第一章 二人の嫁、襲来 - 02 - 上原類
第一章 二人の嫁、襲来 - 02 - 上原類
「その呆けた顔。やっぱり現実を受け止め切れてないようね。でも、これは現実よ。認めるまで何回でもやってあげるから、受け止めてね」
そう言うと、アイドルナンバー1美少女の顔がいきなりアップになって、圭太の唇と美少女の唇が重なった。
そして次に来たのは、れろれろである。
今度は意識があったので、圭太の舌もれろれろと動ごかしてみる。
すると、すぐに相手の舌はそれに応じてさらにれろれろと動き出す。
しばらくそれが続き、圭太が呼吸困難に陥りかけた頃ようやく美少女……類の顔が離れていく。
すると、さっきよりだいぶ濃厚な透明な雫が橋となって二人の口と口を繋いでいた。
「どうやら、受け入れてくれたようね、圭太さん」
類は清純そうな美しい顔に、そんなことなんてしたことアリませんというような微笑みを浮かべてそんなことを言っている。
その様子を見て、圭太は若干怖いものを感じたのだが、さすがにそんなことを言ったりはしない。
「ほ、ほんものの方ですか?」
今更、はっきり言って間抜けな質問だと思いながらも、圭太はそれしか言えなかった。
現在進行系で起こっていることが、やっぱりあまりに現実感にとぼしかったからである。
「上原類21才。本名も同じで、NHP64のセンター。特技は魔法全般と剣技で、苦手なものはネコ。そして、好きなタイプはあなたよ、圭太さん」
圭太に向かってアイドルっぽい挨拶をする。
これまでの人生の中で、アイドルにハマったことはなかったが、さすがにこれはくらっとした。
思わず、一生ついていきますって言いたくなってしまう。
言わないけど。
「それじゃ、挨拶はこれくらいでいいわよね。名残惜しいけど、続きはいつでもできるから今は急ごうね、圭太さん」
類は圭太の腕を取ると力いっぱい引っ張った。
想像していたよりも力が強く、圭太は一発で立ち上がる。
「おおっ?」
一瞬何が起こったのか分からなかったが、類はそんな圭太の反応はまったく無視していきなり圭太の体をべたべたと触り始める。
美少女がおっさんの体を触っているから問題ないが、これが逆だったら間違いなく強制わいせつ罪で逮捕である。
「なにやってんの?」
あまりにしつこく圭太の体を触るものだから、ついに耐えきれずに聞いてみると。
「んっ? い、いけないいけない、あまりに久しぶりだから、つい我を忘れたわ」
類は口元を拭いながら、そんな意味不明な事を言っている。