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第六十二話 萬の王は興が乗る

 MOMO姐たちが社長室に生成された門をくぐると、陸地から遠く離れた名もなき絶海の孤島。


 MOMO「なんだが、リゾート地みたいじゃなーい!!」


 原田「ある一点を除けばな。」


 彼らの眼前に映るは、萬の王。ただそこに満足そうに両手を宇宙(そら)へと掲げ、海を見て佇む。

 ただ背伸びしているように見える。いや、それで正しいはずなのだ。しかし、その雰囲気はまるで文字道理に完璧?それとも究極?言葉として言い表そうと思考を巡らすが、単純かつ凡庸的な単語しか出てこなかった。


 荒薪「あれ、社長。雰囲気変わりました?」


 王は振り向き、いつもの笑顔で答える。


 萬「確かに、変わったと言ったら、変わったのかもしれないね。今まで足りなかったパズルのピースが、ようやくハマったかのような、そんな感じかな荒薪ちゃん。」

 

 Mr.G「社長…」


 萬「あ、そうそう。呼び出した訳だけど。ちょっと、僕と戦ってくれないかい?」


 原田「いくら何でも、残機が足りる気しないぞ。」


 MOMO「確かに、乗る気になれるか?って言われたら、無理ね。だって社長さん強すぎるもの。いくらダイスの目による戦闘でも満足させれるほど長続きしないわ。」


 萬「もぉーつれないなぁー」


 「「(すっごいしょぼんな顔してる!!!!!)」」


 Mr.G「これも仕事の内だ。まずは俺が出よう。」


 荒薪「Mr.Gさん、本気ですか!?」


 原田「一人で何て危険すぎるぞ。」


 MOMO「そうよ、ここは私たちも出るわ。」


 Mr.G「大丈夫だ。むしろ下がっててほしい。」


 萬「ということは、あれを使うのかな?」


 Mr.G「ああ、じゃあ。行くぞ…フン!!!」


 彼は体全身に力を入れ始める。そうすると彼の背後から薄っすらと何かの影のようなものが現れる。その影は彼の中へと入り込むように姿を消す。それと同時に彼の体は、膨らみ魚類の鱗のようなものに覆われ始める。

 服は黄色く、フードのようなものに。皮膚という皮膚は薄い緑色へと変化する。


 荒薪「何ですか…あの姿…あれじゃまるで…」


 萬「旧支配者の一柱、「名状しがたいもの」、黄衣の王:ハスター。相手にとって不足なし。」


 萬の王は笑みを浮かべ、黄衣の王へと話しかける。


 Mr.G「勘違いしてくれるなよ?俺は、旧支配者に心ごと堕ちた訳じゃない。肉体、精神ともに俺だ。だから、少しは手加減してくれよ?」


 黄衣の王は音器を展開し、萬の王へとその銃口を向ける。

 

 萬(知っているとも、偽称:音楽楽器変形型武。正式名称:音楽楽器型変形偽装暗器、通称:音器。製造番号No,2、弦音器V(ヴァイオリン)ライフル。改造元はL115。楽器状態では少し大きめのバイオリン程度の大きさ。武器状態では、遠距離からの攻撃を主とするスナイパーライフルへと変形。使用弾丸は音器に封印されているヤツの魔力を元に生成された特殊な弾丸。物理攻撃無効ともに魔術装甲貫通し、通常弾に加えて数値上の+3打点が確定している。それを近距離で向けてくるとは。)「末恐ろしいね、僕の作った音器は。その引き金を引いた瞬間から、ゲームスタートだ。」

 

 両者の間に沈黙が走る。


 バァン!!!


 先制攻撃、Mr.Gの銃声が鳴り響く。

 人では、避けるのも儘ならず、不可能なほどの弾速で射出されたライフル弾が、萬操矢へと襲いいかかる。しかし、彼は、それを回避することなく、手元の音器による一振りで粉砕する。


 萬「何ッ!?煙幕だと!?」


 萬が粉砕した銃弾は先端に着弾点に煙幕を噴出するように仕込まれていた。予想外の改造に驚きながらも、Mr.Gの成長と戦略に笑みを浮かべる。

 

 煙幕により視界の妨害を確認した後、人間とは到底違う器用さと速度によって、Mr.Gは反動を逆手に利用して、萬との距離を確実に離して再び射撃を開始する。

 

