10ーⅩⅣ話 20歳 ウラジオストク要塞攻略戦
10ーⅩⅣ話です。
次はウラジオストク要塞の合同攻略戦です。
呑気な聖国軍vs5ヵ国連合軍
10ーⅩⅣ話
3020年5月15日
([浮游城ゴヴォロフ]と聖国艦隊が全滅して7日後)
ウラジオストク要塞司令部内
[浮游城ゴヴォロフ]が撃沈し、聖国艦隊が全滅したとは知らない呑気な要塞司令部だった。
「今頃はポルトンダンジョンに不時着、艦隊も上陸して占拠しているであろうな? 」
実際は[浮遊城ゴロウォフ]は墜落後占領。
艦隊は魔導帆船が2隻を残して全滅、ガレー船改船団は降伏していた。
「はい、大司教様。今日中には第1報を知らせる魔導帆船が戻って来る筈です 」
第1報が来たら後続の増援を送ることになっていた。
その為、港には増援の魔導帆船が5隻、ガレー船改が30隻待機していた。
「しかし遅いですなぁ。まぁ、あの2人だからか? 」
「言うな、あの2人は水と油だ。今更仲良くはできんだろう? 」
「それを利用して争わせているのは大司教様ですから 」
「その方がお互いに張り合うから結果が良くなるからな 」
「大司教様もお人が悪いですなぁ 」
「そうか、わしもそう思うが? 」
「「「「「大司教様、ご冗談を 」」」」」
そして大いに笑っていたバカノフ大司教と取り巻き達だった。
その時、見張りの兵が入ってきた。
「大司教様、沖合から謎の船団が現れました! 」
「どうした、慌てて。聖国船が戻って来たのではないのか? 」
何やらおかしな報告だった。
戻って来る連絡船は魔導帆船1隻でこと足りるのに、船団と言っているな?
「もっとハッキリとわかる報告をせよ 」
すると他の見張りの兵が慌てた様に入ってきた。
「大司教様、敵の大艦隊が向かって来ています! 」
「何だと! 何処の艦隊だ! 」
「敵船には、イングスランド王国、東ロシーナ王国、ホクギン公国、ナンギン帝国、コウライ王国の国旗が掲げています! 」
「何だと! 」
「有り得ない。何故5か国の国旗を掲げているんだ? 」
5か国連合艦隊総旗艦、強襲揚陸艦ホワイト艦橋にて!
「イヤー、乗り心地が良いですな 」
「まぁ、多少兵達が船酔いしているが 」
「そこは上陸するまで我慢ですよ 」
「それにしても貰った船酔いポーションが結構効きますな 」
「もっとも味は不味いがな 」
「それは言わないで下さい(笑) 」
アハハハハと笑うのは今回の上陸作戦を指揮する各国の指揮官達だった。
東ロシーナ王国からミハイル陸軍第1師団長(王族)
ホクギン公国からカシム航空魔導師団長
ナンギン帝国からグラハムワイバーン騎士団長
コウライ王国からガルム陸軍第1師団長
イングスランド王国からロイド第1海兵師団長(ブルー辺境伯軍)
………の各国の指揮官達だった。
今回の遠征艦隊も急遽イングスランド王国の所有する各シーライオン級揚陸艦を各国に派遣、部隊を拾ってウラジオストク沖合に終結してからの作戦となった。
なお、ナンギン帝国が何故参加しているのは、ウラジオストク要塞に逃げ込んだ裏切り者の捕獲する為と言っているが、イングスランド王国に借りを返すついでにワイバーン騎士隊の訓練だと思う。
〔ワイバーンを本格的に洋上で使うためだろうね 〕
今回、ホワイトの甲板上には連絡用にセイバー06が1機載ってる以外はワイバーンとエアロウイング達が乗っていた。
航空魔導師団が偵察と援護、ワイバーン騎士団が爆撃と決まっていた。
〔制空権の確保ですね 〕
東ロシーナ王国軍とコウライ王国軍、イングスランド王国軍は陸軍師団を上陸、ウラジオストク要塞の占領を目指す。
前回の国際会議の時に、この事を提案した時は占領後どうするか揉めたが、フリートが5か国合同統治案を提案、納得しての行動だった。
〔まぁ、前世で言う、シンガポールみたいな国を作るって感じでね 〕
「では、セイバーでビラを撒いてから行動ですね 」
「まぁ、どのみち上陸して占領するのだから撒かなくても良いのでは? 」
「一応、宣戦布告のかわりですからね。一応、国際戦時協定は守らないとね 」
「我々は守りますがね。もっとも聖国は加盟してないけどね! 」
「まぁ、我々を狂信者と言ってますけど、どっちが狂信者なのかな? 」
「では、作戦開始しましょう 」
作戦は先ずセイバーによるビラ巻きから始まった。
ウラジオストク要塞司令部視点
「何だ? この紙は! 」
「ハ、たった今空から巻かれた紙です。敵の魔導航空機より巻かれた物です 」
「要塞内全域にか! 」
「そうで有ります 」
「奴隷どもは見ていないだろうな! 直ぐに回収せよ! 」
「無理です。奴隷は奴隷兵として配備してますので見た者は多数います。ただ、奴隷の首輪をしていますのでその辺は大丈夫かと? 」
「しかしあり得ません! 我が聖国軍の浮游城も艦隊もがやられたとは? 」
「あの浮游城をどうやって潰すんだ? 」
「どうでも良い。目の前に敵船が居るのだ! 敵が上陸してくるぞ! 迎え撃つ! 」
「「「「「ハ、大司教様」」」」」
バカノフ大司教は焦った!
