第四十三話 麻婆豆腐お待たせアル!
月島「ただいまー。」
悟「おっ、おかえり月島ちゃん。どうだった?初めての学校は。」
月島「はい、凄く楽しかったです!それと今度の土曜日に友達とラーメン食べに行くことになったんです!」
悟「もうそんな友達ができたのか、お兄さんウレシイッ!で、その友達のお名前は?」
月島「晩野和くんです。悟さんと同じく探索者?みたいです!」
悟「そうか〜初日にクラスの男子とラーメン食べに行く約束を……青春だなぁ。って違ぁーう!今探索者って言ったよな!?それちょっと詳しく!」
月島「カクカクシカジカ」
悟「マルマルウマウマ。なるほど、あのニャル子俺以外にも街頭インタビューしてたのか。というか、俺以外にも探索者がいたとは。その晩野くんはCOC歴はどれくらいなんだろうか?」
月島「晩野さんはCOCをやったことないらしいですよ。確かニャルラトホテプ様と取引をしたとは聞きましたが。」
悟「それの内容は?」
月島「何も言いませんでした。」
悟「うーん、そうだ。ラーメン食べに行くの着いて行っていいか?」
月島「構いませんよ。」
そして時間は過ぎ、土曜日泰山二号前
俺たちは昼食を食べようと最近オープンしたばかりの「泰山二号」という名前のラーメン店に足を運んだ。けれど目に入るのはずらりと並んだ人の群れ。それだけで人気である店だということがわかる。
そこで初めて晩野和にあった。
悟「初めまして、俺の名前は中川悟。探索者だ。こっちは伊角真人。」
伊角「こんにちはー。」
晩野「初めまして、私の名前は晩野和。貴方が月島さんが話していた私以外のノートの所持者か。貴方はどんな契約をあの邪神と交わしたのかな、是非、聞かせてほしい。」
悟「契約?そんなことしてないな。」
晩野「驚いた、では貴方はなぜ探索者に?」
悟「なぜって、そりゃ探索者やりたかったから。」
晩野「彼は生粋のドMかね?私はそのCOCについては遊んだことはないが、ある動画ではCOCには生粋のドM、ドSが多いと聞いたのだが。」
悟「そうだけど違う!最初はただの興味本意だったんだけどな。ここまでやってきてなんつーか後戻りできなくなっちまったっていうか、そんな感じだ。で、晩野はなんで探索者やってんだ?」
晩野「医者になるためだが。」
悟「なら尚更こんなのやっちゃいけないだろ。」
晩野「今の私の学力で医学部に行けるのかと言われればYESだが、万が一の保険だよ。」
月島「将来はお医者さんですか、素敵ですね。」
俺たちが雑談していると、前に並んでいる客が憤慨した様子を見せる。
「すごくお腹がすいてやってきたのに!どうしてこのラーメン屋さんはこんなに並んでいるの?あり得ない!裏口から回り込んでやるんだから!」
目の前にいたはそのまま店の裏手口に回ってしまった。
悟「おいおい大丈夫かよ。」
伊角「追いかけるかい?」
悟「お前らはどうする?俺は追いかけるけど。」
晩野「では、私も行こう。」
あっ意外だな、こんな目が死んでそうなやつでも良心があるのか、まぁだったら医者なんか目指さないよな。
悟「他は?」
伊角「私はここで待ってるよ。」
月島「私もここで待ってます。」
悟「よし、じゃあ着いて来い晩野。COCとはどんなものか見せてやる。」
いつまで経っても客は戻ってこない。心配になって追いかけてみると、そこは路地になっていた。俺たちは暗くじめじねしたそこをゆっくりと進んでいく。
俺たちは言葉を失う。
路地一面に広がる赤。そこに漂う鉄臭さにそれが血であることを嫌が応にも認めざるえない。そしてその赤く染まる路地の中心に見覚えのあるものが目に入る。
首のない目の前にいた客。
明らかに死んでいることがわかる。
SANチェック1/1d4+1
[悟
正気度ロール(83)→成功(31)
SAN83→82
晩野
正気度ロール(75)→成功(34)
SAN75→74]
晩野「これは酷いな。」
悟「これが、COCだ。平気に人が死ぬ、残酷な世界。」
晩野「なら、尚更医者になる必要が出てきたな。」
客が倒れている奥に、誰かが立っている。
黒いローブを纏い大柄で骸の面をつけている人だ。面にべっとりと着いた血が紛れもない犯人であると指し示しているのがわかる。何よりその手には客の首が握られていた。その反対の手には大剣。
「盗人は死して然るべきもの。故にこの者は死んだのだ。お前たち、こちらにきた動機を聞こうか?」
うーん、これ確実に嘘とかいったら殺されるな。
晩野「私たちはこの店のラーメンを食しに来た。そして、列から抜け出てあろうことか裏口から入店しようとしたマナー違反な客を連れ戻そうと追いかけたのだが。この有様だ。」
「なるほど、お前たちはこの盗人とは違い。純粋にこの店で食事をしたいと。ならば去られよ。」
