閑話②-Ⅳ話 勇者井川君 世界樹からの頼まれ事
閑話②-Ⅳ話です。
やっとエルフの村に到着したけど………
そして世界樹様とは?
閑話②-Ⅳ
あれから1ヶ月ほどかけて世界樹の麓、エルフ族の村に到着したが………
『そこの人族! この先はエルフ族の領域。これ以上侵入すれば排除するぞ! 』
回りには弓を構えたエルフさん達が沢山いた。
「エ~ト、この状態は何? 」
「あれ、おかしいな? 何でだろう? 」
「ちなみにその変装の魔法って同族にも効くのかい? 」
「あ、そうだった! おい、待ってくれ。私たよ、セルゲイだよ♪ 」
セルゲイはその場で変装の魔法を解いて元のエルフの姿に戻る。
『何だセルゲイか。お前何人族を案内している? 』
「世界樹様に呼ばれた人族をお連れした。案内を頼むよ、フィリップ 」
『フン、ようやく帰って来たか。兄上! 』
「そう言うな。お前は次期族長だろう。それに僕は半端者なんだからお前が正当なるエルフ族の長に、ブルボン家の跡取りで良いのだよ! 」
『兄上……… では客人を案内します。どうぞ付いてきて下さい 』
セルゲイの弟? の後に付いていくことに。
「セルゲイ、弟いたの? 」
「まぁそうだな。僕は一応エルフ族の長の家系のブルボン家の妾の子で正当な後継者では無いんだよ。もっともフィリップが生まれてくれたのでこうして外の世界にも出られたしね 」
「それで帝国の皇太子に近付いたと? 」
「確かにエルフ族に近付く輩を調べるには権力の在る奴の近くが良いからね。あのジェーコフ皇太子とはエルフ族との不可侵を約束してるしね。お互い不干渉って事でね。まぁ、彼は良い主君にはなれるだろうからね 」
「確かにそうだけどね。弟の方はダメだけどね。あ、そう言えばあの弟、ゴヴォロフ達があの場に居なかったけどどうしてたのだろう? 」
「あぁ、あのバカ皇子は恐らくは皇城の前に居たんじゃないかな? 」
実際、ゴヴォロフ達の聖騎士団は光の柱を見て呆然としていたらしい?
その後、例の洗脳ペンダントが弾けてその場に倒れていたらしいけどね。
〔どうも教皇が持っていた親機が破壊された為に子機であるペンダントも壊れたらしい? 〕
「さぁ着いた。ようこそ、世界樹様の里、ユグドラシル19村へ 」
何か通りすぎた様な感覚を感じた直後、巨大な大樹が現れた!?
どうも結界で外からはこの巨木は見えないらしい。
〔エルフ族の結界なのかな? 〕
「ユグドラシル19村? 他にも在るのか世界樹様は? 」
「今の所はこの世界には19本、魔大陸に10本、ステップ大陸に3本、この大陸には6本ほど在るよ。まぁ、我々エルフ族が世界中にて育てよと神であるアルテナ女神様の神託で増やしている様な物だよ。ちなみに大元の世界樹様は魔大陸に有るらしいけどね 」
「兄さん、客人にそこまで話すのは! 」
「大丈夫、彼はアルテナ様に導かれた勇者だからね 」
「「「「「「「何だって! 」」」」」」」
その場にいたエルフ族の皆さんが驚いていた!
信仰していた神様の使いなら驚くよね?
〔おい、セルゲイ。そこまで話した事ないぞ? 〕
「セルゲイ、何故そんな事を言うのかな? 」
「まぁ、アーサーの話も聞きたいから族長の家で話そう。フィリップ、頼むよ! 」
「………あぁ、わかった。ではこちらに 」
族長の家は世界樹様の根元に建っていた。
家には話し合いに参加するエルフ族の重鎮が集まってきた。
〔家は、木造の大きな平屋だった 〕
そして話し合いになったのだが………
「まさか神託を聞いてたなんて思わなかったよ、セルゲイ! 」
「僕もまさか聞こえるとは思わなかったよ。もっともアーサーが現れたその日に神託が降りるとわね。アーサーを助けるようにって! 」
「兄さん、やっぱり族長を継いでよ! 僕は神託を聞いたことが無いしね 」
「何を言っておる。外に出た者は族長にはなれない掟が在るだろう。それにフィリップ、お前には長としての仕事を世界樹様より託されているだろう 」
2人の父である族長のピエールさんがそう言ってるけど納得がいかないのかな?
「ではアーサー殿、世界樹様の袂に向かいましょう。世界樹様もお待ちです 」
一旦話し合いは終わりにしてピエール族長と世界樹様に挨拶に行くことに。
そこは大樹の袂に在る大きな祠の様な所だった。
案内されるがままに中央の祭壇みたいな所まで進むと!
『ようこそ、我が袂に。勇者井川殿 』
何か声が聞こえたと思ったら目の前に人? エルフ? が現れた!
容姿は20代女性っぽいが神々しくもあった。
「これは聖樹様。具現されるとは珍しい 」
『ピエール、久しいのう。里も順調のようじゃのう 』
目の前に現れたのはどうも世界樹様が具現された時の姿らしい。
暫くピエールさんとの会話が続くと思ったが!
