9ーⅩ話18歳 ワンタイ島救援作戦① ワンタイ島の救援①
16ーⅠ話です。
まさかワンタイダンジョンが弾けるとは!
救援は間に合うのか?
9ーⅩ話
10月1日 正午過ぎ
ワンタイ島ワンタイ街領主邸
「全く何て事になったんだ! 恐らく息子達は……… ならば後は新皇帝の指示通りにするしか……… しかし……… 」
「御方様、無理をなさらずに。ご子息も大丈夫ですよ 」 執事長
「だと良いがな。後は向こうの出方だろうな 」
ワンタイ子爵軍兵士が報告に入ってきた。
「御方様、ワンタイ湾にブルー辺境伯軍の艦艇が3隻到着しました。いかがなさいますか? 」
「1隻が代表団を乗せてる筈だ。丁重にお迎えの準備をせよ! 」 ワンタイ子爵軍司令官
「は、直ちに! 」
兵士は直ぐに港に向かった。
「さて、我々も行こうか。流石にトップが出迎えなければいけないだろうな 」
席を立とうとしたその時!
別の兵士が駆け込んできた!
「失礼します、緊急報告です! 」
「どうした、何があった! 」
「ワンタイ山から夥しい数の魔物がワンタイ街まで押し寄せて来てます。しかも上空には複数のワイバーンもいます! 」
「何だと、どう言う事だ! 直ちに軍にワンタイ街の防衛を命令せよ! それと冒険ギルドに緊急依頼をだせ! 報酬の保証は当家で持つと! 」
「ハ! 直ちに領軍に防衛命令と冒険ギルドに緊急依頼を出します! 」
兵士は直ぐに出ていった。
「それで御方様、この際ブルー辺境伯軍の艦艇に協力を求められては? 」
執事長が提案していた。
「流石に無理では無いのか? それよりできれば女子供を乗せられないか交渉しておこう。街の男は防衛戦の戦力として協力を求めよう 」
「御方様、ブルー辺境伯軍の代表の方がいらっしゃいました………いかが致しましょうか? 」
第2執事の執事長の息子が報告にきた。
「何、もう上陸されたのか!? 」
第2執事の後を大柄な人物が付いて来ていた。
「失礼する。緊急事態の様なので、此方から出向きました。私はイングスランド王国ブルー辺境伯爵軍第2艦隊第3駆逐艦隊シャークBu07艦長、ドレイク・ナイト・ワイルズです。ワンタイ領主のワンタイ子爵様でしょうか? 」
「私がこのワンタイ子爵領の領主、ダイン・ヴァイカウント・ワンタイです 」
「早速ですがブルー辺境伯爵様よりの伝言です 」
「何と言っておられる? 」
「今回のスタンピートの原因はワンタイ山のダンジョンが溢れてしまった為です 」
「ナ、ダンジョンスタンピートですと! 」
「はい、そうですね。我々はナンギン帝国からの依頼で支援する用意が有ります。先ずは第3駆逐艦隊による攻撃で数をできるだけ減らせるとの事。またワイバーンには対ワイバーン部隊を向かわせましたのでそれまでは極力防御を優先して民間人に被害がでないようにとの事です 」
「あいわかった。協力をお願いしよう。それでどうしたら良いかな? 」
「我が第3駆逐艦隊にて艦砲射撃をしますので着弾観測用の人員の上陸を許して下さい。それと指揮所に我々の人員の配置をお願いします 」
「わかりました。直ぐにでもお願いします 」
暫く打ち合わせをしていたらブルー辺境伯軍の伝令が来てドレイク提督に耳打ちをしていた。
「ワンタイ卿、現在ブルー辺境伯爵様とガイアス第2皇子様が第1陣として、ナンギン帝国軍のワイバーン騎士団、陸軍100名、冒険ギルドの増援とブルー辺境伯爵軍の海兵隊第2遠征旅団を連れてワンタイ湾に向かってます。それとナンギン帝国軍の増援も次々と輸送予定ですのでそれまでは諦めずに粘って欲しいと! 」
「本当ですか!? あ、ありがとうございます 」
思いがけず握手を交わすドレイク提督とワンタイ卿
「では、私は艦の方に向かいます。この騒ぎが終わったら盛大に祝勝会をしましょう。経費はガイアス第2皇子様とブルー辺境伯爵様の奢りで(笑) 」
「エェ、そうしましょう(笑) 」
こうしてワンタイ山ダンジョンのスタンピートを押さえる為のワンタイ島防衛戦が始まった。
観測員を派遣した各艦はそれぞれ指定された地域を担当する事になった。
〔各々ワンタイ領軍の観測用の街壁に有る指揮所に陣取った 〕
共同指揮所に入ったブルー辺境伯海軍海兵隊員は手際よく色々と物をセットしていった。
謎の箱にテーブルに地図を数枚乗せて広げていた。
〔余りにも手際が良くて呆気にとられるワンタイ領軍の指揮官達 〕
