第三話 やってきました!絶望の孤島!!!
燦々と煌めく太陽、透き通るような海とサラサラの砂浜のビーチと小さめの森、そして眼前にだだっ広く広がる島の一つや二つも見る事のない地平線。
そう俺今、絶賛非日常中である。
時を戻して沖縄旅行出発前の朝、俺は明らかに非日常に巻き込まれたことを確信する、あのAF:キャラシメーカーはキャラを作成するや否や非日常へと引き摺り込まれるという、なんとも迷惑極まれりな性能をしている。
そして、COCシナリオの定番も定番初心者でも簡単に回れる有名なシナリオ「絶望の孤島」にどうやら巻き込まれそうな連絡が入る。
「マジかあー」と思いながらも俺は非日常に向けて準備を進めていた、絶望の孤島は持ち物が全て濡れている状態から始まる。
その理由は「突然の嵐に見まわれ船は転覆してしまう。」からである。そのため大きめの荷物や手で持つようなものは持ち込めず、ライターなども濡れて使い物にならなくなってしまう。
だが、俺にはとっておきの秘策がある、それは俺の非日常は現実で起こるつまり対策が可能なのだ!
俺は船に持ち込めるものは全てジップロックに入れ込み、リュックも40Lほどのものに収納し、しっかりと全てのロックを済ませて俺は船へと乗り込んだ。
そして案の定、船は突然の嵐に見舞われ転覆し気付いた時にはこのビーチにいた。
持ち物類も全てジップロックで防水していたため、問題なく使える状態だった。さすが俺!
そして他の漂流者なのだが灰色の髪に褐色肌の黒スーツ姿の20代前後くらいの女性が1人いるのみだった。
その姿に決して見覚えがないと信じたいが、明らかにニャルラトホテプにそっくりというかまんまなのである。
そして、友人の姿は未だ見当たらない、それも仕方がないと言えば仕方がないことであった。船が偶然嵐に見舞われ転覆し、挙げ句の果てに無人島に友人と流れ着くなんておかしな話である。ここは生存を祈りながら探索を進める他ないだろう。
ビーチから周りを見渡すと、ビーチからは森が見えており、ビーチから森へ変わる境目の草地に、粗末な掘っ立て小屋のようなものが建っているのが見えた。
本当にあの「絶望の孤島」に来てしまったっぽいな。やろうと思えば今ここで呪文を唱えようと思えばできるのだが、生憎そこまで俺はシナリオの呪文を一言一句覚えてるわけではないし、何よりせっかくCOCの世界に来たのだ肩慣らし程度に神話生物ぶっ飛ばしてニャルに絡まれたいうちにとっとと帰ろう。