『では勇者井川殿に依頼が2つ有ります 』
「何でしょうか? 聖樹様 」
『先ず1つ、この子を指定した所まで連れていって下さい 』
聖樹様の隣に小さな女の子が現れた!
「な、まさか世界樹の苗木ですか? 」
「世界樹の苗木? とは何ですか? 」
『世界樹の苗木とは私たち世界樹を世界に広める為の分体です。そして世界の浄化力の要です。なので一定数増やさなければならないのです。ただ、今回この子を植樹する場所が問題でして貴方になんとかしてもらいたいのです 』
そして聖樹様が指定した場所は………
「な、まさか最前線! 」
「アーサー殿、そこは何処なんです? 」
「ピエールさん、ここは現在大ロシーナ帝国とチョウカ帝国の小競り合いのしている最前線ですよ。しかも現在殴り合いの最中ですよ! 」
例の半島? クレーターの外苑部の中央の所だった。
『問題は無いでしょう。貴方の力なら 』
聖樹様は簡単に言ってくれるよ。
現在進行形で殴り合いしている所にって!
『それと2つ目、この子を貴方に付けますので使ってやって下さいね 』
そこに現れたのは真っ赤に燃え上がった人? の様な姿の者だった。
「まさか、炎の精霊イフリート様!? 」
どうも高位の精霊様らしい。
しかし何故?
〔アレ、何で見えるのかな? 〕
『勇者井川殿、貴方なら炎の精霊イフリートと契約できるでしょう。それにイフリートなら現状を打開位簡単にできるでしょうね 』
「エェ! 人族が精霊魔法、それも高位の大精霊様と契約できるですと? 」
『元々エルフ族は火の適正は低く、イフリートと契約できる者が居なかったのよ。それに勇者井川殿はアルテナ様に認められた存在。これ以上の契約上最高の組み合わせは無いでしょう。それとピエール、精霊はエルフ族だけ契約できるとは思わない方が良いわよ。何故だかは、わかっているでしょう? 』
どうも契約できないエルフ族の方がいるようですね。
『イフリート、彼と契約………もう試していますの? 』
アーサーとイフリートの間で魔力が飛び交っていた。
イフリートはアーサーの魔力を吸収しだした。
〔ほう、魔力を吸い取るのか。じゃ遠慮なくあげよう 〕
アーサーは封印していた魔力を徐々に開放していった。
最初は余裕で吸い取っていたイフリートだったが、段々と焦りの色が見えてきた。
〔尋常な量の魔力が辺りを多い尽くす勢いだった 〕
《待ってくれ。これ以上は無理だ。認めよう、勇者井川殿。貴方との契約をさせてほしい 》
「わかった、イフリート。これからもよろしく。さて、魔力を押さえるか 」
放出した魔力を引っ込める。
ピエールさんはビックリしていたよ。
〔人族は、普通そこまで魔力を持ってないそうです 〕
「でもイフリートは普段はどうするの? 」
《問題ない。普段は小さくなれるし普通の人族や他の種族も見えてない。見えるのは精霊と契約している者や高位の存在のみだよ 》
「そうか、それなら大丈夫か。じゃよろしく、イフリート。それと僕の事はアーサーで 」
《わかった、アーサー殿。以後よろしく 》
『どうやら契約はできた様ですね。イフリート、頑張るのですよ 』
こうしてアーサーは精霊魔法(炎系)を使える様になった。
そして世界樹の苗木なんだが、なんとアイテムボックスに何故か入ることができた?
〔おかしいな。生物は入らない筈では? 〕
そして精霊樹様と色々と話し合っていたなか………
「それで新しい村の長をどう決めるんですか? 」
「それは世界樹様に決めてもらうんじゃよ。世界樹様、誰が良いでしょうか? 」
『そうね、………セルゲイが適任でしょうね 』
「おぉ、セルゲイにですか。わかりました、そのように準備をします 」
新しい苗木は世界樹様に指名された者が次の村の長になるのがしきたりらしい。
世界樹様との話し合いが終わり、族長の家で先程のメンバーとセルゲイ、フィリップが呼ばれ先程決まった話をすると………
「な、私が新たな村の族長に!? 」
「まぁ世界樹様の指名だからしっかり務めなさい 」
「兄さん、良かったですね。もうこの村は僕が守っていきますので兄さんは自分の村をしっかり作って下さいね 」
そして僕の肩にいる精霊を見て長老の皆さんが驚いて土下座していたよ。
「「「「「「イ、イフリート様! 」」」」」」
《何を畏まっておる。私はただ、この者と契約しただけだ? 》
ちょっとした騒ぎになったが、この後は宴会になっていった。
世界樹の苗木を託された事は大変名誉な事らしい。
〔本来はエルフ族の中から指名されていたらしい? 〕
あの場所までどうやって行くのか考えなければいけないな。
しかもどうやってあの場所(最前線)を安定化させるかだよな………
〔しかも誰にも見つからずにって無理じゃねぇ? 〕
取りあえず現地に行く準備を始めたけどね。
この後、思いもよらない出会いが在るとはこの時のアーサーは思ってもいなかった。
閑②ーⅣ
世界樹様は無茶ぶりが得意ですか?
そしてアーサーは精霊魔法(炎)が使えるようになった。
5/26 大精霊の会話の表記変更! 『 』から《 》に。