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雪華散りゆき夜叉となりて…  作者: フランスパン
第四部 決戦編
58/74

五五話 鬼と夜叉

気がつけば一年、長い様な短い様な……。

読者の皆様感謝!!


 雪は土方の前に立って居た。

 八月ぶりになるこの再会を、雪がどれほど望んだ事だろう。

 もう雪には、『鬼』を殺す事以外、何一つ残っていないのだから――。

「……こんな所まで追って来るなんて、お前も暇だなぁ」

 土方はそう皮肉を言いながらも、雪へと向かい合った。鳥羽伏見以来の邂逅である。

「たくさん、たくさん殺した……でも足りない、まだ足りないんだ……」

 どれだけ殺しても武士はまだいなくならない、どんなに殺してもまだ足りない。

「だけどお前を殺せば、きっと終わるんだ……そして私は全てから解き放たれるんだ!」

 雪は自分が『夜叉』になると言う事がどういう事か知らない。知っていて『呪』を掛けた訳ではない。

 だが、自分の体の変化や心の変化には気が付いていた。

 だから土方と言う『鬼』を殺せば、『夜叉』という『荒神』となり、人間と言う矮小な存在から解放される事をなんとなく理解していた。

「人間から『鬼神』になろうてっのか……呆れて物も言えねぇな」

 土方はこの時、龍久の言葉を思い出していた。

 自分も人を捨てて本当に『鬼』になりたいと思っていたあの時、龍久が引き留めてくれたからこうしてここに居られるのだ。

「お前は女の社会が作りたかったんだろう……、俺を殺したからってその願いがかなう訳でもねぇ、お前は……龍久の所に帰れ」

「た……つひさぁ?」

「龍久は俺に言った、人を捨てれば周りに誰も居なくなる、誰もついて来なくなる、お前が一人なのはそうやって『夜叉』になろうとしているからじゃねぇのか? お前にはお前の事を思ってくれる奴が他に居るだろう……だったらそいつの所へ行け」

 唐突に出された龍久の話に、雪は少し戸惑っている様に見えた。一瞬人らしさが戻ったかのように見えた表情は、すぐにまた闇に満たされて行く。

「……龍久は違う、龍久は私と同じにはなってくれない、同じ方向を向いてくれない……同じじゃなきゃ分かり合えないのに……、だから龍久は違う!」

 龍久は普通の人間だ、『神』などと言う高貴な存在ではない。だから、分かり合える事など永遠にありえないのだ。

「私はいつもそうだった……私の周りの誰も私を理解してくれない、私と同じ人は誰もいない……、お時も藤田君も龍馬もアルも、皆私とは違う、同じ人なんて誰もない! 私はいつも一人だったんだ! だから今更一人である事の何が怖いと言うのだああ!」

 雪は感情に身を任せるまま、土方に向かって疾走する。

 鳥羽伏見の時よりも速くなっている雪、それを迎え撃つ為に土方は兼定を構える。

(駄目だ、先に出ればこちらがやられる!)

