閑話②-Ⅵ話 勇者井川君 イングスランド王国建国!
2018年最後の大晦日ですね。
閑話②-Ⅵ話です。
そしてアーサーは国王になった………ん、何か違うような?
閑話②-Ⅵ話
2019年 11月 下旬。
とある計画が実行された。
その日、大ロシーナ帝国側のとある場所の駐屯地にて。
「もうすぐ最前線行きか………俺生きて帰れるかな? 」
「何を弱気になってるんだよ。まぁ隊長次第だろう。何せ、隊長はくじ運は良いらしいしね(笑) 」
「何だよ、くじ運って? 」
「ん、出発する順番だよ。早ければ早いほどヤバイって俺の兄貴が帰ってきたときに言ってたんだよ 」
「そうなんだ。その兄貴は最後だったのか? 」
「まぁそうだよ。お陰で左腕1本で済んだけどね 」
「何だよ、それ! 結局ろくでもない事だろう 」
「生きて帰るにはその位の覚悟が無いとね。お、隊長が帰ってきたぞ! 」
「諸君、我が第149兵団は明日先発して出発する。準備をするように! 」
「おい、これは……… 」
「あぁ、生き残るのに努力しよう 」
次の日の早朝………
「第149兵団、出発! 」
出発して3時間後………
「なんか馬達の様子がおかしくないか? 」
「変ですね? 何かに怯えているような? 」
暫くして斥候に出ていた部下が慌てて戻って来た!
「た、隊長! 前方10km、上空にド、ドラゴンが居ます! 」
「何だと、不味いな。我々はまだ遠いし、発見されてなければ……… よし、全軍一旦後退。距離を取りやり過ごす。10km後退後、防御体形に! それと後方に連絡を! 」
ドラゴンは襲って来ることも追いかけて来ることもなかった。
暫くして何か空から落ちてきた?
「隊長、ドラゴンの後方上空より………何か落ちてきます!? 」
「何かとは何………!? な、なんだあれは!? 」
空から巨大な岩(直径約100m)が落ちてきていた!?
そしてドラゴンの前方、第149兵団との中間地点に落ちた!
〔第149兵団は離れていて助かったが飛んできた破片で怪我人続出だった! 〕
落ちた衝撃で地盤が崩壊して巨大なキノコ雲が発生して大量の粉塵が舞っていた!
粉塵が晴れて第149兵団が見たものは………
「何で途切れているんだよ!? 」
陸続きだった場所は見事に無くなりそこは大量の水が流れる海峡になっていた。
「は、これでは先に進めない! 」
「それどころか向こうの友軍はどうなった? 」
こうして混乱していく第149兵団とこの報告を聞いた大ロシーナ帝国軍だった。
「あれ、さっきのドラゴンは何処に行ったんだ? 」
同じ日の夕刻………
チョウカ帝国側の某場所にて同じ様にドラゴンが出て暫くしたら上空よりやはり岩が落ちてきて地面に激突、その場所も崩落して無くなり、海峡になっていた。
こうして2019年12月1日、この地は島となり大陸より孤立した。
「まさか本当に崩落させたら海峡ができるとは。しかも思ったより流れが速いな? 」
『………ワシもまさかこのような魔法で地下水道の上部を破壊できるとは思わなかったぞ! 』
「あら、ロイエなら余裕で破壊ができたのでは? 」
『無理を言うな、エルザ。我でもできない事位あるわ! それに我でもここまで破壊するには2日………いや、3日はかかるだろう。アーサー、貴様本当に人間か? 』
「………最近、あんまり自信が無くなってきたよ。まさか自分が[メテオインパクト(土、時空魔法、神級)]が使えるとは思わなかったよ。もっとも2発目で気絶したけどね 」
『あれを2発も撃てる方が凄いのだが……… 』
計画は先ず大ロシーナ帝国、チョウカ帝国双方の良識の在る人物に戦争の原因であるこの半島? を物理的に封さするのでと知らせる。
大ロシーナ帝国にはセルゲイを皇太子に、チョウカ帝国にはエルザが親類縁者に話を持っていった。
〔双方良い返事が帰って来た! 〕
そして双方の戦力の再編成の為と言う理由で、一旦後退した隙に火竜ロイエさんに一気に例の魔境に運んでもらう。
巨大な内海を横断して直接現地に飛ぶルートで。
〔このルートが一番安全だった 〕
3日掛けて馬車? 6台分の物資とエルフ族の人員30人を運び込む。
ロイエさんが持ちやすい木製のコンテナ風荷台をエルフ族総出で作ってもらった。
〔ロイエさんは後にこの件で愚痴っていたらしいです。後に追加で色々と運ぶ事になって! 〕
結界を貼って即苗木を植樹すると………
なんと急速に成長して一気に100m程の大木に成長していた!?
