10ーⅨ話 19歳 第2回国際会議
10ーⅨ話です。
第2回国際会議です。
ソビエ聖国側の事情って………
10ーⅨ話
3019年11月
学園での文武祭の前日に第1回航空祭が行われた。
勿論、ここで陛下達王族専用機としてE/AーⅠプラウラーのお披露目でも有った。
〔見た目が金魚っぽい航空機が2機並んでいた 〕
当然の様に展示飛行をしようとした陛下だったが、王妃様に止められていた。
陛下は曲芸飛行をしようと企んでいたのがバレていた。
〔まぁ、ブルーアローズの曲技飛行を見たら真似したいよね 〕
結局、エドワード空軍大将専用機のみの飛行となった。
プラウラー2を中心の6機編隊での飛行だったが、市民の皆様は喜んで見ていた。
〔まぁ、お皿(管制ユニット)が乗った金魚が飛んでるからね 〕
この後は、ブルーアローズの航空ショウが始まって会場は大盛り上がりをしていた。
こうして無事に第1回航空祭は無事に終わった。
〔無事に終わって良かったよ 〕
航空祭が終わった後、E/AーⅠプラウラーは市民から、ロイヤルフィッシュ(王魚)と愛称を付けられていた。
12月
浮游城によるカミショヴィ要塞攻撃から3ヵ月………
ウラジオストク要塞脇に降りている浮游城の動きは無い。
〔岩石の取り付けと魔力の補給には時間が掛かるらしい? 〕
カミショヴィ要塞跡地にソビエ聖国が占領する事は無かった。
現在、ウラジオストク要塞の港には新型の帆船型魔導船(送風機付き)が10隻と改造ガレー船が約90隻(送風機付)が停泊していた。
〔流石に帆船型魔導船の建造は大変なのかな? 〕
ガレー船は占領軍の輸送用だと思うし数もまだまだ増えるだろう。
スパイ情報だと現在、大アムール川上流から続々ガレー船が下って来ている為だった。
〔川沿いにしっかりと監視網を敷いていたホクギン公国軍だった 〕
マザーバードによるウラジオストク要塞の定期偵察も、月に2回、15日と月末に行っていた。
上空から3ヶ月間程見ていたが、岩石の取り付けは上手く行って無い様だった。
〔まさか人海戦術だったのには驚いたね 〕
近隣の岩を切り出して馬や牛、奴隷に引かせて運んでいるのはまるでピラミッドを作っている様だった。
もっとも無属性魔法の身体強化魔法をかけているだけましなのかな?
〔それでも倒れる奴隷を鞭で叩く聖国兵って酷いが……… 〕
ウラル公国の情報部からの情報では、本来は4月に攻撃予定だったらしい。
ただ、内部での混乱(教皇派と大司教派)の争いと、奪還した街の復興と防衛施設の建築で時間が掛かった為に9月になったらしい。
〔浮游城は大司教派が運用しているらしい 〕
そして来年の9月に新教皇を決める選挙が有るらしい。
ソビエ聖国では、教皇を決めるのは世襲では無く各地に居る司教以上の者が次の教皇を指名投票して指名多数の者が次の教皇になるらしい。
〔教会って何処も同じなんだね 〕
今回の一連の攻撃は大司教派が優位になる為の行動らしい。
選挙は誰が誰に投票したのか分かる記名投票らしい。
〔その結果で次の教皇は地位を与えているらしい 〕
どうもウラジオストク要塞の管轄をしているダメノフ大司教が大司教派のトップらしい。
前回の教皇選挙では僅差で負けて、その後に賄賂等の不正が明らかになってこの最前線に飛ばされていた。
〔ま、裏切り者が出たのと厄介払いだったらしい 〕
通常、ウラジオストク要塞に飛ばされた時点で中央には復帰できないのが通常だった。
そこは組織の長、表はともかく裏に根を張りチャンスをまった。
〔転んでもただでは起きない図太い性格だった 〕