と骸の面はあなたたちに言う。面の奥にわずかに見える瞳が冷たく俺たちを見つめている。
その視線に悪寒が走り、俺たちは裏口から去り行列の前まで戻ってきた。
伊角「どうだった?その様子じゃーいいもの見れなかったっぽいね。」
悟「久しぶりに死を感じた。」
晩野「医者になろうという気持ちが高まったよ。」
月島「何はともあれ、あともう少しの辛抱ですよ。」
一時間近く並んでようやく店内に入ることができたあなたたちは足の疲れを休ませる様に席に着く。
メニュー表をみるとこの様に書かれている。
・拉麺
・青椒肉絲
・激辛麻婆豆腐
[悟
目星(60)→決定的成功(3)
目星(60)→成功(54)
伊角
目星(60)→成功(42)
月島
目星(65)→スペシャル(11)
晩野
目星(70)→失敗(83)]
俺たちは激辛麻婆豆腐に辛さの程度が書かれていない事に気がつく。
[悟
アイデア(75)→成功(36)
伊角
アイデア(150)→成功(44)
月島
アイデア(75)→成功(74)
晩野
アイデア(80)→成功(36)
そして、激辛麻婆豆腐という名前に身の危険を感じる。
悟「ザッ中華って感じだけども。」
伊角「激辛麻婆豆腐……僕は遠慮しようかな。」
月島「せっかくだし私は激辛麻婆豆腐にしようかな。晩野さんは何にします?」
晩野「無論、激辛麻婆豆腐だ。」
悟「俺はラーメンと、伊角チンジャオロース食べるか?」
伊角「僕もラーメン食べようかな。チンジャオロースは一緒に食べよ。」
月島「あっ、私ラーメンとチンジャオロース?も食べてみたいです!!」
悟「すいませーん、注文いいですか?」
「ハイ、ご注文は何でしょう?」
悟「えーっと、ラーメン3つとチンジャオロース、激辛麻婆豆腐を2つづつお願いします。」
「カシコマリー」
少し待つと、先にラーメンとチンジャオロースが届いた。
悟「お先いただいてるぜ、いただきます。」
伊角「いただきます。」
うんめぇー!!!
口の中に芳醇な香りと旨味が広がるッ!この店が繁盛している理由を身をもって体感した。
伊角も舌鼓を打っている。
そして、暫く待っていると。
「麻婆豆腐お待たせアル!」
晩野「来たか……。」
店長「当店自慢の激辛麻婆だ。味わって食べるといい」
店主は虚ろな瞳で微笑みを浮かべて厨房から出てきた。
しかし、麻婆豆腐を見た俺と伊角は戸惑を隠せない。その色は茶色というよりも赤一色。白い豆腐も赤く色づき橙に染まっているが、香りは確かに麻婆豆腐であった。
悟「月島ちゃん、これ本当に行くの?まるでマグマでも見てる気分なんだが。」
月島「えっ?全然美味しそうですけど。」
晩野「同感だな、早速いただくとしよう。」
悟、伊角「(こいつら本気か!?)」
そして二人が口にした瞬間。
脳が即座に信号を送る。
痛い。
辛いというのはそもそも痛覚である。それが下を介して全身に広がった。
[月島
正気度ロール(79)→失敗(98)
1d3 (1D3)→1
SAN79→78
HP15→7
CON × 5(75)→成功(16)
晩野
正気度ロール(74)→成功(20)
HP13→6
CON × 5(55)→成功(37)]
二人は何とか持ちこたえる。
視界が真っ白になりかけているが意識は保ててるみたいだ。
この2人は脳が水を要求し、ひたすら水を飲むことだろう。そう思っていると。
月島「美味しいーー!!!この辛さ癖になりそうです!新たな拷問もとい、美食の発見です!!」
晩野「確かに辛いが、それもまたこの麻婆豆腐の味を引き立たせている。」
月島、晩野「食べますか?」「…食べるかね?」
悟、伊角「食うか!」
「ほう。よく頑張ったな。まさか、こんなにも美味しく食べてもらえるとは驚いた。そして、チャレンジの報酬の杏仁豆腐だ。」
ニヤニヤと笑いながら杏仁豆腐を差し出す店主。
店主は激辛麻婆豆腐残されずに、美味しく感触されたことにひたすら嬉しそうに笑っていた。
まるで人の笑顔に満ちた表情がこの上ない幸せだとでも言う様に。
悟「よかった、これ以上何か起こりそうもなさそうだな。」
伊角「そういえばあの客はどうなったんだい?」
晩野「この世には知らない方がいいことがある。」
伊角「なるほどね、りょうかーい。」
そのまま俺たちは無事に帰路につく。
今回はそんなに被害が出なかったが、COC世界と混ざり合った影響か死亡、行方不明事件、事故が増えている。早く何とかしなくちゃな。
──────シナリオクリア
SAN報酬1d4
[悟
1D4→2
SAN82→84
伊角
1D4→2
SAN71→73
月島
1D4→4
SAN78→82
晩野
1D4→2
SAN74→76]