ブルー辺境伯軍では、ワンタイ島の地図は既に製作済みの為、ワンタイ領軍側は驚いていた。
自分達の持っている地図より正確かつ綺麗だった。
〔あれだけ高高度偵察してたら簡単に作れるよね。しかも最新の地図ぐらいはね! 〕
見張り台にて
「ホークアイ07よりシャーク07、配置に付いた 」
『シャーク07了解。敵はどの位見えてるか? 』
「今の所まだ遠く………グリッド17ー43付近だな? 射程的にはもうワンブロック近づいてからだな 」
『わかった。暫く待つ シャーク07アウト! 』
「あの~、その魔導具は? 」 ワンタイ領軍兵
近くにいたワンタイ領軍の兵士に質問された。
「ア、あぁこれ? これは魔導有線機の試作品ですね。このケーブルがあの港まで延びているでしょう? その先の駆逐艦まで届いているんだよ。そこに同じ魔導具が有るから通話ができるんだよ 」
「はぁ、なるほど…………? それで連絡して目標に当てるのですね? 」
「そうですね。何せ港側からは此方の前方は見えませんしね 」
「………確かにそうですね 」
このワンタイ子爵軍の兵士は事の重要性には気がついてなかった。
通信連絡網の重要性には。
「ホークアイ07よりシャーク07、敵は配置に付いた。繰り返す、敵は配置に付いた! 」
『シャーク07了解! これより照準射撃をする。観測を求む! 』
「ホークアイ07了解! シャーク07、グリッド18ー43に向けて射撃せよ! 」
『シャーク07、照準射撃を始める! 」
暫くして………(ドン! ヒュュ~~~…………ドカン!)………砲弾が落ちたが!
「おい、随分とショボいな? どうなってるの? 」 ワンタイ領軍兵
「慌てるなよ。お楽しみはこれからだよ。「ホークアイ07よりシャーク07、もう少し西に300mだ! 」 」
『シャーク07了解! 』
そしてまた砲弾が落ちたが、今度は魔物の群れの中に落ちた。
「ホークアイ01よりシャーク07、命中! そのまま連続射撃を! 」
『シャーク07、了解! 連続射撃を10斉射する。観測よろしく! 』
そして連続射撃が始まると………
ドドドドン! ………………ヒュヒュヒュヒュュ~~~ …………ドドドドガァァァン!!
魔物の群れの中に落ちた4発の砲弾が爆発、魔物を吹き飛ばす!?
更にこの後10斉射(計40発)後には第一陣の大半の魔物は吹き飛んでいた。
「ナ、ナ、ナ、何ですか、今の攻撃は!? 」 ワンタイ領軍兵
「船からの砲撃ですよ? だからここで着弾観測してるんでしょう? 」
「………あぁ、そうですね……… 」
「さて、後続はどうなってるかな? 」
観測班は次々と指示を出して寄ってくる魔物達を攻撃していった。
ワンタイ島の南、上空5000m
ナンタイ町付近
「そろそろ目標上空ですね 」
「全く俺たちを乗せて飛ばすとは………… 」
「しかし先輩、よく引き受けましたね(笑) 」
「マック、代わってくれても良いぞ! 」
「僕はセイバーの操縦の方が楽しいしね。先輩ガンバ! 」
「何でマックのゴミ拾いをしなきゃならんのだよ! 」
ワンタイ島の南側で訓練と称して遊弋していた航空母艦ヒリュウを中心とした第1航空艦隊(空母×1隻、駆逐艦×3隻、中型護衛艦×3隻 )の部隊からF-Ⅰセイバー戦闘機11機が背中に魔導装甲兵隊第1中隊第2小隊の面々(11名)を乗せて北に向かって飛んでいた。
今回、セイバーから魔導装甲兵を空中降下出来ることを見せたフリート総司令官に第1中隊長が食い付いて急遽、降下装備を作ってヒリュウ甲板に降下する訓練をしていた。
〔そして巻き込まれたマックとバスターコンビ(笑) 〕
バスター先輩は先の勝利の貢献で新設の第3中隊長に内定していた。
そして第3中隊を魔導装甲降下兵としようとブルー辺境伯軍の上層部が企んでいた。
〔基本、フリートの思い付きだったが(笑) 〕
今回、魔導装甲降下兵達はワンタイ島のタイナン町に先見隊として降下する事になっていた。
ワンタイ山に近く、魔物の群れの一部が向かっていた為だった。
「先輩、そろそろ降下地点です 」
「全く空はワイバーン、地上は魔物の混成って何の冗談だよ! 」
空にはワイバーンが見える範囲で30頭? 地上はゴブリンやオーク、ウルフやバッファロータイプの魔物が大量にいた………
「それじゃ、回収をよろしくね! 」
「マァック、覚えてろよ! 」
セイバーから飛び降りた魔導装甲降下兵達は巧みに降下地点に降りて行った!
