第八十五話 探索者はトラブルを拾うべき
悟「うーむ。おかしい…絶ぇ対ぁいにおかしい…」
そう思うのにも無理はなかった。あの明野町でのシナリオ名をキャラシの通過済みシナリオの欄で確認しようとキャラシメーカーを開いたここまではよかった。
いつもの俺のキャラシ、以後本体キャラシを開いたはずなのだが…
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プレイヤー名:中川 悟 探索者名:中川悟
職業:大学生 年齢:20 出身:愛知県 性別:男性
髪の色:茶色 瞳の色:黒 肌の色:白
HP15 MP15 SAN86 不定領域68
STR13 CON15 POW15 APP13
SIZ14 DEX10 EDU15 INT15
DB+1d4 幸運75 知識75 アイディア75
探索者の技能
回避(74)、パンチ(こぶし)(59)、キック(38)
マーシャルアーツ(30)、拳銃(75)
応急手当(45)、聞き耳(70)、図書館(70)、目星(73)、制作(10)
説得(65)、英語(55)、オカルト(40)
心理学(42)、クトゥルフ神話(5)、歴史(40)
特徴表
「???」「寄せ餌(D)」
職業P 300/300 残 0 興味P 150/270 残 120
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なぜ特徴表が追加されている?
なんで?俺が追加したのはあくまで戦闘用キャラシだけのはず…それに、俺が引き当てたのは戦士と寄せ餌(D)。デメリット特徴はそのデカいデメリットと引き換えに興味Pを1D6×10%の補正が入る。しかし、デメリット特徴は一人につき一つまでがルールとしてある。だから、本来ならどんなサンプル特徴表の組み合わせでも補正値120Pなんてありえないことだ。それに仮に先述のルールを無視してデメリット特徴を二つ有すれば可能ではある。それになんだよ!「???」ってヤバい気しかしないんだけど!?
悟「神様ー俺、何か悪い事しましたかー??」
天に聞いても帰ってくるのはカラスの鳴き声、それにこの世界に入る神なんてクソッタレの邪神がほとんどだということを忘れていた。
とにかくこの貰った?授かった?押し付けられた?興味ポイントをどう振り分けよう?
ぶちゃっけ戦闘面は既に間に合ってるしな。戦闘用キャラシにライダーシステム、さらには前回のシナリオの副産物である幽鏡術。これら全部を持っていったセッションなんてまずヌルゲー化するよな。生粋のドMドSである俺としては行き詰った時だけこいつらを使っていくことにしよう。世界観は大事、基本ルルブにもそう書いてある。
三十分ほど思考錯誤したが現状欲しい技能が無いってのに落ち着いた。いや、俺も思ったよ?三種の神器に振ったりすればいいなんて。でもこんなに洗練された技能とプレイヤースキルがあるんだ。振らなくたって余裕だろ。
そんなことを考えて大学での一日が過ぎようとしていた時、伊角から連絡があったので伊角の家に向かった。
悟「話ってなんだ?」
伊角「このカードを君に渡しておこうと思ってね。」
そう言って伊角はカードを投げ渡す。
悟「落としたら危ないだろ!って…これは!?」
渡されたカードにはムーンビーストと思われるイラストとTMC:ムーンビーストと書かれていた。
悟「もしかしてこれって!!」
伊角「ああ、仮面ライダーミトスの強化形態。form=ムーンビーストだ。」
悟「すっげぇー!!!いいのか!?また強くなっちまって!?」
伊角「ああ、でも注意してくれ。formを変えるだけでもSANチェックが発動してしまう。どう頑張ってもこれは無くすことができなかった。それにまだ人体的実験ができていないのも事実。SANチェック以上のリスクが発生するかもしれない。」
悟「心配することないって。SANチェックが増えるくらい大したことねぇ。」
伊角「強がりだね」
悟「まあ、ダイス運には自信しかないからな。話ってこれだけか?」
