11ーⅢ話 21歳 シーランド王国 奪還戦?
11ーⅢ話です。
商売に来たナンギン帝国の商船を拿捕したグレートバリア王国軍
待ち構えた様に現れた合同訓練艦隊!
11ーⅢ話
3021年2月2日
シーランド王国北島、王国首都ウエリントの港
その日北のナンギン帝国の商船が交易の為に立ち寄っていた。
ナンギン帝国やイングスランド王国の特産品、食料や武具等の道具類、魔導鉄板等の便利魔導具等の売り込みに来ていた。
〔まぁ、わざとらしく来ていたけどね 〕
早速、シーランド王国との商談をしようとしていた商船長は乗員共々逮捕、船は拿捕された?
なんと、今この港を管理してるのはグレートバリア王国だと言うじゃないか!
〔わざとらしくさわぐ乗員達! 〕
グレートバリア王国側はこの船を売れと言ってきた!
商船長はこの船はイングスランド王国からレンタルされてる船で、商船自体ナンギン帝国の商家が借りていて無理だと言う。
〔船員はナンギン帝国人とイングスランド王国人だと言う 〕
流石に不味いと思った現場指揮官は上司にお伺いを立てた。
もし、この時にこの船を開放していたら何も起こらなかっただろう。
〔現場指揮官は優秀だった 〕
最終的にそのお伺いは、占領軍のトップのデブリ提督(皇太子派海軍)の命令で拿捕して船ごと乗員を本土に連行後、乗員達は本国に帰ってもらう事に。
ただし、この時は大事になるとは皇太子派も第2王子派も思って無かったらしい。
〔第2王子派は何でうちの方の港に入港しなかったのかと悔しがっていたとか 〕
2月20日
拿捕してから半月後。
拿捕した船の操船ができず、商船関係者の協力も得られず、しかも無理矢理だとバレた時に国際問題になるから拷問もできずにいた。
〔やったら面倒な国際問題になるぞと商船長が脅していたからだったが! 〕
グレートバリア王国本土から来た研究員(ナンギン帝国からの亡命者含む6人)に見てもらっていたが操作方が全く解らなかった。
魔導送風機とは構造も魔導術式も違う未知の機関だから調べるにしてもここでは無理だし本土でもどうか怪しかった。
〔このグループが送風機のコピー品の開発をしていた 〕
お昼頃、ウエリント港沖に謎の大型船団が現れた。
普通に見ても魔導帆船より大きく帆が無く、風も無いのに進んでいた。
〔拿捕した船より大きく迫力が有った 〕
その船が沖に停泊して暫くしてから小型船が港に向かって来た。
小型船にはイングスランド王国とナンギン帝国の旗が掲げられていた。
〔流石に不味いと思う港の警備隊長 〕
「ここの指揮官は誰ですか? 」
「………私だ! グレートバリア王国軍のダリだ。ここの警備隊長をしている 」
「失礼した。私はイングスランド王国、ナンギン帝国合同遠洋航海訓練艦隊、イングスランド王国海軍第3駆逐戦隊のドミニク海軍小佐です。以後お見知りおきを 」
「それで貴公達は何用で来られたのかと? 」
「今回は訓練航海の途中、補給できないかとシーランド王国に寄ったのだが何故貴公達、グレートバリア王国軍が港の管理を? それにそこの商船は確かナンギン帝国の商家にレンタル中の船の筈だが船員はどうしたのかな? 」
「それに付いては……… オイ、どうなってるか聞いてこい! 」
慌てて聞きに行く下っぱ兵。
暫くして上官が来たが………
〔不味いな、ハズレのバカボンが来たぞ! っと思う警備隊長! 〕
「貴様ら何処から来た! 」
行きなりの上から目線で高圧的な上官だと思う。
警備隊長が頭を抱えてた。
「礼儀を知らないのかね。私はイングスランド王国海軍、第3駆逐戦隊のドミニク海軍小佐です。イングスランド王国、ナンギン帝国合同遠洋航海訓練艦隊としてこの海域まで来ました。貴方は誰ですか? 」
「何を生意気な! ワシはグレートバリア王国軍のバイソン司令官様だ! 」
「そうですか。それで聞きますがそこの商船はどうして停泊しているので? 乗員はどうしました? 」
「その船の船長がわが国に船を売れと言ったのを拒否してな。仕方なく接収した。素直に売れば良いものを! 」
ばか正直に答えるバイソン司令官。
少し離れる警備隊長。
〔流石に庇えるレベルでも無く、巻き込まれたくは無かった 〕
「変ですね。その船に関してはイングスランド王国の所有で現在はナンギン帝国にレンタル中なのですが……… そうですよね? 」
「そうだな。失礼、私はナンギン帝国海軍、グリス海軍小佐です。その船の引き渡しにも立ち会ってるから間違いないぞ! 」
「さて、パイソン司令官様、これはどう言う事でしょう? 」
「普通に国際問題ですね。しかも我々が気が付かなければどうなっているやら 」
今になって焦るパイソン。
アタアタしてたら後ろから更に来たのが………
「おい、どうしたのだパイソン?」
「あぁ、デブリ提督。この者共が………… 」
デブリ提督に一生懸命に説明するパイソン司令官。
一応挨拶するデブリ司令官。
〔挨拶の後、問いただす2人の小佐〕
「なるほど。すると貴公達はこの魔導船に詳しいと? 」
「確かに詳しいですよ。それが何か? 」
「では我々に構造と操船方法を教えてもらおう! 」
「何を言ってるのかな? 」
「さぁ、現状を認識してないのでは? 」
「お前達、この者共を逮捕せよ! それと沖の船を拿捕してこい! 」
一斉に剣を向ける警備隊と兵士達。
「おやおや、良いのですね。剣を向ける事は死ぬ覚悟が有ると言う事ですよ? 」
そう言うと警備隊と兵士達は怯んだ。
だが、デブリ提督に恫喝されて仕方なく構え直していた。
〔しっかりと脅してくるデブリ提督とパイソン司令官 〕
「さて、これで大義名分ができましたね。オイ、もう良いぞ! 」
合図をすると水中から重歩兵11人が飛び出て来て2人の前にでた!
