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ようこそ  作者: つくし
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出会い

今日行った文房具店はよかった。都会育ちで小さな商店をばかにしていた私がその店を出た瞬間、いいお店だった、と感じた。私の知っている文房具店は文房具以外にも業務用の食品や日用品、さらに一年中お祭りのくじの景品や金魚すくいのポイ、クリスマスになれば踊るサンタの風船やクリスマスツリーなんかが売っている。これはもう文房具店ではない。私は小さな商店の良さを知った。売っている物は少ないのに欲しいものはきちんとあった。店員のおばあさんは温かい人だった。このような文房具店は東京23区内にいくつあるだろうか。でもこんなに特別な気分になったのは別の理由がある、のかもしれない。

夜になると私は不安な気持ちに襲われる。何に対する不安かもわからないし、明日が休日でも不安は容赦なく襲ってくる。お前はブラック企業に勤めているのか?今日もまた不安は襲ってきた。私は何が怖いのだろう。明日は休日だ。丁度いい、明日もあの温かさに触れてこよう。


いらっしゃい、と明るい声がする。昨日と同じだ。でも今日は人が多い。あっ、いらっしゃい、と少年は振り返って言った。

「今日から孫にも手伝って貰おうかと思って」

「お孫さんだったんですか」

「あなたと同じくらいの年だと思うわ」

少年はぎこちなく微笑み、17ですと答える。

「同い年ですね」

「あら偶然」

おばあさんと私は笑いあった。昨日初めて会ったばかりなのにこんなに仲良くなっていたのか。これもきっとこのような文房具店のいいところ。

「私、ここ気に入っちゃって、また来てもいいですか?」

「もちろん、いらっしゃい」

おばあさんがそう言うと少年は小さな声で待ってます、と言った。

ありがとうございました!


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