第四十六話 ビギナーズラック
マリク「どうやら、りんごジュースを作って飲めば、この空間から出られるみたいだねェ。」
悟「マリク、メモの裏面になんか書いてあるか?」
マリク「えーと何々?『握力でだいたい解決できます』と書かれてあるねェ。と、いうことは、どういうことかなぁ?あぁん?お二人さん。」
悟「力こそパワー!!!」
[悟
STR×5(55)→成功(45)]
俺はりんごを思いっきり握りしめて握力を加える。
そうするとりんごは俺の馬鹿力…いや、人並み外れた握力により、ぐわしゃあ!!とものすごい音をたてて、りんごは見事に粉砕された。
悟「よし!これでりんごジュースになっただろ!」
俺は潰し溢れたりんご汁をグラスへと注ぎ入れて伊角たちと共に飲む。
悟「よっしゃぁ!!シナリオクリアだぁ!完走した感想ですが、たぶんこれが一番早いと思いますってあれ?」
俺は今だに空間に取り残されたままだった。
伊角「悟、私思ったんだけど。冷静に考えてみると、これはジュースと認定されのだろうか?英語でjuiceとは果汁のことを指すけど、日本という国においてはソフトドリンク全般を『ジュース』と総称するのが一般的…………………」
マリク「つまり何が言いてぇんだよぉ?」
伊角「つまりだ。私たちは製作者の罠にすっぽりとハマった訳だ。」
そのように伊角が言うと。
突然、俺たちの足元の床が音もなく開いて
俺たちは床下にボッシュートされる。
俺たちの身体が下に落ちていったのは数秒のことだった。
一同「うわぁー!!!」
悟「お前ら、DEX×5だ!急げ!」
[悟
DEX×5(50)→スペシャル(7)
伊角
DEX×5(80)成功→(48)
狭間
DEX×5(45)成功→(36)]
俺たちはなんとか、両足から着地することができた。
伊角「あっ、危なかった。」
マリク「フフフフ、ハハハハハハァ!こいつは傑作だねェ!」
悟「あかん…キレそう……」
伊角「まぁまぁ悟、煎餅でも食べて落ち着きなよ。」
悟「奈良鹿じゃねぇよ!!!ってかごめんな、巻き込んじまって。」
伊角「そのことなら別に構わないさ。とにかくここを出る方法を考えよう。」
俺たちが落ちた場所は狭い穴の中のような空間。
穴の中に光源はないが、上部がぽっかりと開いている。
マリク「大体5メートルくらいといった感じかねぇ。」
[悟
聞き耳(70)→成功(65)
伊角
聞き耳(60)→失敗(78)
狭間
聞き耳(50)→失敗(82)]
悟「ん?ダイスが振られた!?」
俺は自分の足元から、カサカサ…ガサガサ…という音が聞こえてくることに気付く。
地面に目を凝らすと、薄暗がりの中、足元に這い回っているたくさんのムカデの姿がある。
大きなものからちいさなものまで…
重なり合うように這い回るムカデたちは、俺の脚にまで這い上がろうとしてる!?
[悟
正気度ロール(84)→成功(48)
SAN84→83]
悟「やばい!やばい!早く突破口を!」
マリク「周囲の壁を調べたんだが。壁は平坦ではなく、所々に突起があってねェ、握力さえあればボルダリングの要領で上に登ることができるだろうなァ。」
伊角「なるほど、ここは『あくりょくのいえ』だから握力でだいたい解決できるのか!?」
登る技能だったら登攀になるのか?クッソ、あんな技能そこまで使う機会がないから初期値のままだぞ!?
いや待てよ、さっきも言ったがここは『あくりょくのいえ』……STR×5か!!
[悟
STR×5(55)→失敗(63)]
悟「チクショウ!失敗しやがった!!」
俺は足下を再度確認するとムカデの1匹が俺の足に絡みついていた。
[悟
正気度ロール(83)→成功(13)
SAN83→82]
悟「おおお前ら!STR×5を振るんだ!そうすればこの壁も登れるはずだ!」
[悟
STR×5(55)スペシャル→(6)
伊角
STR×5(40)→失敗(94)
狭間
STR×5(50)→決定的成功(5)
クリチケ0→1]
悟「よし、こっちは登れたぞー!」
伊角「ダメだ登れない。」
マリク「んぁ?決定的成功?」
悟「おっ!マリクナイスだ!クリチケを伊角に使ってやってくれ。」
マリク「そんなことができるのか?」
悟「ああ、俺の卓ではクリチケはシナリオ終了後の技能値ボーナスの他にダイス判定の振り直しに使えるんだ。もちろん他人にも使える。」
マリクはニヤリと笑って言う。
マリク「断るね。オレは他人の不幸や苦痛を見るのが大好きでねェ。オレにとっては絶好の機会って訳だ。精々そこのムカデさんたちと仲良くするんだなぁ!フフフフ、ハハハハハハァ!」
悟「お前……」
マリク「おぉーん?聞こえないなァ??」
[悟
こぶし(パンチ) (59)→スペシャル(7)
ダメージ 1d3+1D4→7
狭間
HP12→5
CON × 5(40)→致命的失敗(100)]
俺は思いっきりマリクの腹をぶん殴る。
マリクは不意打ちであったがためか避けることはできずに腹パンをモロに受ける。そしてよろけながらうめき声を上げて笑う。
マリク「うおおぉぉぉぉ、ううっぁは、あ゛ぁぁぁ。痛い痛い。効いたぜ、いまのはよ。」
悟「100ファンで自動気絶のはずなのに何で…?」
マリク「フハハハ、オレは闇だこの程度……で……」
やはり判定には抗えなかったのか、マリクはその場に気絶する。
そのやり取りの合間に伊角は自力で這い上がっていた。
[伊角
STR × 5(40)→決定的成功(3)]
悟「お前もクリティカル出したのかよ……」
伊角「おあいにく様ね、ムカデに関しては私の足には着いたりしてなかったから別に何ともだけど…悟これはちょっとやり過ぎなんじゃ……」
そう気絶してぶっ倒れているマリクの方を見て言う。
悟「すまん、ちょっとアイツの考えにキレたのと想像以上に出目が荒ぶった。」