 雪の回避能力をもってすれば、土方の斬撃では避けられてしまう。ならば力の弱い雪の弱手を突いて、鍔迫り合いに持ちこむべきだ。

「はああっ!」

 村正の右肩に向けての斬撃を兼定で受け止めた。先の戦いよりも力は強くはなっているがそれでも男の力には劣る。土方はそのまま雪を思い切り吹き飛ばした。

 軽い雪はそのまま吹き飛ばされるのだが――足を踏ん張って素早く体勢を立て直した。

「なっ!」

 驚きのあまり無防備になった土方に向けて、再び村正を振るう。だが土方は直ぐに冷静さを取り戻して、鍔迫り合いに持っていく為に村正目掛けて兼定を振り下ろした。

「あはっ」

 しかし雪は、素早く村正を反すと左足を思い切り踏み出して、まるで舞踊でも踊る様にくるりと回り移動する。兼定の斬撃は雪が居た場所に叩き付けられる。

「しまっ――」

 雪は反した刃の切っ先を土方の顔面目掛けて突き付ける――。


 村正の切っ先が土方の頬を掠めた。


 頭を右に傾けてどうにか顔面は避けたが、避けきれなかった。

 あと一瞬反応が遅れていれば、確実に死んでいただろう。

「うおおおっ!」

 土方は雪に向けて兼定を振るった。雪はそれを後ろへと跳躍する事で避けると、土方から距離を取った。

「あははっ、くすすっ……惜しいなぁ惜しいなぁ、もう少しだったのになぁ」

 この命の駆け引きを楽しむ様に、雪は笑っていた。

 その微笑みは正に『夜叉』の物であった――。



***


 龍久は玉藻に向かって刃を向けていた。

 しかし玉藻はそれを見て、あの気味の悪い微笑みを浮かべる。

「ふふっ、お前は忘れたのか? 刀で私が倒せる訳がないだろう」

「うるせぇ! この陰険陰陽師!」

 全く持って玉藻の言う通りだった。龍久では玉藻には勝てない、宇都宮城での惨劇が頭をよぎるが、それでも龍久は退かない。

「良く吠える犬ほど、見苦しい物はないなぁ、あははっ」

「俺の親友を悪く言うのは止めてもらおうか、この藻屑野郎」

「俺の後輩でもある」

 葛葉は二人の間に割って入った。そして龍久の隣に斎藤がやって来て同じ様に刀を抜く。

「法師に斎藤一……たしかに、その犬よりは幾分かマシだが……それでもお前が私に勝てる訳がない」

「同じ陰陽師として、お前がしようとしている事は止めなければならない、それが同じ一族として俺に出来る事だ!」

 葛葉はそう言うと、玉藻に向かって五寸はあろうかという針を投げつけた。

 全部で三本、眉間と首と胸を狙って放った。

 これは隙を作る為の他愛ない攻撃だ。人体の急所を突かれれば、いくら『式神』の体だと言えども痛みは感じるし、神経や骨髄を損傷するとその分術者の意思が上手く伝わらず、『式神』の動きが遅くなったりどこかが動かなくなったりする。

 だからこれを避けるか、あるいは防いだ後に強力な一撃を打ち込もうとしていた――。


 しかし、玉藻は避けなかった。


 三本の針は、それぞれ眉間と首と胸に突き刺さった。

「あっなぁ……なんだと」

 避けると思っていた分、葛葉は驚いた。人体の急所を狙われれば反射的に避けてしまう。それをしないと言うのは予想外だった。

「流石針の法師、的確に『式神』の急所を射抜いている……、少しむず痒いなぁ」

 玉藻が眉間に突き刺さった針を平然と抜き、床に放り投げて他の針も抜いて行く。

「お前……まさか痛覚を抜いたのか! なんという事を!」

「何がだ? なぜ『式神』という遠隔操作している物の痛みを共有しなければならないのだ? 自分の体が傷ついた訳でもないのに、なぜ痛みに悶える必要がある?」

「何を言って居やがる……痛覚だけそう簡単に抜けるもんじゃねぇ、意識を完全にシンクロさせるからこそこの術は上手く機能するんだ……そんな事をすれば繰り自体が甘くなって動きが鈍くなる……おめぇ富士山丸で自分でそう言ったんだろうが!」

 元々この『式神』の術は、五感の全てを感じる事が大前提とされ、その様に設計された。意識の共有が要となるこの術は、正確に『式神』と全てを共有する必要があった。

 更には本体が傷つかない事を良い事に、愚かな事をするのを防ぐ為、痛覚や温度などは術者も感じる様になっている。

「さて、そんな事を言った様な……言わなかった様な」

「誤魔化すな! お前はつくづく陰陽師の禁を破りやがって……見損なったぞ!」

 葛葉は今度は針ではなく水を操る。大気中の水が徐々に収束して巨大な水の槍を形作った。最早隙を突く様な真似はしない、痛覚を感じないと言うのなら『式神』の体を完全に破壊して操れなくするまでの事。葛葉が右手を握ると、途端に水が凍てつき氷塊となった。

