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その3-2

 数日後。私たちはまさかの飛行船による空からの移動だった。

 なんでも、環境省が出してくれたとか。


 ……本当は盛り上がるんだけど、私にとってはそんなこと気にしてられなかった。ずっと空を見てて、下とか見る気力はない。

 別に高所恐怖症、ってわけじゃないけど。


「……」


 ……

 ……そういえば妙だな。なんか、違和感あるような。


「……」


 なんだろ、一体……


「……?」


 目を空から離して、辺りを見渡す。

 ……

 ……


「……そうか、そういうことか」


 原因は分かった。

 シミットが異常なまでに大人しいんだ。


「……まさか、高所恐怖症とか?」


 そう思った私は珍しく自分から声をかけた。


「シミット。どうした?」

「……」

「まさか、高所恐怖症とか?」

「い、言わないでくれ」


 …………意外だった。……いや、本当に?


「それにしても、よく飛ぶねこれ。とても魔法無しで飛べるとは思えない」

「う、うるさいっ」


 …………うん、わざとだな。

 なんでわざわざそんなことしてるのかはツッコまずに目線を空に向け直した。


 しばらくして。

 遠くに、世界樹が見えた。

 この世界には何本もの巨大な樹が、魔法を使うための魔力の源を、根を地中深くに更に遠くへと伸ばし、その力を地から湧かせているらしい。どうやらその魔力の源はだれでも実感は出来ないレベルで、この空気中にある。これが私たちが魔法を使え、そして制限のあるものへと変わったのだから。

 遠くから見ても、立派に見える巨大な世界樹。これが世界中に何本もあるらしい。

 ……と、ここでなかったら多分、私は私らしくなく、普通に驚いていただろう。

 今の私は、実感できるぐらいに冷めていたのだから。

 やがて飛行船がゆっくり高度を下げて降り始める。私たちはそれぞれの荷物を持ち、ここの住人の一人に案内されて建物の中に入る。

 声を掛け合いつつ、器具の調整を行ったりテーブルを整えたりして出店の準備を始める。

 1時間前後だろうか。準備も終わり、店が開いた。

 借りた部屋には私とシミット他数名。


「いらっしゃいませ!」


 シミットが自ら会計のほうをやってくれている。そういった意味でも私は気楽だった。

 パンを焼いて、売って。それだけだった。

 それだけなのに…………嫌でも胸を撃つ。

 ……

 ……会いたくなかった。いや……会うことはない。

 そう思うしか、なかった。


 ……


 数時間もすれば、やっぱり気のせいだった。まさか「来る」とは思わないし。


「シミット」

「はいルヴァン先輩!」


 一応顔出す。動きのことに関して何個か言ったり。シミットはそういったところで素直だし、真面目だった。

 扉が開く音がした。私は反射的に、恐らく隣にいるシミットもそっちの方を見た。


「いらっしゃいま……」


 ……油断した。


「……」


 この環境省……「天才」がいたこと。

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