ビラに書かれていた内容は聖国にとっては絶対に飲めない内容だったからだ。
【ソビエ聖国ウラジオストク要塞司令官に注ぐ!
今回のイングスランド王国への侵略行為、及びホクギン公国カミジョウ要塞破壊、東ロシーナ王国領土の不法占拠に対しての賠償として以下の事を要求する!
①ウラジオストク要塞の無血開城及び聖国軍の退去
②現在ウラジオストク要塞内に居る奴隷の開放
③イングスランド王国及びホクギン公国への賠償金の支払
④今回のイングスランド王国への占領軍及び艦隊乗員等捕虜の身代金及び送還の手続き
⑤現在、占領中の東ロシーナ王国領土からの全面撤退
以上を要求する!
このビラを撒いてから1時間後までに返答せよ!
沖合に居る我々5か国連合艦隊まで使者を寄越せ!
使者が来ない場合は拒否と受け止め行動させてもらう!
なお、浮游城は既に破壊、聖国艦隊は撃沈又は拿捕済みである!
早急なる返答を!
5か国合同連合艦隊司令部 代表 東ロシーナ王国 ミハイル・アール・ロシーナ 】
もしもこの内容を飲んだら自分が確実に終わってしまうからだ。
この要塞内には教皇派の人間が居るはずなのでこのビラをもって報告されれば間違いなく粛清される為だった。
〔まぁ、散々予算を使って無駄にしてたからね 〕
今回はウラジオストク要塞を守死してでも守らないと確実に破滅する。
なのでビラを無視して要塞にての迎撃をすることとなった。
〔その為、緊急で準備を始めた 〕
有りったけの大砲、弾薬を城壁に上げて迎え撃つ事に。
奴隷兵を前面に出して迎え撃つ。
〔奴隷兵を肉の壁として使う為だったが 〕
強襲揚陸艦ホワイト艦橋にて!
「まぁ、此方を無視して準備ですかね? 」
「ウ~ン、まさか奴隷の肉壁ですか。聖国軍は鬼畜ですね 」
「奴隷兵達は助けたいですね。難しいけど 」
「城壁に大砲とバリスタ、弓兵と魔法兵の配置ですね。それでどうするので? 」
ブルー辺境伯軍から借りた双眼鏡を覗いている各国の指揮官。
「もう暫くお待ちを。ブルー卿より作戦が有ると。ただ"驚かないでね"と言われてまして……… 」
「要するに聞いてないのですな? 」
「はい、その通りで。ソロソロですかね? 」
それは突然起こった!
上空より光の柱が降りてきていた?
〔見た目、綺麗な光の柱がウラジオストク要塞に降り注いでいた? 〕
「「「「「何が起こったんだ! 」」」」」
ウラジオストク要塞司令部視点
「何がおきた? 」
「わかりません。ただ、空から光が降りて来ています! 」
「おぉ、神の祝福だな! 良し、これで勝てるぞ! 」
能天気な事を言うバカノフ大司教。
「た、大変でございます! 」
見張りの兵が慌てて入って来た。
「何を騒ぐ? 神の祝福だぞ! この光は! 」
「イエ、光の件ではございません。奴隷どもの奴隷の首輪が外れています! 」
「何だと! 」
また兵が慌てて入って来た。
「奴隷兵が反乱、襲ってきています! 」
「何だと! 全ての奴隷の首輪が取れたのか? 有り得ないだろう! 」
「この光が当たった瞬間、首輪が外れています! 」
見張りの兵が予想外の事を言った!