「ぶっ潰ぅぅぅぅぅす!」

 葛葉は氷塊を玉藻に向かって放った。今の彼に出せる最大の速度で、氷塊は放たれる。

 直撃すれば『式神』とて、体は完全に引きちぎれて破壊し尽される。

「ふふっ」

 しかし、そんな危険な状況にも拘わらず玉藻は微笑んだ。

 手を振るうと、屋敷の壁や床を突き破って銀色の液体が出て来た。

 そして半円状になり、玉藻を守る様に盾となった。


 氷塊は金属の盾に当たり、砕けた。


 盾には大きな凹みこそ出来たが、玉藻にはその攻撃は届きはしなかった。

「なっ……んだと」

 酷く驚いている葛葉、全力の攻撃をたやすく防がれて困惑しているのだろう。だがそんな暇はない。すぐさま次の攻撃をしなければならない。

「ああっくそう惜しいぞ葛葉、早く次をしかけねぇと!」

「そうだ、次は俺達でかく乱を試みるぞ」

 龍久と斎藤が葛葉の隣へとやって来ると、玉藻に向かって刀を構え直す。だが、葛葉はまだ驚いて居る。

「葛葉! 何やってんだ、早く次を仕掛けねぇと……」

「なぜ……奴が鉄を使える、一体どういう事だ」

「何言ってるんだよ葛葉! あいつは宇都宮で俺達を襲った時も、刀とか金属の虎とかで襲って来たんだぞ! 早く指示をくれ、玉藻を倒せるのはお前だけなんだから」

 この言葉に、葛葉は再び驚き目を見開いた。こんな表情の彼を龍久は初めて見た。

「まさかこれが『六天無双』だというのか? いや……いやそんな馬鹿な確立の壁を超えるなど出来ようはずがない…………ならばこれは……」

 玉藻を守った金属は再び液状になり、その周囲を浮かんでいた。それを見て葛葉は何かを確信した。

「そうか、そうだったのか……」

「どうしたんだ葛葉、何が分かったんだ!」

 皆を見下ろす玉藻を、葛葉は有らん限り睨みつけた。

そしてたった今分かった事を口にする。

「こいつは玉藻――――」


 その瞬間、葛葉の喉を針が貫いた。


 何が起こったのか、龍久にも斎藤にも当人である葛葉にさえも分からなかった。

 彼が全てを理解したのは、こちらに人差指を向ける玉藻の姿を見てからだった。

「そう急ぐでない、針の法師よ」

 それは葛葉が投げ玉藻に刺さった、あの五寸はあろうかという針である。その針は金属であった。

 喉を貫かれた衝撃で倒れる葛葉に、龍久はつかさず駆け寄った。

「葛葉、しっかりしろ! まだ意識はあるよなぁ大丈夫だよなぁ!」

『式神』故血は流れていないが、首には穴が開いて居る。普通の人間であれば致命傷の怪我である。『式神』であるとは言えども、痛がる友を心配せずにはいられない。

「どうだ、自分の針は痛かろう? その怪我では『呪』を唱える事も出来まい」

 『呪』には様々な方法があるが、その中で最も簡単な物が呪文を口頭で唱える事だ。喉に穴を開けられては言葉を話す事は出来ない。

 葛葉が居なければ玉藻を倒す事は出来ない。

「葛葉ぁ、葛葉ぁ!」

(たつ……ひさに、伝えないと……)