〔もっとも親である世界樹様(19番目)に比べるとまだまだ小さいが 〕
こうして世界で20本目の世界樹とその世界樹を守護する村、ユグドラシル20村が誕生した。
まだ建物も無い状態だが結界の中は世界樹(20番目)が認めた存在しか入れないので心配も無かったが。
〔結界は世界樹が育つと世界樹自ら結界を強化して自己防衛をする 〕
そして帝国双方の戦力が入れ替わったタイミングで隕石落としを決行、この地を島国にした。
一番距離が近い海峡部分は内海から外海に海流が流れている為に船による渡河できず、橋も架けられそうもない為、唯一の進行ルートが無くなった。
〔2000年当時は船舶技術が未熟な為、船による上陸作戦も思い付かずにいた 〕
こうして大ロシーナ帝国とチョウカ帝国の戦争は自然休戦状態になったが………
2020年 3月
現在、双方の軍勢が中央の平原に対峙している状態で睨み合っていた。
その中間には、火竜ロイエとエルフ族代表のセルゲイ、チョウカ帝国の元子爵令嬢のエルザと大ロシーナ帝国の元勇者の僕が大ロシーナ帝国側とチョウカ帝国側の代表と話し合っていた。
大ロシーナ帝国側の代表は、この戦争自体に反対していた為に、ブルガーニン達教皇派に嵌められ、懲罰代わりに最前線に送られていた元帝国軍総参謀長で僕とマトモに話ができた唯一の軍人、遠征軍のミハイル将軍だった。
ミハイル将軍はどうも皇太子から話を聞いて我先にこの地に向かって来て防御陣を構築してこの日を待っていた様だった。
〔ミハイル将軍の配下の部隊を一通り連れてきて文字通り一族全て引き連れて来ていた 〕
チョウカ帝国の代表はエルザの一族で火竜の件でやはり懲罰で最前線送りになっていたヤコフ将軍だった。
ヤコフ将軍も一族をこの地に送り込んだチョウカ帝国皇帝には逆らえなかったが、エルザの父の子爵が責任を取らされて一族を守る為に処刑されたのが気に入らなかった。
〔あれは火竜様を利用しようとしたバカ伯爵の自爆だった事は既に有名になっていた。もっともそのバカ伯爵は皇帝の娘婿だったが 〕
「それでその火竜様がこの半島を島にしたと言うのか? 」 ミハイル
「さすが火竜様。道理でチョウカ帝国の皇帝が欲しがるわけだよ 」 ヤコフ
『………何を言っておる。我は何もしておらんぞ! あの攻撃はアーサーがやった事だ。我は運んだだけだ! 』
皆さん、火竜ロイエさんの発言で驚いているね。
そりゃ人族の若造があの攻撃をしたって言われたらねぇ
「アーサー殿が? 確かに勇者の力なら可能か? 」 ミハイル
「全くロシーナ教はなに考えてるんだ? だから邪教なんだよ! 」 ヤコフ
『………まぁ、確かに邪教よのう。創造主様から見れば迷惑だしな 』
「クク、だから教会本部が消えて無くなったよ。今頃生き残った関係者が誰を教皇にするか揉めてるだろうね(笑) 」 セルゲイ
「ん、何故セルゲイ殿がその事を知っているのです? エルフ族の貴方が? 」 ヤコフ
「セルゲイ殿、君は何処かで会ってないか? 見覚えと言うか何処かで……… 」 ミハイル
「アーサーと一緒に会ってますよ。この姿で 」 セルゲイ
セルゲイは変装をしたら皆さん驚いていた。
「まさか、お前はバカーノフ!? そう言う事か! 」ミハイル
「これは驚いた。まさか人族に化ける事ができるとは 」ヤコフ
「まぁ、そうでもしないと迫害されますしね。特に大ロシーナ帝国ではね。チョウカ帝国も怪しいですけどね 」
まぁ帝国双方とも人族至上主義的な国だからね。
この後は色々と話し合っていたけど双方ともお互いの皇帝の悪口に発展して収拾の付かないことに。
一緒に会議していた参謀達も笑っていたよ。
〔なんか和やかな雰囲気になってきたね 〕
そして………
「まぁ、エルフ族としては、この際此所に独立国家を作ってもらう方が色々と助かるしね。皆さんもそうでしょう(ニヤリ♪) 」
「なるほど、確かにこのまま国を作ってしまえば面白いかもね(ニヤリ♪) 」 ミハイル
「そう考えるのも良いかも。それに今更本国も援助は期待できないし (ニヤリ♪)」 ヤコフ
『………ほう、それは良いかもな。で誰が長になるのだ? 』
………エ~ト、何故僕をみんな視てるのかな?
