閑話②-Ⅴ話 勇者井川君 火竜と運命の人に出会う
②-Ⅴ話です。
作戦を考えてると近くに火竜が現れた?
ウ~ン、無理ゲー?
閑話②-Ⅴ話
「さて、どうやって現地まで行く? 」
今、エルフ族の里にてエルフ族の先見隊との打ち合わせをしています。
本来、新しい村を造る時は先ず現地に先行して結界を貼ってから苗木を移送、その後に近くのエルフ族の村から移住者を募るらしい。
〔まぁそうだろうね。いきなり村は作れないよね 〕
今回は僕が苗木を運べるので一気に30人位で行動をすることになったが問題は指定された場所だった。
何せ場所は大ロシーナ帝国とチョウカ帝国がガチンコで殴りあっている最前線の近くの山脈(中央山脈と言われている場所らしい)の火山の麓らしい。
〔エ、火山の近くで大丈夫か? 〕
どうもそこには魔力スポット的な所が在るらしくそこに世界樹を植える事で安定化できるらしい。
そのせいで火山が安定してないらしいけどね。
〔地脈の影響らしい? 〕
地脈を安定させる為にその様な場所を日夜探しているそうです。
その為に世界樹様達は精霊達にその様な場所を探してもらってるらしいです。
〔精霊使いが荒いとイフリートは愚痴っていたのは聞いてない事にしておこう 〕
色々と話し合っていたその時、外が騒がしくなった。
どうしたのだろうと思ったらフィリップが入ってきた。
「兄さん、大変だ! 火竜が近くの森に落ちた! 」
「何だって!? 火竜だって? でもどうしてこっちに来たんだ? 」
「セルゲイ、どう言う事だ? 火竜がどこから来たのか知ってるみたいだが? 」
「あぁ、そうだな。帝国の情報では火竜はチョウカ帝国の南部の火山地帯に生息していてそこで縄張りを張っていて中に入ってきた人族を問答無用で消し炭にしてると。アーサーどう思う? 」
「ウ~ン、その南の火竜と近くに落ちた火竜が一緒なのかそうでないのか、それより先ずはその火竜の状態を確認しないと不味いだろう 」
「今、精霊に様子を見に行ってもらっている所だよ。もうすぐ………お、戻ってきたね 」
風が吹き抜けたのでおそらくは風の精霊だろう。
「フィリップは風の中級精霊と契約してるのさ 」
「………うん、わかった。引き続き監視を頼むよ! お待たせ、火竜はどうも何かを守っているようだね。まだ確認できないけどどうも人族を庇ってるね? それと兄さんも水の中級精霊と契約してるくせに 」
「わかってるさ。万が一火竜が暴れたら火消しは任せろ。もっとも火竜は暴れそうか? それとも……… 」
「それじゃ見に行くか? 」
「アーサー、本気かよ。我々に任せろ 」
「いや、もし人族を庇ってるなら同じ人族の僕が話した方が良いと思うし、それに僕にはイフリートが付いてるからね 」
《フン、我に任せておけ。火竜ごとき消し炭にしてくれるわ! 》
「あ、イフリート。炎の精霊魔法は禁止だよ。森を焼いちゃうからね 」
《わしはそこまで燃やさんわ! 》
「それにあくまでも話し合いだよ。まぁ火竜のブレス位、防ぐのもできるだろう 」
《まぁその位余裕だぞ。まぁ任せろ 》
「て、事で案内を頼むよ。フィリップ 」
「正直助かります。何せ火竜にブレスされると基本我々が消し炭になりますしね 」
「じゃ行こうか、セルゲイ♪ 」
「ちょっと待て。何故巻き込む? 」
「ン、ここは僕とセルゲイで話に行くのが正しい選択だと思うぞ? 」
「だから何でだよ! 」
こうして見に行く事になったアーサーとセルゲイだった。
『そこの人族とエルフ族、止まれ 』
目の前には大きな(体長20m位)火竜が佇んでいた。
腹の下に何かを守っている様だった。
「私はこの先のエルフ族の村のセルゲイという。火竜様、何故このような場所に? 」
『ほう、この近くに世界樹様が居るのか。ならそこまで案内を頼みたい 』
「して、世界樹様にどの様なご用でしょう? 」
『そこに人族が居るので話せないな。何せ人族に追われているのでな 』
「火竜様、私はアーサーと申します。つかの事をお伺いしますが火竜様はここから南の方から来ましたのですか? 」
『アーサーと言ったな。貴様、何者だ! 何故エルフ族と一緒におる? ん、ソナタはイフリートだと! 何故人族とおる? 』
《ほう、私がイフリートとわかるとは。まぁ、アーサーと契約しただけだ。それ以上も以下も無い 》
「火竜様、そちらにいる方は大丈夫なのですか? だいぶ弱っていると見ましたが? 」
『……………頼みがある。この子を助けてほしい 』
火竜が立ち上がるとそこには………
「な、女の子? 何故火竜様が? 」
そこには少女が倒れていた。
「セルゲイ、それどころでは無いだろう。火竜様、一刻を争います。すぐに治療をしましょう。ん、これは毒かな? [ミドルキュア]! よし、すぐに村に運ぼう 」
『頼む、その子を助けてほしい 』
急いでその子を運び、治療をすることに。
火竜様も一緒に聖域に入ってもらう。
〔一応、世界樹様に許可をとってからね 〕
1週間後………
「おかわり♪ 」
「しかし良く食べるね? そんなに急がなくても誰も取らないよ 」
『そうじゃぞ、エルザ。先ずは体力を回復させないとな 』
火竜様ことロイエさんはこの少女、エルザさんとチョウカ帝国のある場所から逃げて来たらしい。