同時に8m救難連絡挺の乗員が上空に信号弾(赤)を打ち上げた!
「「な、なんだその重歩兵は! 」」
魔導装甲騎士を見て驚いて尻餅を付く提督と司令官
1歩引く警備隊と兵士達
「さて、先ずはここの鎮圧と商船の乗員の救助かな? 」
「次いでに掃除もしますか? 」
「先ずはシーランド王国の関係者を探して聞くか? 何故こうなったのかと? 」
そこからは蹂躙劇だった。
第2師団、第2海兵大隊、第2魔導装甲兵中隊、第2小隊の面々が警備隊と兵士達を次々と倒して城に向かう。
〔剣で魔導装甲騎士は倒せなかった 〕
他の港の水中からも他の第1中隊や第2中隊の連中が現れて市内各所に突入して城に向かう。
邪魔する兵士は片っ端から倒されていった。
〔無敵の魔導装甲騎士だった 〕
同時に沖からランディングⅢ等々の上陸舟艇が次々と港に侵入。
ナンギン帝国海軍兵とイングスランド王国海軍兵(ブルー海軍海兵隊)で橋頭堡を確保、内陸部に進行していった。
〔ほぼ電撃進行作戦だった! 〕
そしてシーランド王国首都、ウエリント街は再占領される事に。
ウエリント城内に幽閉されていた第1王女も無事に確保、ウエリント街を平定した。
〔電撃戦による強襲作戦だった 〕
捕まえた捕虜はウエリント城の練兵場に押し込められて合同軍の監視下に置かれた。
同日、夕刻
港の臨時補給所内のテントの中に居る今回の騒ぎの原因、デブリ提督とパイソン司令官は縛られた状態で椅子に座らせられていた。
「おい、こんな事して後で後悔するなよ! 」
「我々をすぐに開放しろ! 」
等々、騒いでいたが………
「貴公らがした事に付いてはどうなんですか? 我々が聞きたいのは何故商船を拿捕したのか、何故我々に剣を向けたのかですよ? 剣を向けられた軍隊が、ハイそうですかと従う訳無いでしょう? 」
「それに自国民が不当に捕まってるのに黙ってる軍隊はいませんよ。彼ら商人はただ商売したいだけでしたのに 」
「小佐、合同訓練艦隊司令がお見えになりました! 」
「では行きますか 」
「後悔してもらいましょうか 」
「「………… 」」
テントを出た2人の捕虜は港の外を見て驚いていた!
「「ナ、ナ、ナ、なんだ、あの船は! 」」
其所には合同訓練艦隊旗艦、強襲揚陸艦ホワイトが堂々と停泊していた。
ホワイトからは兵員や物資を載せた揚陸挺が行き来していた。
〔後ろにシーライオン級や拿捕された商船の同型カーゴ級も居たが目立って無かった 〕
2月21日
ウエリント街の外、5km程離れた所の前線指揮所に居た為に巻き込まれ無かった一応現在の最高位のアーネスト遠征軍参謀長は困っていた。
ここからでも見える港に居る巨大な船。
正直、相手にしたくなかった。
〔あんなのに喧嘩を売ってる司令官と提督の愚行を嘆いていた 〕
街の方を見ると、何か箱の様な物が土煙を上げてこちらに向かって来た。
見たことが無い物だった。
〔しかも馬が引いていなかった? 〕
近くで止まると中から人が出てきた。
「私はイングスランド王国海軍、ドミニク海軍小佐です。そちらの最高責任者は何方ですか? 」
「私がグレートバリア王国軍、アーネスト遠征軍参謀長です。貴公らは一体何故ウエリント街を占拠したのか正したい 」
「おや、聞いてませんか。お宅の司令官が何をやったか? 」
ドミニク小佐は事細かくやられた事を話していく。
アーネスト参謀長は話を聞けば聞くほど顔が青くなっていた。
〔普通に外交儀礼に反するし、普通に国際問題だった 〕
「我がグレートバリア王国軍はどうすれば良いのですか? 」
「それに関してはうちの総司令官と話して下さい。街まで案内しますので一緒に来ていただきたい。よろしいですか? 」
「………わかりました。オイ、私は相手方と話し合いをしてくる。全軍、現状維持に勤めよ。後、南のバカ共に悟られるなよ! 」
案内されて着いたのは先程から見えていた巨大な船だった。
なんと、先端から中に入る事に!