伊角「ああ、そう。あと一つだけ。僕ちょっと用事が出来ちゃってね二日三日この町に居ないんだ。」
悟「なんだ、仕事の撮影か?」
伊角「そう。ちょっと南極の方にね」
悟「え?南極?南極で撮影って…防寒着のCMとかか?」
伊角「CGでやれって言っても聞かなくてね。まあ南極自体には行ってみたいと思ってたから一石二鳥って感じかな。」
悟「そいつはがんばれ」
伊角「おうとも」
激励の言葉を送り俺は家へと足を進める。
家に直行しようと思っていたが、キャラシの調整やらで遅くなるだろうな、コンビニに寄るか。
「いらっしゃいませー」
悟「おっ?コラボやってんのか。エナドリも買っちゃうか」
明日の朝食と本日のお夜食用にサラダチキン二つとエナドリを2本ほど買った。
エナドリ買った理由は決して俺がクールな見てくれのくせしてポンコツ感のある姉貴的なドラゴン娘が好きだからなのではなく、そうこれは寝ないために買ったのだ。
そう自分を正当化させつつ帰路に着いた。
時間は既に18時を過ぎ辺りは暗くなっていた。いたって普段どおりの日常を過ごした俺は、家に帰るため、人気のない道を歩いている。
そうしているとふと、俺の瞳が、月明かりに照らされた不思議な存在を映す。
それは蛇のように長く細い胴にギラギララと玉虫色に反射させる鱗を持ち、胴に比べると短い手足がなんともアンバランスで、長く伸びる髭をたたえた口吻はワニを彷彿とさせ、頭からは鹿のような角があった。
俺の知るもので形容するのならば”竜”のような生き物が、力なくぐったりと倒れていた。
SAN値チェック1/1D4
[悟
正気度ロール(86)→成功(35)
SAN86→85]
SANチェック発生ってことはシナリオ開始ってことであってんだよな?この目の前にぶっ倒れているドラゴン、いや、この形状からすると竜って表現の方が正しいのか?
何かが暴れた形跡など荒れた様子はなく、”竜”のような生物だけが猛烈な異彩を放っている。
とりあえず、近づいてみない限りは何もわからないよな
ぐったりとしていたが、近づこうとする俺の存在に気づいたのか、竜はゆっくりとその瞼を開けた。
まずいっ!?
まるで南国の海のように澄んだ、それでいてマリアナ海溝の中心のように深い青い瞳が俺を映すと、長い首を持ち上げた。月明かりを背にする”竜”の影が、俺に落ちる。
襲ってこない?
それは襲いかかってくる様子はなく、いたって穏やかに…しかしどこか警戒したように、恐々と鼻先を寄せて俺の匂いを嗅いだ。
落ち着け、落ち着くんだ俺、ステイステイだ。こういった場合こそだ。う…うろたえるんじゃあないッ!COCプレイヤーはうろたえないッ!自分を鼓舞しろ!自信を持って敵意が無い事を示すのだ!でも、話通用しなさそうな竜にどうやって示すんだぁー!?
足に何か当たるような感触が走る
そうだ、サラダチキン!
俺はおもむろに、サラダチキンを開封し手で割いてたサラダチキンを竜の口元に近づける。
ヤンニョムチキン味、お気に召すだろうか……
竜は鼻先で匂いを数回嗅いだ後にサラダチキンを口を器用に使って食べた。
危険ではないと把握したのか、横たえていた体を起こして長い胴で俺を囲み、ウルル…というような、リリリ…というような、なんとも形容しがたい鳴き声を発しながら、サラダチキンをねだるような仕草をする。どうやらお気に召したようである。
しかし困った。こんなところに竜を放置したら間違いなく噂になる。とりあえず、家に誘導するか。
使用させていただくシナリオ
狐の小箱様作「竜と落とし子」
https://108hako.booth.pm/
あと、自分ごとで大変申し訳ないんですが、ちょっと受験期が近づいてきたので更新ペースが落ちます。10日に一回は投稿できると思います。
追記
10日に一回とかほざいていた自分をしばきたい。1ヶ月に一回投稿できるか怪しいくらいになってきた。こっちの設定ねりねりと新しい小説の設定ねりねり、そして受験勉強でこの作品に手がつけられない状態。
まじで遅くなるかと思いますが、どうか気長に待っててくれるとありがたい。