『こちらセイバー11、さて荷物の配送も終わったのでお楽しみのワイバーン狩りを始めよう。次いでに地上の魔物を狩っても良いが、人に当てるなよ! 各機、的の取り合いはするなよ!』
『セイバー2です。魔導装甲降下兵には? 』
『セイバー11です。魔導装甲降下兵にも当てるなよ! 特にマック! 』
『セイバー12了解。マック、当てるなよ(笑) 』
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『セイバー20了解、マック、当てるなよ! 』
『セイバー2です。何でですか! 後で訓練で先輩方の機体を染めてやるからな!! 』
『セイバー11です。まぁ程ほどにな。では全機突入!! 』
セイバー隊はナンタイ町に向かっていた魔物の群れを迎撃していった。
「お前らは町に魔物を近づけるなよ! 俺は冒険ギルドに話を通すからな! 副長、後を頼む 」
町に入る時に警備員に驚かれたが、冒険ギルドから迎えが来てその後はスムーズに冒険ギルドに入れた。
ナンタイ町冒険ギルド出張所内には緊急召集に集まった冒険者達がいたが………
〔流石に少なかった……… 〕
「救援に来られたブルー辺境伯軍の方で……… 」
「あれ、何でオウリンギルマスがここに居るの? 」
ヘルムを外して挨拶するバスター。
「君はクリス………バスター君では? 君こそ何で? 」
「エェ~ト……… ア、今はそれどころでは無いのでは? ギルマス、スタンピートが起きてるのは? 」
「あぁ、確認している。ワンタイ街に向かっているのもね。全く此方に調査に来た途端にこれだ。いったいどうなってるんだ? 」
「ワンタイ山にダンジョンができたのは? 」
「………それしかこのスタンピートが発生した理由の説明が付かないだろう 」
「僕たちも、まさかここまで早くスタンピートが発生するとは予想外でしたから 」
「何、それだとダンジョンが有ったのを知っていたのか? 何故黙っていた? 」
「確実に………とも言えなかったし、それに見つけたと言うか、本当は4月に調査に来る予定だったんですが……… 」
「あぁ、渡航禁止か。それでは仕方がないのか? 」
「エェ、スクリュー君と一緒に来る予定でした 」
「スクリュー殿がか。まさかスクリュー殿がブルー卿だったとはな 」
「ギルマス、何で知ってるの? 」
「先程、ギルド間の通信網にてアップシー支部に連絡した時にブルー卿と話せてその時にな。他にも色々と頼まれたよ 」
この後、オウリンギルマスと町の役人との打ち合わせを済ました。
「では私は現場に戻ります。ギルマス達は抜けたのを頼みますよ 」
「わかった。冒険者の諸君、稼ぐぞ! 」
「「「「「「「「「オォ! 」」」」」」」」」
町門まで来ると外はカオスだった。
飛来していたセイバー隊がワイバーンをさっさと狩り、4機が残って地上の掃討戦をしていた!
〔空から一方的に………まぁ結果そうなるよね 〕
魔導装甲降下兵達も2個分隊づつ出るように交代しつつ町門を守っていた。
「凄いな、この光景は……… 」
「隊長、7機はワンタイ街の応援に行きました。現在、地上の目標の掃討をしてます 」
セイバー隊は二手に別れてナンタイ町とワンタイ街の航空支援に切り替えていた。
「ポットの回収は? 」
「彼方に 」
魔導装甲降下兵達と一緒に落ちてきた輸送コンテナ(増槽っぽい物、パラシュート付き)を回収、門の脇に置いてあった。
中には医薬品(ポーション等)や非常食が詰められていた。
「それでセイバー02はどっちに行った! 」
「え~と、此方に居ますね 」
マックはナンタイ町の防衛戦に参加だった。
もっとも魔導装甲兵隊の護衛でもあったが。
「(マックには悪いことしたかな? )………では僕も出るかな。副長、ギルマス、後をよろしく! 」
「了解! 」
「わかった! 町の防衛は任せろ! 」
こうしてワンタイ街とナンタイ町の防衛戦が始まった。
魔導装甲降下兵が使った降下装備
[試作降下兵装]
正式名称:試作空挺装備フライングスコロー(ムササビ?)
解説:フリートが作った魔竜騎士のオプション兵装[空竜]の魔導装甲騎士版
[空竜]とは違い高空から安全に降下する為の装備
背中と脚部に装着して使用する
背中のバックパック部分には3m程の補助翼(ワイバーンの鱗製)で降下中のバランスをとり、内部には非常用のパラシュートが付いている
〔緊急時用にはパラシュートで降下 〕
脚部には航空隊用の降下用の簡易魔導装甲騎士の降下装置(フリート式着地術)を外付けで装着、安全に降りられる
なお装着状態なら地上を滑走することもできる
魔導装甲騎士に装着時
全高:2.6m
全重:1.0t(フライングスコロー自体は0.3t)
降下速度:5~10m/s
地上滑走速度:100km/h(本体エアスラスター併用時)
上空からムササビの如く? ゆっくりと降下できます。
しかも地上を滑走して進む事もできます。
9ーⅩ
偶然ってスゴいね。
①ワンタイ領主に面会のタイミングでのダンジョンスタンピート!
②偶々訓練中のセイバー航空隊と魔導装甲降下兵隊?
さぁ、頑張って救援を始めよう!
明日も投稿します。