〔現在は直接護岸に荷物を降ろしていた 〕
中はとても広く、頑丈な作り………全金属製らしかった!
こんな相手に喧嘩を売ったのかと思うと頭が痛くなるアーネストだった。
〔何年か進んでいる技術を見せ付けられている様だった 〕
そして案内された部屋の中に小柄な人物が居た?
明らかに若いが、尋常じゃない魔力が見えていた?
〔アーネスト参謀長は優秀な魔法使いでもあった 〕
「ようこそ、我が艦隊へ。私はイングスランド王国連合統合海軍副司令官で今回のイングスランド王国、ナンギン帝国合同遠洋航海訓練艦隊の代表指揮官のフリート・アール・ブルー海軍大将です。本国では辺境伯爵の地位でもあります 」
とんでもない大物だった。
何て者に何をやってるんだと思うアーネストだった。
「失礼しました! 私はグレートバリア王国シーランド駐留軍参謀長のアーネスト・ナイト・シドニーです。以後お見知りおきを! 」
「どうやらやっとマトモにお話ができる方ですね。何せあの司令官と提督は………… 」
「ハ、その件に付いては申し訳ありません。我らも困った人達でして……… 」
「なるほど、お飾りですか? 大変ですね(笑) 」
「エェ、全く(笑) 」
その場は少し和やかになった。
この人物は何気にできる人だと思うフリートだった。
今回の騒動に付いて色々と話を聞くことができたがかなり面倒な国際問題だった。
何せシーランド王国を占領した理由が特に酷かった。
「それではお宅の王太子がシーランド王国の第2王女に一目惚れしたのが原因ですか? 」
「全くもってお恥ずかしい。ちゃんと国内の問題を片付けてから話を持っていけば良いものを! 」
「それを助長したのが提督と司令官達だったと? 」
「そうなりますね。しかも第2王子まで動きまして、現在膠着状態になってます。まぁ第2王子は第1王女狙いだった見たいですが(笑) 」
呆れた理由だった。
ダンジョン資源が目当てだと思ったのがバカらしくなった。
「フ~ン、すると我が方は2人の王女を囲ってる事になるのかな? 」
「な、第2王女が生きているのですか! 」
「まぁ、偶々遭難してるのをナンギン帝国側が救助してまして、現在はナンギン帝国で療養してますよ 」
「はぁ、それは良かった……… 良くないですね。王太子がやっと諦めたのに……… 一体どうしたら良いのでしょうね? 」
まさかのフラワー王女の生存に焦るアーネストだった。
事が知られれば、また騒ぎが起きると!
〔何故か同情したくなるフリートだった 〕
そしてアーネストとは遅くまで話し合い、今後どうするか、どの様にするかの詰の協議をしていった。
現場サイドでの話し合いだったが。
〔まぁ、先ずはシーランド王国からのグレートバリア王国の撤退案ですけどね 〕
2月22日
第2王子派が占領した南島北部、ネルソン街に居る遠征軍司令官ボイラー司令官の元にも合同遠洋航海訓練艦隊からのメッセージが届けられた。
代表者を寄越せと。
〔ヤッパリ似たような反応をするボイラー司令官 〕
ただ、パイソン司令官とは違い、冷静だった。
元々この遠征にも反対で、送れる兵力もたいして送れないので南島北部のネルソン街を占拠後は戦線を拡げず、パイソンの送って来る部隊の迎撃を優先して攻めには行かなかった。
〔元々上が冷静になるまで待つつもりだった 〕
そんなときに現れた外国の艦隊だった。
調べたら、あっという間に北島のウエリント街を占拠したらしい。
〔パイソンの失態も把握していた 〕
敵になるか味方にできるかわからなかったが会ってみる事にしたボイラー司令官だった。
部下には話し合いをしてくるから動くなと命令して。
〔特に副司令官のヤホークに言い聞かせてから 〕
同日
南部で立て込もっているザイル国王の元に合同遠洋航海訓練艦隊からの使者が、フラワー第2王女様の手紙と首都ウエリント街の奪還とピネス第1王女様の救出を知らされた。
そして話し合いをしたいとザイル国王に首都ウエリント街まで戻ってもらう事に。
〔手紙を見ても半信半疑だったが行くことにしたザイル国王だった 〕
こうして3者との話し合いに持ち込んだフリートだった。
果たして、シーランド王国に平和が訪れるのか?
11ーⅢ
アッサリと捕まる商船団。
颯爽と現れて首都ウエリント街を奪取す合同訓練艦隊?
しかし簡単に引っ掛かり過ぎだろうに?
理由も何それだったけどね?
明日も投稿します。