4ーⅣ話 10歳 イングスランド王国の現状②
4ーⅣ話です。
前回の続きです。
順調に海軍力は増強しそうですね。
4ーⅣ話
現在、会議中のフリートです。
国内、国際情勢はエライ事になってる様です。
「そうするとまだ数年の余裕はあるな。それでフリート子爵、現在のポーツマツでの艦艇の建造スケジュールはどうなっておる? 」
何故それを僕に聞くのかな?
「エ、建造スケジュールは、バーミンガム辺境伯爵様の許可が無いと……… 」
「別に良いぞ、フリート子爵。基本お前が仕切ってるのは皆知ってるからな 」
父上はかなりばらしているよ。
………仕方がないね。
「では……… 現在、ポーツマツ造船所では大型ドックにて新型の揚陸艦の試験艦を1隻建造中です。その後は同型の新型揚陸艦を3隻作りましてそのあとに10,000t級護衛艦艇と20,000t級大型巡洋艦も作る予定です。また、中型ドック5基でも現在、2基でロンドン級、1基で2800t級護衛艦、2基で3000t級駆逐艦を同時に建造中です。小型ドックでは現在、3基でドルフィン級哨戒挺を増産、のこりのドックで各種補助艦艇や民間船を作ってます 」
「そうか、そうするとその海軍艦艇はどうするんだ? 」
「予定ではそれぞれ王国、バーミンガム、エジンバラの各海軍、海兵隊に納品予定です 」
「後は建造速度だが5年後までにどのくらいの艦艇を用意できる予定かな? 」
「予定通りなら、新型揚陸艦4隻、新型大型護衛艦が3隻、新型中型護衛艦が12隻、巡洋艦が6隻、駆逐艦が24隻の予定です。ドルフィン級哨戒挺は各海軍海兵隊向けに各30隻づつ配備後に一回り大きな新型哨戒艦を作る予定になってます 」
「すると延びれば更に増やせると? 」
「そうですね。それと2000t級と500t級の貨物船も作りますし120t級哨戒艦も作りたいしね 」
「すると貨物船の建造を棚上げにして駆逐艦クラスを作ればもう少し増やせると? 」
まぁそうなるよね。
「いえ陛下、海上輸送力を考えますと、最低でもロンドン級貨物船を現在の8隻ともう8隻は必要かと。また、小型の輸送船も必要ですし、減らされても困ります 」
「ウ~ン、宰相の言う事ももっともなんだが………困ったのう 」
そんな事言われてもね。
「なるほどのう。なら建造ドックが増えれば更に増やせるのでは? 」
「確かにそうですが………予算は大丈夫ですか? 」
「確かに心配だのう………宰相、その辺はどうかな? 」
「わかりました。その件はロジャー、言いなさい 」
「ハ、説明させていただきます。今年度の…………………………… 」
もう、経済の話は難しいよぉ!
要約すると………………
・今年度も麦等の穀物の生産は一部地域を除いて順調で今年も大豊作の予定。
・備蓄小麦等の戦略物資の備蓄も問題なし。(約3年分の備蓄量)
・各鉱山、ダンジョン経営も問題なく順調。
・海洋資源(漁業)も順調に成長中。(河口にての養殖等の事業)
・その他各地域での魔物の討伐による素材の収益
・貿易による収支も順調
………等々基本、順調な国家運営状況だった(一部地域を除いて ) 。
あ、でもその一部地域が弾けたら………飛ばないか? 食糧備蓄量!?
〔ウ~ン、その辺はどうなんだろう? 〕
「一応、万が一にも一部地域が破綻しても破滅しても大丈夫な様に王家直轄領とエジンバラ辺境伯爵様の領内の在る場所に密かに備蓄しています。後、もう一ヶ所レスター子爵領にも予定しています 」
ウァ~、もう国は破滅前提で動いてるよ。
「それで後釜は彼で良いのか、宰相? 」
「問題は有りません。ロジャー三等書記官は優秀過ぎて私も困ってますよ。もう一等書記官にして私の後釜にしたいぐらいですよ 」
エェ~! ロジャー先輩は、まさかのエリート街道爆走中ですか!
しかももう三等書記官って………異例の出世ですね!?