 原田「笑ってやがるぜ、社長のやつ。」


 MOMO「何と言うか、やってることが()り合ってるようにしか見えないけど…」


 荒薪「激しめの友達喧嘩みたいですよね…」


 三人は飽きれていたが、二人は楽しそうに、()りやっていた。


 萬「改造弾による煙幕の噴射によって視界を奪い、そこに追撃する形で通常弾による狙撃…流石は、僕のNo.2だね。でも、ちょっと詰めが甘かったね。煙幕をまいたのが仇となってるのか、改造弾合わして合計三発しか当たってなかったよ??」


 煙幕の中から満面かつ、余裕の笑みを浮かべて萬は出てきた。


 Mr.G「フッ。安心しろワンマガジン分、全弾命中だ。それに、本気でやってしまったら、ヘッドショットで一発だからな。俺なりの配慮ってやつだ。」


 萬「配慮ね…相変わらず。優しいね、君は。」


 Mr.G「それはお互い様だろ?お前が、世界平和なんて望む、そんな優しいやつだから、着いて行ってやってんだろ。」




 MOMO「やだ、あれ告白文かしら!?」


 荒薪「た、確かにそうとも聞こえますけど…」


 原田「でも、否定はできないよな。俺たちも、社長に魅せられてここにいる訳だからな。」


 MOMO「それもそうね。アタシたちは惚れ込んでここにいる。あの子が言ってることもわかるわ。」


 荒牧「そうですね。」


 少し間が開いた後に、再び萬は話し始める。


 萬「さっきの射撃、訂正するよ。見事だった。やはり、音器同士の衝突は避けた方がいいね。下手したら、アイツらが出てきちゃうからね。(まあ、僕の音器には君たちの棺と違って、空の棺なんだけどね。僕以外が使うとの話だけど)では、こっちを使おうかな。」


 萬は音器をしまい、一本の日本刀と異形の化け物の死体を取り出して、詠唱を始める。


 萬「我の刀は其方の型に、其の肉によってその刀身を洗い、其の血を持って之を清める。よーし、これでいいかな?」


 詠唱を終えると刀の刀身が青白く発光し、何かの膜が張られている。

 

 Mr.G「《刀身を清める》か…」


 原田「別名を、旧きものの力を吹き込む、七つの切り付けの儀式、精霊への毒。普通の武器ではダメージを与えることができない存在にもダメージを与え殺すことができる刀身を純粋な金属とSIZ10以上の動物の血から作り出す呪文…」


 MOMO「本来なら1時間かかるのだけど…」


 荒薪「それを、たったの数秒で……あれ?戦いに見惚れてたのもあるんですけど。そう言えば、さっきからダイス判定が出てませんよ!?」


 MOMO「えっ、あっ!本当だわ!?」


 原田「いや、気づいていたけど。普通に見てたな。なんでだ?俺たちの世界の住民はダイスによる判定で戦闘やHP、MPという概念があったはずなのに今のあいつらからはそんな感じがしない???」


 そんな彼らの疑問に耳を向けず、萬はMr.Gへと切りかかる。

 その間にもMr.Gは萬に狙撃を行うが尽く撃ち落とされ、日本刀の間合いまでの接近を許してしまう。


 しかし

 

 Mr.G「まだまだ詰めが甘いのは、お前の方だ!これで詰みだ、萬っ!!!」


 [Mr.G 触肢 (100)→成功(63)

 ダメージ→()()


 Mr.Gの体から生えた無数の触手が、萬へと襲い掛かる。

 

 萬「この状況、確かに詰みかもしれないね…だけど、僕の前では、不可能は可能となる。」


 Mr.G「まさか…!?」


 萬「そう、既に()は発動済みさ!!!」


 萬の王へと襲い掛かったはずの触手たちは、その肉の表面で動きが止まっていた。

 

 Mr.G「詰みはこちらだった訳か、これ以上何をやっても一本取れる気がしないな。降参だ。」


 彼は両手を上げ白旗を上げる。


 萬「付き合ってくれてありがとう。僕もこれで大体の把握が着いた。僕たちの世界と悟たちの世界、その両方の性質を持った今の僕がどこまで動けれるか、なんとなく理解できた。それに今の君は僕以上にその性質を使いこなせている。戦闘中にダイスバトルを挟むなんて、今の僕にはできない芸当だよ。」


 Mr.G「それに関して、一つ疑問があるんだが。なぜ、中川悟はダイス判定を行える?やつは、既に俺たちの世界では、死亡しているはずだ。」

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