働かせるとは!!
〔うん、やった連中は殲滅だな! 〕
「スクリュー君怖いわ! まぁそう言う事で。できれば兄の第1皇子ジークフリードを生け捕りにして欲しい。腕の1本位良いけどね♪ 」
「お前、兄に対して厳しいね(笑) ま、なるだけ無傷で引き渡すよ。ちゃんと身代金用意してね(笑) 」
こうして極秘? 会談は終わった。
なお、第1皇子への報告書には、昨日の冒険者と一緒にボア狩りに行ったがワイバーン騎士隊の訓練で来たワイバーンを見て冒険者が驚いて街まで逃げ帰った事になっていた(笑)
〔まぁ証拠を残す為にアップシー街の冒険ギルドに聞きに行ったりしたけどね(笑) 〕
次の日、僕たちはアップシー国際港から無事に旅立った。
9ーⅡ
相変わらずのガイアス君だった。
そして初めて見たワイバーンライダーだった。
次の投降は8月頭を予定しています。