部下でもあるガルロフ大司教がミスをしてクスノヤルク街が占拠された挙げ句ウラル要塞を築かれた時はかなり焦っていた。
しかし、ガルロフが浮游城計画に飛ばされたのは結果良かった。
〔この計画は元々、ダメノフ大司教が仕切っていた 〕
イルクーツク街は元々大司教派の大司教が仕切っていて協力的だったのも良かった。
ガルロフも司教に格下げされてからは、自ら陣頭指揮を取ってこの[浮游城ゴヴォロフ]を完成させた。
〔かなり無理をして完成させた 〕
そしてウラル要塞の破壊とクスノヤルク街の奪還に成功した。
大司教派はその勢いで直ぐにでもウラジオストク要塞の目の上のたん瘤、カミショヴィ要塞の破壊を狙っていたが、教皇が邪魔をしたと思っていた。
〔実際はクスノヤルク街の復興と防衛に予算を取られた為だったが 〕
カミショヴィ要塞の破壊に成功した大司教派はウラジオストク要塞に自らの派閥の戦力を集め始めていた。
教皇派は長年の宿敵、東ロシーナ王国に進行する為だと思っていた。
〔普通に考えればそう思う 〕
ダメノフ大司教はそれでは時間が掛かる為、来年の9月の教皇選挙には間に合わないと思っていた。
そこで元々計画して中止していたイングスランド王国への奇襲占領作戦を思い出す。
〔その為の港の拡充と海賊スペクターの取り込み、イングスランド王国内の貴族派の取り込み工作だった。〕
ただ、クスノヤルク街を占拠された影響で計画を一時中止した為なのか、イングスランド王国への工作が軒並み潰されていた。
海賊スペクター艦隊もかなりやられてほぼ全滅状態だった。
〔その辺はフリートのせいでもある 〕
当初の計画ではイングスランド王国内のマンチェスター領でクーデター、内戦を起こさせその混乱の中、マンチェスター領の救援と称して首都ロンドンへの奇襲占領する予定だった。
秋の収穫が終わった後に内戦を始めて季節風が吹く冬に奇襲上陸する予定だった。
〔流石に内戦の途中に横から殴られたらたまった物ではないが! 〕
所がマンチェスター領は切り崩されて軍縮させられていてクーデターも事実上不可能、海賊スペクターも事実上壊滅していた。
これでは無傷のイングスランド王国軍との正面衝突するしか無かった。
〔流石に帆船型魔導船でもイングスランド王国艦隊の駆逐艦や哨戒挺にすら敵わない事はわかっていた 〕
しかし、無敵の[浮游城ゴヴォロフ]が登場して空気が変わった!
これなら勝てると!
〔何の根拠も無いが 〕
こうして、新イングスランド王国占領計画が始まった。
新計画では………
①[浮游城ゴヴォロフ]にて王都ロンドンを奇襲爆撃
②その後、海に比較的近いポルトンダンジョンに強行着陸してダンジョンを占拠!
③同時にソビエ聖国艦隊150隻でポルトン近くの海岸に奇襲上陸してポルトン街一帯を占領
④ポルトン地域を要塞化して持久戦をすると同時に[浮游城ゴヴォロフ]の修復を進める
⑤順次増援を送り占領地を増やす
⑥教皇選挙までにはポルトンを含む旧マンチェスター領を占領、その実績で教皇選挙に挑み勝利する! (この辺は妄想)
⑦教皇として旧教皇派の軍をイングスランド王国の占領に投入して全土を掌握して属国とする!
………と言う無茶な計画だった。
〔この計画は浮游城頼みが大きかったが! 〕
予定では魔力の補給に6ヶ月程掛かるが、岩石の取り付けが終わるのに更に2ヶ月程掛かりそうだった。
その為、出撃可能な時期が3020年5月になりそうだった。
〔正式に作戦は3020年5月となった! 〕
ダメノフ大司教派は5月に攻撃を始める事となった!