〔どんだけ優秀なんだよ! まさにワイバーンからドラゴンが生まれたってか? 〕
「宰相閣下、勘弁してください。私は領地経営なんか無理ですよ! 」
「そのわりにある男爵領の問題と解決案を出してたった3ヶ月で正常にしたくせに今更何を言っておる? 」
どうもロジャー先輩は、どこかの男爵領の問題を解決して出世したらしい。
そして今は、宰相様の下にいるらしいね。
「さて、マンチェスター家の問題は良いとして、問題はフリート子爵の今後の事だな 」
あれ、矛先がこっちに来たけど………
僕、何かしたかな?
「フリート子爵にはブルー島とバーミンガム領のシード島の領地ができたのだが、子爵領地としてはかなり小さい。やはりそれでは他の領主に舐められるのはワシとしても我慢ならない 」
何で?
「そこでじゃ、南方の王家直轄領のフェロー諸島を子爵領に編入させようと思う。まぁ、フリート子爵が学園を卒業後に開発を始める事にすれば暫くはほっといても良い。開発を始める時は王家も援助するから心配するな 」
………あれ、父上から聞いたのと若干ニアンスが違うような?
まぁ実際にはフェロー島は、資源の宝庫の様な予感がするけどね。
〔調査次第だね 〕
「それとな、確認だがハリー校長、フリート子爵の成績はどうなんじゃ? 実際は? 」
「その件ですが、実際フリート子爵の学力に関しては既に高等部に入れても問題の無いレベルですね。全くバーミンガム辺境伯爵夫人の教育は凄いですよ。学園の講師に招きたい位ですよ 」
「その辺はエジンバラ辺境伯爵家の方からもお礼を。我が娘、メモリをよくぞSクラスに入れるまでにしてくれたと、妻と2人喜んでいますよ。ジョージ、ありがとう 」
「アル、それは妻に言ってくれ。私は何もしとらんしな。それに努力したのは娘さんだろう 」
「オッホン、そのぐらいで。フリート子爵の武術についてはグリッド武術教官よりですね 」
「では私から。フリート子爵は、正直言ってこのまま延びれば更に強くなるでしょう。もっとも今は成長途中で体力的に難がありますが問題なくそこの兄よりは強くなるでしょうね。ワシが鍛えてイグニス現騎士団長が鍛えてますからね 」
「確かに私も甥っ子と一緒に鍛えてますが、普段授業で鍛えてるのはグリッド前騎士団長殿では? 」
「では、お互いに 」
「レベルを上げても 」
「「問題ないですね♪ 」」
こうして修行のレベルが更に上がってしまった?
何でだよって、兄さまが焦った顔してるよ。
〔一緒に修行しません、兄さま? 〕
「それでな校長、少し頼みが有るんじゃが 」
「何でしょう? 」
「ある程度授業を免除しても問題ないかのう? 」
「はい、実際、フリート子爵は、すぐにでも高等部に入学できる学力と武術を持ってますので問題は無いと……… 」
「それなら学園に通うのも週2日でも問題ないか? 」
「ハ、問題無いと………しかし何故ですか? 」
本当、何でだよ?
「まぁまて、後で説明するからな。ところでフリート子爵、あの一緒に連れてきた女の子は何者じゃ? 」
「………陛下、この場で言っても? 」
「問題ない、話なさい 」
「彼女はブルー島のダンジョンコアの分体です 」
「ワシは[鑑定]を持っているのは知っているの 」
「はい、知ってます。一応僕も持ってますが……… 」
「なら良い。所でだ、彼女はただのダンジョンコアの分体なのか? 称号に[アルテナ女神の加護]が付いておるが? 」
あ、しまった!
[完全陰隠] で隠すの忘れてたよ!
「創造主神様であるアルテナ女神様の加護を持っているとはな。お主も持っとるだろう! 」
はい持ってますってなんて言えるかよ!
困ったな、一応持ってない事にしときますか?
〔バレているっぽいけどね 〕
「持ってませんよ。欲しいですけど? 」
「………まぁ良い。それでな、彼女に何をさせるんじゃ? 」
「………今の所は特に? 将来的には、世界の海洋を冒険したいので、一緒に連れて行きますよ。それにそれ用に船も作ろうかと思いますので。その船のコントロールするためのスキルも持ってますので。ただ、子爵になると色々と動けなくなりそうなので、どうしましょう? 」
もう、汗だくですよ!
「ほう、そうか。てっきり神託でも受けたかと思ったぞ! 」
全く焦るよねぇ!
どうしよう?
「え~と、むさしちゃんが、アルテナ女神様に頼まれた事が有るらしいので次いでにこなそうかとは思いますが? 」
ベストアンサーだよね。
「ほう、してその内容は話せるかの? 」
あ、まずったかな?
