第一章 二人の嫁、襲来 - 20 - 敵出現
第一章 二人の嫁、襲来 - 20 - 敵出現
「まぁいいわ。今はそれより目先の敵をなんとかしましょう。そうでないと、わざわざ休戦した意味がないから」
言いながら類は空を見上げる。
一体何事かと思って圭太も見上げると、空には見たこともない真っ黒な雲が浮かんでいる……ように見えた。
だが、良く見ると雲のように見えたそれは、ウンカのように空を飛んでいる生き物であった。
「それにしても、えらくたくさん湧いたわね。蛆虫よりたちが悪いわ」
舞も空を見上げてそんなことを言っている。
「圭太さん、すぐに終わらせるから、結界から外にでないでね」
話しながら、類は圭太の足元に光の紋章を浮かび上がらせる。
よく分からないが、圭太は非常にヤバイものをビシバシ感じていたので反射的に、首ふり人形みたいに何度も頷いていた。
「いくわよ、舞!」
類が声をかけると。
「足手まといになるんじゃないよ、類!」
舞は嫌味混じりに応じた。
二人が地面を蹴ると、ジャンプしたというよりは無重力空間に飛び出すような感じで、空へと浮かび上がる。
向かうのは黒い雲のように見える獣の群れである。
類は途中、片手に握っていた剣を両手でつかみ左右に広げる。
すると、両手に一振りづつ持った双剣スタイルになる。
それに対して舞は、自分の胸の前で両手の拳を打ち合わせる。
同時に両手がそれぞれ輝き始める。
地上に残った圭太は、その様子を見ていることしか出来ない。
だが、二人が始めた闘いは圭太を魅了するに十分なものであった。
あれほど激しく争っていたのに、いざ闘いが始まるとまるで縒り合わさって一つになった糸のような動きで、互いの死角を常に補いながら空飛ぶ獣の群れを減らしていく。
どれほどの数がいようと、圭太の見る限り獣の群れはまるで二人の敵にはなっていなかった。
このまま一気に勝負がつくかに思われたのだが、端の方にいた何頭かの獣が圭太の姿を見つけた。
圭太をターゲットに切り替えて、空から落下するように向かってくる。
ある程度近くまで来たところで、圭太は獣の姿をはっきり見ることができるようになった。
はっきりと断言できるほどの知識があるわけではないが、西洋の建物などによく彫刻されている伝説上の怪物。羽のある悪魔。ガーゴイルのように圭太には見えた。
それが、三頭同時に圭太に向かって上空から襲い掛かってくる。
正直に言うと、腰を抜かしそうだった。少しはおしっこも漏らしていたかも知れない。




