第一章 二人の嫁、襲来 - 22 - 謎
第一章 二人の嫁、襲来 - 22 - 謎
今日は一日で、すべての常識がひっくり返ったと思ったのだが、まだまだひっくり返りきったわけではなかったようである。
ただ、それでも、圭太だとて経験はしてきたのだ。
その中で、わかったことも色々とあった。
もちろん分かっていないことの方が圧倒的に多いわけだが。
とりあえず、なぜかは見当もつかないし心当たりもまったくないが、敵とやらから狙われているのは二人ではなく圭太らしい。
そして、類と舞の二人は圭太のことを守ってくれている存在のようだ。
貞操面ではなんとも言えないが、少なくとも今助けてくれたことは確かであった。
これからどうするにしても、国民的アイドルのセンター二人が自分とどう関わっているのかがわからない以上、素直に喜ぶわけにはいかないのだろうが。
ただひとつ分かるのは、全ての謎の中心が圭太自身であるらしいということだ。
生まれてきてから三十年間。何一つとして謎なんてなかった。
謎があるなどと思ったことすらない。
だから思い当たるようなことなんて、まったく存在しないのだ。
結果として、謎はさらに深まることになるわけだが、手っ取り早く解決する方法は存在している。
類か舞、あるいはその双方に事情を尋ねるのだ。
今、一体何が起こっているのかを。
そして、二人が圭太に拘っている理由をだ。
ただ、そのことを言い出す機会は、まだ当面なさそうであった。
というのも、類と舞が圭太を間に挟んで左右からいきなり抱きついてきたからだ。
左も右も二の腕が思いっきり胸の膨らみにぶつかっている。っていうか押し付けられている。
二人はそんなことなどまったく気にしちゃいないが、圭太の方はそうはいかない。感触だけでその場にへたり込みそうになった。
なにしろ、三十年間一度たりとも女性の体にまともに触れたことがないのである。
おっぱいの柔らかさも、今始めて知ることになった。
もちろん、妄想の中ではあんなこととかこんなこととか、それはもう一言では言い表せないようなエロイことをやりまくっていた。
だが、しょせん妄想は妄想にしか過ぎない。
国民的アイドル二人によるおっぱいサンドイッチ状態を、乗り切るのにたんなる妄想をもってするというのはあまりに非力であった。
というわけで、二人が力を緩めたとたん、圭太はその場にへなっとへたり込んでしまった。
「あらあら、圭太さん。よっぽどあたしのおっぱいの感触が魅力的だったのね」




