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第四十一話 月の獣と愉悦系②

 朝のSTが終わり1限の授業前になると、私の席はクラスのみんなに囲まれていた。

 「どの高校から来たの?」「えっ!目めっちゃ綺麗だし水色だ!カラコン入れてるの?」と様々な話を振られていた。

 それに受け答えしているとチャイムが鳴る。みんなはそれが聞こえると、各々の席に座り始めた。

 チャイムがなったら、席に座らないといけないんだ。授業の用意もこの時間にしなきゃいけないんだ。

 そしてなんやかんやあり、昼食の時間がやってきた。


 月島「うへー疲れた、お昼ご飯食べよ。」

 

 机の上に弁当を広げ昼食をとっていると。


 晩野「どうだね、私の学校は?」

 

 月島「楽しいですよ。」

 

 と返事をすると「なら良かったと」と安心したように言い、晩野も弁当を開ける。


 月島「なんかすごく、美味しそうな匂いが。」

 

 月島が晩野の弁当を覗き込むと、弁当の中身は白米、麻婆豆腐、豆腐ハンバーグにサラダ、そしてデザートに杏仁豆腐が入っていた。

 

 月島「結構たくさん入ってますね。」

 

 晩野「ハハハハ、君に言われたくはないがね。」


 晩野が言うのも当然である、月島が食べている弁当は中身こそ普通、いったって女子高校生らしい内容だが、その大きさはすこし大きいってレベルでは無い。それはそう、重箱であった。「あの子すごいな。」「あれ1人で食べてるよ。しかも余裕そうに。」「フードファイター?」と言われるほどであった。

 そんなことを気にも止めず、月島は話す。

 

 月島「これは、中華ですか?」


 晩野「そうだとも……食うか?」


 月島「いいんですか?」


 クラス一同「「食うのか…!?」」


 晩野「今日はいつもより多めに作ってしまったのでな。」

 

 晩野は使っていたスプーンで麻婆豆腐を掬い、月島の口元へと向ける。

 月島はそれにパクりと齧り付く。


 「やりやがったッ!」


 「さすが晩野!俺たちのできないことを平然とやってのけるッ!」


 「そこに痺れる。」


 「憧れるゥ!」とクラスがざわめく。


 クラス一優しいけどゲスいと言われるイケメンと美少女転校生が一緒に昼食をとっているのだそんな反応になる。

 

 月島「辛っ、でもすごく美味しいです!豆腐とひき肉とネギですかね、それらを唐辛子と豆板醤とかで炒めて、煮詰めたような味がします。」

 

 晩野「独特な食レポだな、そうだとも麻婆豆腐はそのような食べ物だからね、お気に召してよかったよ……神話生物さん。」


 月島が険しい表示を見せる。先ほどまだとは違うその顔に晩野は動じなかった。


 月島「どうしてそれを。」


 晩野「ここでは場が悪い、屋上で話そう。」


 「なんだなんだ?2人とも席を立ってどっか行ったぞ?」


 「あとついていってみるか?」

 

 「やめとけやめとけ」


 「あれじゃないか?学校見学。」


 「そういえばあいつに任されてたもんな。」


 

 2人は屋上に移動し、話を再開する。


 晩野「単刀直入に言おう。なぜ君のような神話生物が私の学校に転校生として来た?」


 月島「その理由を話す前に晩野さん、あなたは、なぜ私の正体が神話生物だと分かったのですか?」

 

 晩野「その答えは、このノートだ。」

 

 晩野は懐からAF:キャラシメーカーを取り出し、月島へと見せる。

 

 月島「そのノートは、悟さんが持っていたものと一緒の!?」

 

 晩野「ん?その悟という人は存じえないが、このノートを持つものは、相手の本来の姿を見ることができるようでな。」


 月島「それで私の正体を。」


 晩野「その通りだ、私の情報は開示した。次に君の話を聞かせてもらおう。」


 月島「わかりました。私の名前は月島獣子もとい、神話生物:ムーンビーストです。私がここに来た理由は端的に言うと、人間社会を学ぶため。だから、実際に高校に通い、人間社会学ぼうとしている。」


 晩野「それだけか?」


 月島「そうですけど。」


 晩野「では、もう一つ聞こう。その悟というのは?」


 月島「私は家に泊めてくれている。あなたと同じプレイヤーです。」


 晩野「邪神が言っていたもう1人とはその悟のことか。」


 月島「もしかして、そのノートを渡したのはニャルラトホテプと名乗った人でしたか?」


 晩野「そのような名前だったな。話を戻すが、なぜ人間社会を学ぶ?」


 月島「私はムーンビーストの中でも比較的知能が高い個体でした。そこにニャルラトホテプは目を付け、私に、人に成れる術を教えてくれたんです。そして私はニャルラトホテプの命令を聞く生活の中で、私は大切な人と出会ったんです。私に私のままでいいと言ってくれたあの人。そんな人が住む世界を見てみたい、知りたいと思ったからなんです。」


 晩野「純粋な恋からの探究心か、悪いことを考えてるわけでは無いのだろう。これが1つのシナリオのフラグになっているのかもしれないが、まず謝罪しよう。人に害を出そうとしているのかと警戒していた、すまなかった。」

 

 月島「じゃぁ何かおごってください。」


 晩野「辛いものは好きかね?」

 

 月島「さっき食べた麻婆豆腐みたいなやつですよね?好きですけど。」

 

 晩野「なら、話は早い。今週の土曜日オープンの泰山2号店があるのだが行くか?」

 

 月島「是非行かせてください。」


 晩野「決まりだな。」

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