教皇選挙に結果を示す為のギリギリの期限だった。
〔8月までにポルトンを完全占領しないと失敗になる為だった! 〕
12月20日
ナンギン帝国アップシー国際港
「さて、着いたかな 」
現在、フリートを乗せた強襲揚陸艦ブルーはナンギン帝国のアップシー国際港に入港していた。
今回の訪問は、表向きナンギン帝国に販売予定のⅣ号リーベースの輸出用建築シリーズを各種とイングスランド王国の物産品を積んで来ての商談だった。
〔各王党派の領主から頼まれて各種物品も持って来ていた 〕
その為にナンギン帝国側もワザワザ[交易祭]と言うお祭りにしていた。
アップシー街ではナンギン帝国全土、近隣諸国からも商人が集まり、商品の買取りや、自分達の商品を売り込みをしに来ていた。
〔何処の商人も一緒ですね(笑) 〕
「それじゃケインさん、後よろしくね! 」
「ハイ、お任せを。ブルー卿、ごゆっくり商談を 」
今回は祭の方は、イングスランド王国側はケインさん達御用商人と商業ギルド関係者が中心に仕切ってもらうことに。
やはり商人には商人ですよね。
〔妙に張り切っているのが気になるけどね 〕
「エドワード王太子様、ブルー卿、こちらにどうぞ 」
「ワザワザの出迎えをすみません、グラハム騎士団長殿! 」
グラハム騎士団長自らのお出迎いだった。
馬車に乗って出発する。
〔上空にはワイバーン騎士団の護衛付きだった 〕
今回は表向き表敬訪問の為にナンギン帝国首都ナンギンにあるナンギン城に向かっていた。
実際は第2回国際会議の為だった。
〔[交易祭]はその為の偽装工作でも有った 〕
ナンギン城に入りナンギン帝国皇帝に謁見した後、始まる歓迎晩餐会だった。
「ブルー卿、久しぶり 」
「ガイアス皇太子様、ご無沙汰してました。その後はいかがしましたか 」
「まぁ、国内もワンタイ島も安定したしね。お陰で開発も順調ですよ。またイングスランド王国にと言うかブルー卿の島に行ってみたいですよ 」
「そうですね。色々と片付きましたらご招待状させてもらいますよ 」
「そうですね。それは楽しみにしておきますよ。では後程 」
次の日、国際会議が始まった。
前回と一緒で政治部門と軍事部門に別れての話し合いです。
〔軍事部門のメンバーは前回と一緒だった 〕
「カシム師団長、今回は災難でしたね 」
「まぁ、事前に準備ができていたから人的被害は無かったよ。カミショヴィ要塞はボロボロだけどね 」
「それでやはり占拠されなかったのですか? 」
「まぁ、岩石落としてそのままですね 」
「連中は戦力をウラジオストク要塞に集めているらしいね 」
「後は、次に何処を狙ってるかだな 」
「東ロシーナ王国の何処か? 」
「東ロシーナ王国なら航続距離からして首都のハバロクフクかダンジョンが有るチタ街でも攻撃が可能かな? 」
「確かに重要地区だが、船が必要か? 」
ハバロクフク街もチタ街も内陸で船による攻撃が必要では無かった。
「………やはりイングスランド王国だろうね! 」
その事を言うと皆さん驚いていた。
「何故そう思うのですか? 」
「海賊スペクターが聖国と繋がっていたのはご存知ですよね 」
「あの海賊どもには手を焼いたよ! 」
「まぁ、今はほとんどいなくなってるがね 」
東ロシーナ王国もコウライ王国もスペクターには手を焼いた。
「イングスランド王国国内に有ったスペクターの拠点を掃討した時に地図と計画の一部の書類が有りまして、冬の時期に季節風を利用して一気に大イングスランド内海を渡って攻める計画だったんですよ! 」
「ほう、またとんでもない計画ですね 」
「でも実行されなかったのですか? 」
「それはウラル公国が攻めた為に中止になったらしいですね 」
「なるほどね。我々も丁度疲弊していた聖国に楔を打ち込んでおこうと攻めたら呆気なく占領できましたからね。まぁ、そこの大司教が直ぐに逃げたからやり易かったですよ 」
「道理で簡単に攻められてウラル要塞もできる訳だね 」
「まぁ、今だから言えますけど、あの要塞実はできた頃はほとんど張りぼてで直ぐに攻められたらやばかったんですよ! 」
「それは、ラッキーでしたね 」
結構間抜けな司教だったらしい。
「ただ最近判ったのだが浮游城の司令官がその逃げた大司教らしい 」
「エ、有り得ないだろう? 」
「確かに一度失脚したらそんな重要なポストには付けないだろうに! 」
確かにそう思う?