 声を出しても、ひゅーひゅーと空気が穴から漏れて言葉にならない。

この喉では語り掛ける事は出来ない、葛葉は懐から一枚の紙を取り出すとそれを 喉に張り付けた。札は薄青色に光ると傷口を修復していく。

 だが葛葉はあまり医療系の術は得意ではない故、『式神』修復用の札に頼るしかない、だがこれでは時間が掛ってしまう。

「この野郎、よくも葛葉を!」

 龍久は怒りに任せて斬りかかろうとするのだが、玉藻は右手で刀印を作るとそれで空を切った。すると玉藻の前に結界が出来て、龍久はその結界に思い切り頭を打ち付けた。

「いててっ……なっなんだこれはっ!」

「結界だ、お前の力では私に指一本触れる事は出来ぬだろうなぁ」

 そう言うと、玉藻は視線を龍久達から逸らし、マジックミラーの向こうに居る土方と雪を見る。

「お前もこの見世物を楽しめ、この様な物二度見れぬぞ『鬼』と『夜叉』の戦いなどなぁ」

 向こう側では土方と雪が激闘を繰り広げていた。

 いつどちらが斬り殺されても不思議ではないほどの激戦。龍久はマジックミラーを叩くが、ビクともしない。

「雪、土方さん! 止めてくれぇ!」

 龍久がどんなに呼びかけても、二人には届かない。

 雪を菊水の所へ連れてさえ行けば、また笑えるようになるのだ。今度こそ幸せになれるはずなのだ、それなのにこんな所で死んでしまったら何の意味もない。

 しかしこんな時だと言うのに、龍久の頭の中に鳥羽伏見で聞いたあの言葉が蘇った。

(――男ならしっかりと最後まで見届けるんだ!)

「…………山崎さん」

 龍久にもなんとなく分かった。これがあの二人の最後の戦いになるだろうと――。

 今ここでこの戦いに決着がつくと、そう思った。

「雪……土方さん」

 だが、どちらが勝っても嬉しくなどない。

 あの時と違って、今度は菊水と言う希望もあるのだ。ただ黙って見ている事が悔しくて仕方がない。

 だが見ている事しか出来ない、そんな自分が悔しくてたまらない。

 今はただ見届ける事しか出来なかった。



「きゃははっ! 死ねぇ!」

 雪は村正を振るいながら、土方に向かって斬りかかる。

 それを兼定で受け止めると、無理矢理に鍔迫り合いへと持って行く。

(やはり女の力、弱い!)

 土方はそのまま力いっぱい兼定で村正を振り払った。左へと大きく振り払われた。

 無防備な胴体に向けて、土方が止めの一撃を振るおうとしたのだが――。

「遅いよぉ」

 雪が不気味な頬笑みと共に、右手に持った短銃を土方の顔面に向けて突き出した。

眉間へと向けられた銃口を見て、土方はすばやく頭を左へと向ける。

 雪は何のためらいも無く引き金を引いた、弾丸が土方の耳のすぐ横を通過していく。

「うぐっ」

 凄まじい衝撃が耳を襲う、幾ら短銃と言えども、これほどの至近距離で放たれれば凄まじい音で鼓膜が破れてしまう。

「あはっ外しちゃったぁ!」

 そう言いながらも、雪は弾き飛ばされた左手を土方に向かって振るおうとしている。弾丸を避ける事を優先してしまったので、兼定を振るっても間に合わない。

「うおりゃあああっ!」

 土方が体当たりをした。雪はすぐに眼で捉えて回避を試みるが、村正を振るおうとしていたのでこれでは避けきれない。

 両手で胸の当たりの守りに入った。胸を守ると言う本能が働いたのだ。

 

