第一章 二人の嫁、襲来 - 08 - 相打ち
第一章 二人の嫁、襲来 - 08 - 相打ち
「避けたあんたのせいじゃない!」
まったく舞の方も動じることなく、カウンター気味に光る右の拳を舞の左のテンプルに向けて放った。
ほぼ同時だった。
二人の国民的なアイドルはお互いの拳を体で受け止めたまま、しばらくの間その場で固まっていた。
やがてゆっくりと傾き初め、ついには同時に床の上へと倒れた。
倒れた二人が、微動だにしなくなっているのを見て、ようやく圭太は我にかえる。
怒涛のような展開に流されるまま、小プールと化したウォーターベッドの中で半身浴をしている状態になっていた圭太だったが、ここに来てようやく自分の意思で行動できるようになった。
とりあえず、圭太を巡って争っていたらしい美少女二人がどうなったのか気になるので、様子を見ることにする。
立ち上がってみると、最後の最後、かろうじて死守していたパンツから水が滴り落ちた。
なんとも情けない格好だが、幸いなことに今は誰も気にするような人間がいなかった。
落ち着いた所で改めて周りを見回すと、どうやらこの部屋はいわゆるラブホテルという感じの所のようだった。
実際に利用した経験がないので断定はできないものの、さすがに男としては映像における確認くらいならできている。
どういった確認かはおいておくとしても、こういった場所に連れてこられて裸に剥かれた後の運命がどういったものになるのかはたやすく想像がついた。
だが、想像がついただけであり、現実のものとして受け入れられるかどうかは別である。
とりあえず、今起こったことが全て真実なのかどうかをあらためて自分の目で確認することにする。
床の上で両者ノックアウト状態になっているのは二人の国民的美少女。
近づいて、もう一度本物かどうかを確かめてみるつもりだった。
圭太は頭の方に周り、頭の方でしゃがみ込む。
頭の方から逆さに見たアングルで、じっくりと顔を覗き込んでみる。
これまでずっと、何がなんだか分からない状況が続いていたが、こうしてみてもやはり現実味が薄かった。
まず最初に見たのは、ショートカットで亜麻色の髪を持つ、どことなく少年めいた雰囲気を感じさせる透明感溢れる美しさを持った美少女。
間違いなく地上波や巻頭グラビアで何度も見た顔である。
ただ、こうして肉眼でしかも近くから見ていると、写真より遥かにその美しさが際立って感じられる。
こんなもの、どう見ても本物の上原類以外にはありえない。