「え~と、どうも物捜しと言いますか、ハッキリ言いますと神具の破片の回収ですね。それをしてほしいと? 」
皆さん驚いてますよ。
確かに壮大だよね。
「………それは世界中にか? 」
「はい。正確には、殆ど世界中の海の中に有るらしいのですが、結構散乱してるとか? 現場に行かないと無理だそうです 」
「なるほど、その為の船か。で、何時建造するのか? ドックはどうするのか? 」
どうするのか………困ったな。
「今、考えているのは、ブルー島ダンジョンの内部で建造しようかと……… 」
「それは何故かな? 」
「………長期間の航海をするとなると、かなりの大型船、しかも強力な防御力も必要かと。更に世界中の海には何がいるかわかりませんので 」
「しかし何故ダンジョン内で建造するのじゃ? 」
「………それは、機密保持の為でもありますが、ダンジョンコアの力を借りる為ですね。ドックの建築も比較的簡単にできそうですし、建造に関しても材料から人手まで簡単に揃いそうですしね。ただ時間が掛かりそうですけど……… 」
材料は丸々武蔵残骸+4隻分だしね。
人手はスケルトンスミスとゴーレムスミスを大量発生させるだけで行けそうだしね。
〔そんな事できるなんて、言えないけどね……… 〕
「それはそうじゃの。で、実際どのくらいの規模になるのじゃ? 」
「実際に建造してみないことにはわかりませんので 」
全く、言えるかよ!
元の戦艦は7万トンクラスの船で、今回作ろうとしてるのが約10万トンだなんて!
〔まぁ、大和級のデータを元に構造上の弱点を潰して全通装甲船体に改造したのを建造する予定だしね 〕
「まぁ良いが、いつ頃の完成かな? 」
「一応未定ですね。まだ設計図も有りませんし? 」
何せロンドン級でも5,000tクラスだしね。
「それなら良い。しっかりとした船を作りなさい。それとな、フリート子爵に別に頼みがある 」
やな予感?
なんだろうね。
イングスランド国王の文官制度について
イングスランド国王の文官制度は、完全実力制度であった。
階級も宰相をトップに1等書記官~5等書記官で最初は5等書記官からスタートする。
採用されるには………
・まず、採用試験で篩に掛けて、一定水準に達していない者は切り捨てる。(コネが有っても切る)
・採用になっても仕事はハードで行きなり新人に大きな仕事をやらせてみたりする。(勿論、先輩の手助けもちゃんと有ります)
・ある程度慣れると適材適所に配属していく。
・優秀なら出世は速いがダメなら万年ヒラ。
・なお、不正・賄賂・無駄遣い等、ヤラカシタ者・・・・・・はそれなりの罰を受ける事になる。
………と、結構厳しい。
〔査察専門の部署が有るらしい。国王様直属 〕
これは、初代国王様、井川君がかなり厳しめに決めたらしい。
給料は良いがその分働けスタイルだった。
〔パブリックサーバント(公僕の誠心)かな? 〕
ロジャー先輩は、ある中立派男爵領の危機的状態を上司のお供に視察していて何気に提案したら、なんとその提案が当たって解決してしまった。
実際は街の水不足の解決に治水の仕方、工事の方法と予算的な事等指導等、ロジャー先輩の指導で男爵が頑張った事になっていた。
〔その為、上司は宰相様に報告、ロジャー先輩は宰相様に才能を見いだされて直属の部下になったらしい 〕
ただし、国としての組織で地方貴族領に関しては査察しても明確な不正でもない限り取り締まりができない事になっていた。
これは何でもかんでも中央から指示しても発展できない事を初代国王様が指示していた為だった。
〔何でもかんでも中央からの指示でイチイチ指導も無いだろうと井川君は考えたらしい? 〕
某侯爵領に関しては、かなり無理に隠しているが、収益が堕ちているのも事実なので様子見している状態だった。
実際は、税金が高くて払えずに農民が耕作放棄して逃げてる為だった。
〔もっとも、逃がし屋(実は海賊スペクターの副業)が大金貰って他領に逃がしたり、拐って大陸方面に奴隷として売り飛ばしたりしていた 〕
4ーⅣ
陛下の言い回しが気になりますね。
(あれ、やな予感? )
しかし王国の文官制度は厳しいけど………この位が良いのでは?
日本もこの位厳しいと不正も無いかもね? (願望? )
R2.1.12 イルカ級→ドルフィン級に変更




