4話
トーマスの指示に従い近衛達によって、王子執務室に私の職場が完成してしまった。もちろん、トーマスも用事がない時以外はここに滞在するが、実質私と王子は勤務時間中はずっと共に過ごすということだ。それだけでも、ため息が止まらない。が、しかし、これから軍事会議が急遽入ってしまったトーマスは会議の参加を余儀なくされる。他の近衛も今日に限って用事があるようだ。
このパワハラ王子と四六時中一緒にいるなんて胃に幾つか穴が開きそうだ……明日から胃薬を持参しないと。先の未来の自分の臓器の危機を心配しつつ、トーマスを含める近衛達にくれぐれも王子を宜しくと圧力をかけられ更に気が重くなりながらも、彼らの退室を見守った。
さて、仕事しようと席につきヨハネに目を向けた。ヨハネは、椅子に座り何やら作業をしていた。
「王子って仕事するんだ。」とふと、呟いてしまった。いや、これはわざとではない、決して!!!ジーと視線を感じカチリと目が合う。
「おい、地味顔!聞こえてるぞ」
ヨハネは、書類に再び視線を向け作業に取り掛かる。これなら、今日は帰れそうだな。と、さっきの出来事が嘘のように晴れやかな気分がした。今日こそ、帰れる!!!そんな気持ちを裏に、後ほどトーマスがヨハネからドキドキ市民街旅行計画と名をつけた計画書を取り上げ、締め上げ、泣く泣くユーリは徹夜するのであった。
次回から、ユーリ争奪戦はじまります。