何故かチョウカ帝国側の人達も見てるのは何で?
〔ロイエさん、何睨むの? 〕
「やっぱりアーサーが仕切った方が良い様な? 」 エルザ
「ちょっと待って、エルザさん。何故僕なの? エルザさんでも良いのでは? 」
「それは、まず………
①アーサーは本来大ロシーナ帝国の人間でも無い事
②チョウカ帝国とも基本関係無い事
③エルフ族も世界樹様も認めた存在である事
④何よりアルテナ女神様の使徒だから?
………だからアーサーが適任なの。因みに私がなったらロシーナ帝国側の人達が納得するかしら? 」
「………確かにそうですね(ニヤリ♪) 」ミハイル
「そうですね。確かにエルザ様では不公平ですね(ニヤリ♪) 」 ヤコフ
「それに大ロシーナ帝国側、ジェーコフ皇太子も納得してるしね。ジェーコフからの伝言だよ。"もしもこういう話になったら引き受けな。こっちは押さえておくよ"って言ってたよ(笑) 」セルゲイ
ち、謀ったな! ジェーコフめ。
それにセルゲイ、こうなることを見越していたな!
〔全く何を考えてるんだ? 〕
『ほう、それは良いだろう。我より強いものが群れの長になるのが当たり前だろう 』
ロイエさん、あんたが最強だろう!
俺の何処が最強何だよ!
「それで結局押し付けられて建国することになったってどうなの? 」
いつものアルテナ様とのお茶会で勇者井川君の事を聞いたら………井川君って波乱万丈な事をしてたんですね。
しかも初代国王役も押し付けられてたって………哀れ?
「まぁ、大ロシーナ帝国もチョウカ帝国も実際は50年も続いた戦争でガタガタだったし、双方の官僚は喜んでいたでしょうね 」
「結局、その皇太子が一番得したのかな? 」
「もっともその後にロシーナ教はなんと第2皇子のゴヴォロフを新教皇にしていたのよ。それで勝手に旧帝都の城をそのまま総本山として接収して勝手に使いだしたのよね。それに井川君が建国宣言したから……… 」
擁するに大ロシーナ帝国は………
①結局その事で大ロシーナ帝国は内戦に突入した。
②東部皇太子派と中央部第2皇子派と西部中立派(ウラル侯爵派)との三つ巴になっていた。
③結局、皇太子派は後の東ロシーナ王国に、第2皇子派はソビエ聖国に、中立派はウラル公国に各々独立することになった。
チョウカ帝国でも………
①南部諸侯が皇帝の暴挙(火竜様の件)で反発していた。
②それに対し皇帝側の北部諸侯が討伐に動く。
③その隙に半島の一部だった東部地域(火竜様の件でとばっちりを受けてこの地に飛ばされた諸侯達)が武装蜂起していた。
④結局、チョウカ帝国も南部諸侯がナンギン帝国、北部諸侯がホクギン公国、東部半島がコウライ王国として分離独立することになった。
結局、2020年4月、アーサー・キング・イングスランドと名乗りイングスランド王国の建国宣言をする事になった井川君だったらしいです。
そしてアルテナ教が国教として認知されてこの国を始めソビエ聖国以外の国ではロシーナ教に代わってアルテナ教が広まる事になった。
因みに世界樹の在る所が現在の王太子直轄領だったりして(笑)
閑②ーⅥ
色々と押し付けられたアーサーだった。
建国後は色々とヤラカシテル様ですね。
色々と有りましたが皆さんはどんな年越しですか?
僕は………仕事です orz
皆さん良い年を♪
明日も投稿しますね。