 土方の体当たりが、雪へとぶち当たった。


 だが守りの体勢に入っていた雪はどうにか耐えられた。

 男の攻撃を小柄な雪が耐えるのは難しい事だが、攻撃を止めて全ての力を守りに集結させれば、どうにか持ちこたえる事が出来る。

「これくらい――」

 すぐ様雪が土方へと刃を振るおうとしたのだが、少し遅かった。既に目の前に彼が迫っていた。しかしこのくらいならば雪の眼をもってすれば捉えられる。

 左からの真一文字の斬撃、雪はこれを回避するのではなく、村正で受け止める事にした。そして短銃で、今度こそ撃ち殺してやろうとしていた。

 ――しかし、村正の刃は兼定を受け止めなかった。

 なぜか土方が途中で大きく軌道を逸らして、雪より少し離れた空を切り裂いて行った。

 外したのか、間合いを見誤ったのか、いや土方がそんな事をするはずがない。雪は右の眼球を動かして、どうにかそれを見る事が出来た。

 土方の左手が、拳を握って正に今それが振り降ろされる所だった。

(騙し打ち!)

 雪が理解して、土方が左足で踏み切り左手を振るった――。


 雪の右頬に、土方の一撃が炸裂した。


 右頬から衝撃が全身に伝わった。

 脳を揺らし、内臓を走り抜けたその衝撃が、無くなるその前に床に叩きつけられた。

「があっ――」

 雪は四肢を踊らせながら床を跳ねた。仮面が外れて、短銃が手から零れて、何処へともなく飛んでいく。

 彼女の踊りがようやくおさまったのは、床を二度跳ねて鏡へとぶつかった後だった。

「はぁ……はぁ……はあっ」

 渾身の一撃。酷く息が上がったが、ようやく『夜叉』に一撃を入れる事が出来た。

 雪の右の視野は狭い、そこに更に左からの斬撃に集中させる事によって、右に大きな死角を造らせた、正に頭の切れる土方だからこそ出来る技だった。

(……右の耳が聞こえねぇ)

 右耳の鼓膜が破れているのだろう。耳の奥の方が痛んだが、雪の方が被害は大きいだろう、土方がかなり有利だろうと思われたのが――雪が立ちあがった。

「痛いよぉ……痛いよぉ」

 雪は口の中を切ったのか、血を流していた。

これほど派手にやられた彼女を見るのは、土方は初めてだった。

「でもぉたのしいぃなぁ、あはっ」

 恍惚とした頬笑みを浮かべる。その姿は何処となく色気があるがおぞましい。

 雪は村正を手に取ると、口の周りの血を拭った。

「……ふざけるんじゃねぇぞ、結構本気で殴ったのによぉ」

「あはっ、体中とっても痛いけどぉ、こんな体もうどうでもいいんだ……お前を殺せればそれで良いんだ」

 最早肉体など、雪には不要な物になり始めていた。

 しがらみしかないこの世など、そこにある為の肉体など、雪には最早お荷物、不要な物。早く土方を殺して、この束縛から解放されたかった。

 世界を滅ぼす『荒神』となって――。

 雪は村正の柄を握りしめると、土方に向かって走る。

「死ねぇ!」

 左から右にかけての真一文字の斬撃、決して避けられない物ではなかったのだが――。

「ぐっ!」

 酷い眩暈で攻撃を避けきる事が出来ず、土方は左腕の二の腕を斬られた。

 先ほどの銃の衝撃で耳のどこかがいかれたらしい。空間の認識が上手くいかない。

 このままではやられる、土方は間合いを取ろうと後ろへさがるのだが、雪はそれを許しはしない、すぐさま村正を振るいながら追撃を試みるのだが――。

「――っ!」

 突然雪は左膝を着いてしまった。それは雪の意思に反している事らしく、酷く驚いて居る。どうやら土方の攻撃は間違えなく利いて居るらしい。

「ははっ、体を捨てるとか言って居る割には、体がねぇと攻撃できねぇんじゃねぇか……」

 両者既に満身創痍の状態だった。最早どちらかが倒れるのは時間の問題だった。

 もう二人とも分かっていた、決着を付けなければならない。

 ここで戦いを終わらせなければならない。

「これで終わりだ、もう次はねぇ」

 そう言って土方は兼定を中段に構えた。

「あはっ、これで全部終わりにしてあげるよ」

 そう言って雪は微笑み、村正を握る左手の力を強めた。



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