第二章 アイドルは女王様 - 24 - ミアの決意
第二章 アイドルは女王様 - 24 - ミアの決意
圭太が類と舞の二人に抱えられて運ばれていた後から、ミアは追ってきていたのだ。
そして、少し前に追いついて、気配を消して圭太の前に姿をあらわすタイミングを待っていた。
「えっ? ミアさん……でも、ありがとうって? お礼を言うのは僕のほうだよ?」
唐突なお礼の言葉に圭太が戸惑っていると。
「わたしの身をお案じになられた。それだけで、身の余る光栄なことなのです。わたしにとりましては」
ミアは頭を深々と下げながら答えた。
でも、やはり圭太には理解しがたい理屈であった。
圭太にとっては、当然のことでしかないからである。
そう思っても、結局圭太には何も言えなかった。
何も出来なかった圭太には、言うべき言葉が見つからなかった、ということもある。
もう一つは、目の前で起こっている闘いが、更なる段階へとシフトアップしてきたからだ。
首を切り落とされたことで、その後の危険は生じたものの、闘い自体には決着を見る。そう思ったのだが、違った。
頭部を失った後、自分の頭の直撃を受けた怪獣は、その巨大な質量を受けて吹き飛ばされていた。
ひっくり返った怪獣はまるでなにごともないかのように起き上がってくる。
どうやら、普通の動物とは違い頭部はただの飾りのようである。
死んでしまうどころか、敵の位置の補足にもまるで支障がない様子であった。
立ち上がった怪獣は、すぐに尻尾からビームを放出し始める。
ただ、頭部を失ってしまい、さすがに口からのビーム放出はできなくなっているため、その分の攻撃力は減少していた。
怪獣の狙いは類と舞の二人である。
そのあまりに開きすぎているスケール差が命中精度を落としていることは、これまでとまったく変わっていない。
一方、類と舞の二人の攻撃はそれまでとは異なっていた。
攻撃方法が変わったわけではない、攻撃力が桁違いに大きくなっていた。
掠りもしないビームなど、二人にとってはなんの脅威にもならない。
しかし、類と舞の攻撃は怪獣にとって脅威そのものであった。
三百メートルクラスの巨体が、まるでバトミントンの羽根のように、左右から攻撃を受けた反動で、空中に浮き始める。
そうなると、ビームはもはや狙いのつけようもない。
当たることのないビームに、何の意味もないのだが、怪獣にできることは他になかった。