「所が元々浮游城自体物になるかわからない物だったらしい。左遷先になったらしいね 」
「そうするとあの浮游城は元々完成間近だったと? 」
「予算の問題で止まってたのをその大司教が資金を投入して完成させたらしい。資金は司教が集めていたクスノヤルク街の裏金らしいけどね 」
脱出の時に持ち出していたらしい。
攻略した際に街に残っていた司祭が話していたそうです。
〔どうも悪徳司祭だったらしいね 〕
「その大司教はウラジオストク要塞の大司教の部下らしい 」
「それでイングスランド王国に攻める計画が復活したと? 」
「その前に目障りなカミショヴィ要塞を破壊した? 」
まぁそうなるよね。
後方の憂いを取ったと!
「所でブルー卿、どうするのかな? イングスランド王国としては? 」
「そうですね。今は弱点の詮索中ですかね。まぁこれを見てもらいましょう。極秘ですよ 」
そう言って例の写真と現状の予想構造図を出してみた。
驚く各国代表者達。
「なんと、ここまで調べていたのですか! 」
「この絵は何だ? はっきりと書かれているが? 」
「この図面も凄いな。予想だけでここまでわかるものなのか? 」
「どうやってここまで調べたのやら? 」
「なるほどねぇ。これでウチの海軍が敗れる訳だね。ここまで正確に調べられるならばあの島船が簡単に敗れる訳だね 」
「確かにこの形状でしたね。この絵通りですけど、どうやって……… ア! 」
どうもカシム師団長は気が付いたらしい。
「私の見解ですと、この構造だとこの部分、斜塔間のこの部分を破壊すれば魔力が止まってバランスが崩れるのではないかと? あくまで予想ですけどね 」
「するとこの斜塔を破壊できればと? 」
「すまんが実際に見たが、各斜塔には魔法兵と弓兵が詰めていて弾幕が凄かったですよ 」
「それも折り込み済みです。現在、攻略の為の研究をしてまして上手く行けばと思ってます。それに、国境を接している東ロシーナ王国とホクギン公国、コウライ王国に提案が有ります 」
この後の話し合いは結構紛糾していたが、なんとか纏まった。
上手く行けば各国共においしい話だったからだ。
〔内容は極秘ですよ! 〕
こうして会議は終わったが………
「ブルー卿、あれはやはり存在しているのですね 」
「まぁ、なんとも……… ただ、見た通りですかね 」
「そうですか。できれば今度乗せてもらいたいですね(笑) 」
まぁ良いかなと記念に発見された時の写真をあげた。
カシム師団長は驚いていたが喜んで受け取っていた。
〔"貴方が初めて見つけた人ですよ"と言いながら 〕
この後、政治部門でも承認されていた。
もっとも万が一東ロシーナ帝国や他の国に現れた場合は各国で支援することになった。
〔まぁ、聖国は嫌われてますからね 〕
後は、何時攻めて来るかだった。
季節風を利用して来るなら1年後の来年の12月以降だろうが………
10ーⅨ
まさか選挙対策で攻めようとする聖国大司教派の方々?
ガイアス君もあい変わらずですね。
国際会議はあい変わらず良い雰囲気ですね。
ある提案をするブルー卿!
今月は6話投稿行けるかな?