「まさか、この光はデスペル(光魔法、特級)なのか? 」
「まさか、こんな大規模に魔法が使えるなんて不可能だ! 」
「高位の光魔法が使える教皇様でも無理だろう? これは神の悪戯か? 」
上空15,000m、マザーバード視点
「これで中は混乱するだろうね 」
「フリート、今のは何? 」
「何、マック。ただのデスペル(解呪)の魔法だよ? 」
「イヤイヤ、デスペルは良いけど規模が大きく………イヤ、巨大過ぎるだろうが! どうやったの? 」
「ムサシちゃんに積んだ魔導砲、[マギブラスター]だよ! この兵装は魔法を特殊なシリンダーの中に貯めてから発射するんだよ 」
「イヤイヤ、あれは浮游城を撃ち抜く威力が有ったろう。確かにデスペルは解呪の光魔法だけどね。どうなってるの? 」
「原理は一緒だよ。魔法の摘めた種類で効果が変わるんだよ。浮游城を撃ち抜いたのは光魔法のサン・レーザー(特級)をチャージして500倍の威力で発射したからね。今回はデスペルの魔法を同じ500倍にしてこのマザーの[イージス]で反射してウラジオストク要塞に照射したんだよ 」
「ヘェ~って、全くわからん? でも、これでどうなるの? 」
「マック、ウラジオストク要塞には多くの奴隷兵が居るだろう。もしも奴隷の首輪が外れたら奴隷兵はどうすると思う? 」
「あ、聖国兵に襲い掛かる! すると今頃は……… 」
「内乱の真っ最中だろうね 」
「ウワ~、エゲツナ! 」
「まぁ良いだろう。味方の被害が少ない方が。お、艦隊が突入していったね 」
「これでウラジオストク要塞も楽に占領できるのかな? 」
暫く覗いていたら、ヤッパリ居るよね。
逃げ出す奴が!
「後は………ヤッパリ逃げ出すよね。裏門から馬車が………3、4、5台出たね。しょうがないねぇ。"カチ! " 『ブルーリーダーよりホワイト、裏から馬車が逃げたしたぞ! グラハム騎士団長かカシム師団長に伝えて! 』 」
『ホワイトよりブルーリーダー、了解! 伝えます 』
「さて、お手並み拝見! 」
暫くして………
「あ、ワイバーンとエアロウイングが向かったね 」
「あれはグラハム騎士団長とカシム師団長だな! 」
逃亡者視点
「もっと速く走らせんか! 」
「大司教様、これ以上は無理です。馬車が壊れます! 」
「何を言っている! ワシが捕まる訳にはいかないのだ! 」
急がしているバカノフ大司教!
ちなみに5台馬車の内、3台は金銀財宝が満載していた。
〔今まで溜め込んでいたバカノフの資産の一部だった 〕
「大司教様、後からワイバーンとエアロウイングが追ってきます! 」
「何だと! 何とか撃ち落とせ! 」
弓兵と魔法兵が馬車の上から各々矢と魔法を放つ!
だが、ワイバーンには避けられエアロウイングにぶら下がってる兵は足を前に出すと何故か矢は反れ、魔法は止められて霧散していた?
〔元々かなり揺れている馬車の上からではまともに当てる事ができなかった 〕
お返しとばかりにワイバーンは先頭の馬車の前に爆弾樽? を落として爆発させて馬車を強制的に止めていた。
止まった所にエアロウイングの兵士が長い杖? から魔法弾を放って最後尾の馬車から順に車輪を破壊していき、5台の馬車の動きを完全に止めた。
〔これで完全に動けなくなった逃亡者達 〕
後方からはワイバーンとエアロウイングの増援が来ていた。
そして逃亡者、バカノフ大司教と取り巻き達は全員捕まっていた。
〔ワイバーンとエアロウイングに囲まれ睨まれてアッサリと降伏していた 〕
こうしてウラジオストク要塞攻略戦は終息した。
ソビエ聖国はイングスランド大内海への重要な拠点を失った。
10ーⅩⅣ
ヤッパリヘタレな大司教一派。
謎の光で奴隷兵達は開放された!
占領されそうと見て逃げ出していた大司教一派!
颯爽と捕まえるグラハムワイバーン騎士団長とカシム航空魔導師団長!
まぁ、謎の攻撃の元に関しては2話後に書きました。
明日も投稿します。