第一章 二人の嫁、襲来 - 09 - 確認
第一章 二人の嫁、襲来 - 09 - 確認
その横で向かい合うように倒れているのは、対象的に腰まで届く黒髪の美少女だ。典型的な大和美人であり、女性的な美しさの集大成と言った感じがある。
近くで見ていると、それだけで涙が流れそうになる感動が押し寄せてくる。
類に比べるとグラビア等での露出は少いが、まったく遜色のない魅力を持っていた。
アイドルグループの中にいても、ひときわ飛び抜けて特別な存在なのは間違いない。
結局のところ、二人ともまったく美しさのベクトルが異なっているだけで、甲乙つけがたい存在であるのは間違いない。
ただ、そんな二人が圭太を巡って争う理由となると、当の本人にも皆目見当がつかなかった。
これまでずっと圭太の方が一方的に二人のことを知っているだけで、二人が圭太のことを知っているなどと考えたことすらなかったのである。
っていうか、二人が圭太のことを知っているんだと本気で考えていたなら、単なる精神的に病んでいる危ない男である。
なのに、いきなり圭太はファーストキスを類によって奪われた。それも、ディープなやつでだ。
それから有無を言わせず結婚式の場に放り込まれて、問答無用で結婚させられそうになったところに舞が現れた。
圭太はわけがわからないまま舞によって攫われると、暗闇の中で服を剥ぎ取られてDTを奪われる直前まで追い込まれてしまう。
行為が始まろうとした寸前に現れたのは、花婿を攫われた花嫁である類であった。
そのままラブホテルの一室らしいこの部屋の中で戦闘が始まって、今に至る。
部屋の中はプール化したウォーターベッドを含めて、かなり酷い有様になっている。
二人の国民的美少女だけを見ているなら、現実味を感じることは困難だったろうが、部屋の中を見たとたん現実を痛感することになった。
というか、このままここにいて大丈夫なのだろうか、という極めて根本的な疑問が頭の中に浮かんでくる。
そう考え始めたら、他の現実も圭太に迫ってくることになった。
あまりにぶっ飛んだ寝起きを強要されたために、すっかり忘れていたが、今日は平日なのである。
無情にも、この部屋の中にある時計の針は十二時を指していた。
圭太はある意味普通の給与所得者であった。
IT関連の仕事と言ったら聞こえは良いが、ようするに安月給でこき使われるIT土方と言われる職種であった。




