第二章 アイドルは女王様 - 36 - アイドルに囲まれて……
第二章 アイドルは女王様 - 36 - アイドルに囲まれて……
ファンタジー世界の怪物に襲われ、三百メートル級の怪獣に殺されそうになり、挙句の果てには核爆発に巻き込まれるという経験をしてきたばかりである。
そんな圭太にとってすら、この状況は勝るとも劣らないような危機的状況だと言える。
さらにファン達の歓声が大きくなる。
絶対にありえないと思われていたことが起こったからだ。
マジカル・スイーツ・Θのセンター、希舞がステージ上に躍り出たからである。
日本を二分するアイドルグループ片方のトップであり、NHP64とは最大であり永遠のライバル関係にあると考えられている。
そのマジカル・スイーツ・Θのセンターが同じステージ上に登場するなんてことは、夢の中だけの話であり、ありえないの一言で誰もがすましてしまうだろう。
だが、この会場にいる観客全員がそのありえないことを目撃していた。
サプライズというにも度を超えていた。
ステージ上をうろうろとする、中年のおっさんのことに気がついていたとしても、誰一人として気にも止めなかった。
なぜならば、どうでもよかったからだ。
それだけではなく、圭太は舞台袖から入ってきた美少女達に囲まれてしまう。
囲まれた全員に、何がなんだか分からないまま、抱きかかえられるようにしてステージ上から連れ出されてしまった。
そして控室につれて行かれると、そこにはたくさんの美少女達が並んで立っていた。
今回のステージにこそ立っていないが、全員がNHP64のメンバーであり、日本の頂点に位置するアイドル達であった。
衣装を身に付けた一人が、全員を代表するかのように圭太の正面に進み出てきて立つ。
彼女は満面の笑みをその美しい顔に浮かべ、両腕には大きな花束を抱えていた。
「NHP64にようこそ、圭太さん。あたし達、長い間ずっと、あなたをお待ちしていました!」
そう言いながら、彼女は圭太に花束を渡す。
なんとも言い知れない圧力を感じ、圭太が思わずその花束を受け取ると、彼女はいきなり抱きついてきた。
そしてそのまま、美少女に唇を奪われてしまう。
単なる唇を重ねたやつではない。
もっと深い本格的なやつだ。
なんか、似たようなことがあったなぁ、と思いながら圭太は為す術なく呆然と立っていると。
「あゆりんだけずる~い! あたしもぉ!」
一斉にそんな声が上がり、圭太はたくさんのトップアイドル達に、もみくちゃにされ、雨のようなキスの嵐にさらされたのであった。
< 第二章 了 >