チョウカ帝国の大貴族に狙われて慌てて逃げ出した途中、不意討ちを受けてエルザさんが矢で負傷、毒に犯された為に急遽治療を世界樹様にお願いする為にこの近くに来たらしい。
〔さすがのロイエさんでも世界樹様の正確な場所は知らなかったそうです 〕
「でも何故チョウカ帝国の大貴族に狙われていたのですか? 」
『それは、ワシとエルザが契約関係なのがバレてエルザに火竜の力を貸せと脅して来おってな、ワシがブレスで消し炭にしたのを怒って討伐に来てのう……… 』
「(モグモグゴックン!) もうロイエがいきなり炎を吐くからビックリしたでしょう。それであのままあそこに居たら他の皆に迷惑が掛かるから逃げてきたのでしょう 」
『それはそうだが………何故チョウカ帝国は我を必要としたのじゃ? 』
「………ウ~ン、恐らくはロイエさんを利用して大ロシーナ帝国に勝つための切り札にするつもりだったのかな? 」
「エ、何でわかったの? あのバカ貴族がそう言ってたわ。もっともロイエに消し炭にされてたけどね 」
「………恐らくは大ロシーナ帝国で勇者召喚をしたのがわかって対勇者用の切り札的に使おうとしたのだろうね 」
セルゲイが食事の追加分を持ってきた。
「そう言えばそんな事を言ってた気がするわね? 」
『確かにそう言ってたぞ。勇者を倒す為に我を使うと! もっともエルザが反対してそれでエルザを人質にして我に令束の首輪をつけて我を操ろうとしていたな。もっともそんな首輪、付けられる訳もないし我クラスでは効かないだろうに 』
「そうするとチョウカ帝国も切り札が無い状態なんだろうね 」
「エ~ト、どう言う事? 」
「現在、帝国も勇者が行方不明で大変らしいぞ(笑) 」
「それお前が言うと笑い話になるぞ! 」
『………ほう、そう言う事か。なるほど、イフリート殿程の高位の精霊が契約するほどとはな。そうであろう、勇者アーサー殿? 』
「エ、アーサーって大ロシーナ帝国の勇者だったの? 」
「元勇者かな? 何せ帝都のロシーナ教会本部を吹き飛ばしたからね。あれ、もしかしてお尋ね者? 」
「アハハ、確かにお尋ね者かも? もっとも未だ手配書も出てないらしいし、もしかしたら一緒に消えた事になってるかもね(笑) 」
「そしてお前もな、セルゲイ。あ、お前は敵前逃亡かも? 」
「まぁバカーノフは敵前逃亡だろうね(笑) ま、僕はセルゲイだしね? 」
「何なのよ、あなた達は? 」
「私は次の世界樹の苗木の守護者の次の村の長(予定)かな? 」
「ん、僕は世界樹様に依頼を受けた………冒険者かな? 」
「エ、次の世界樹ってどう言う事? 」
『ほう、もう世界樹様の苗木が生まれていたのか。それで何処に植樹されるのじゃ? 』
「それが問題でして……… 」
僕たちは苗木を託された訳を話した。
『………世界樹様は本当に無茶を言うのう。確かに戦争の最前線に植えてこいとかは無理だろう 』
「そこでロイエさんにお願いが有りまして……… 」
ロイエさんに有る頼み事をしてみる。
『構わんぞ。世界樹様の頼みでもあるからな。それにエルザを助けてもらった恩も在るしな 』
こうして火竜ロイエさんが協力してくれる事になった。
一応、現在の計画を話すと………
『それなら陸地を壊してあの半島? を島にしてしまえば良いであろう? 簡単だろ 』
「ちょっとロイエさん、何を無茶な話をするの? ロイエさんはそんな事できるの? 」
『何、あの場所は………………………… 』
ロイエさんの話は衝撃的な内容だった。
まさか本当にクレーターだったとは。
『ワシも若かりし頃に聞いた話でのう。そう友達の水竜に聞いた話なんだが、あの水溜まりの水はどうも地下水洞から外海に流れているらしい。場所は………此所と此所 』
「以外と離れてますね。そうすると………うん、いける! これで行こうか! 」
「お、何か思い付いた? 早速教えろよ 」
説明すると皆さん唸っていた。
結構無茶な計画でもあった。
「………お前、その計画は無理だろう。それに根回しもしないといけないだろう 」
「大ロシーナ帝国の方はセルゲイがするとして……… 」
「だから何で俺なの? 」
「ん、皇太子と話ができるのはセルゲイが一番だろう。それにこの計画は帝国にも調度良いかもね 」
「そんなに上手く行くかな? で、チョウカ帝国側の根回しはどうするの? 」
「そこはエルザさんだろうね。チョウカ帝国の貴族の娘さんでもある彼女がね? 」
「ちょっと、いつ私がチョウカ帝国の子爵の娘って言ったのよ! 」
『………エルザ、お前自分で今ばらしてどうするのじゃ。誰も子爵の娘って言っとらんぞ? 』
「あ、アハハハ………♪ 」
「後はロイエさん、貴方には何人乗せる事ができます? 又は馬車を持って飛べます? 」
『………そうじゃのう、背に乗るのはエルザと後1人だな。それと馬車を持っても飛べるぞ。そこの荷物が載ってるものなら余裕じゃぞ! 』
外に有った比較的大きな馬車を指してロイエさんは言った。2頭引きの馬車を持ち上げられるらしい。
〔なら、移動も可能かな? 〕
こうしてある計画が実行される事になった。
閑②ーⅤ
火竜様はとても凄そうですね。
そしてアーサーは運命の人に出会う。
そして とある計画が実行された?
5/26 大精霊の会話の表記変更! 『 』から《 》に。