第十二話 ネコと会う者。
「よりによってこのタイミングでかよ!せっかく絶望の孤島からの帰ってきて、寝て起きたら毒入りスープ!?ふざけんじゃねぇ!」
と怒り爆発しながらも冷静に周りを見渡す、壁も床もコンクリートでできた、四方に扉のある無機質な正方形の部屋。
そして俺は丸腰で、着ている衣類は全て白いローブのようなぼろきれで、他には何もなかった。財布やケータイなどは勿論、普段身につけているアクセサリーなども無い。
それに今回俺以外にも探索者がいるみたいだ、顔突っ伏せて寝ているのかよくわからないが、白髪の男性であることはわかる。ボサボサの髪で、後ろで長い髪を束ねていて、アホ毛が出ている。
とりあえず起こすか。
「あのーすいません、起きてくださーい。」
と呼びかけると目を擦りながら男が起き上がる、美形な顔立ちで、糸目であるが故か何か胡散臭そうな印象を受ける。
「う、うーんここは?」
「目が覚めたか、こんちは。俺は中川悟、大学生だ。あんたは?」
「僕かい?僕の名前は萬躁矢、萬代社という企業で社長をやっているよ。」
「萬代社……聞いたことあるな、確か人材派遣会社だったっけ?結構最近の企業だったと思んですけど。」
「そうそう、よく知ってるね!僕としても鼻が高いよ。」
「でも何で俺たちこんな場所にいるんだ。」
「それは、僕にもサッパリって感じだよ。でもこういう時はこんな所でじっと待ってちゃ何も解決しないからね。とりあえずは出口がないか探そう。」
この人、俺以上にシナリオやり慣れているのかな?何つーかこういうの何回か経験してるみたいな、ビビってるみたいな感じじゃないよな……。
「とりあえずは机調べません?」
「そうしよう。」
そして俺はあの時と同じように言った。
「「机に対して目星」」
ん?
「「えっ……!?」」
萬躁矢も同じ行動を取った、そして互いにその行動を取ったことにひどく動揺する。
「萬さん、もしかして……。」
「君、もしかして……。」
「「クトゥルフ神話知ってる!?」」
驚いた、この人クトゥルフ神話trpg知ってるのか。どうりで慣れている訳だ。
「君、名前を聞いた時から思ってたんだけど、もしかしてネコ君、いやニャルラトホテプと会ったことある?」
「えっ、何でそれを?」
「実は僕もニャルラトホテプと会ったことがあるんだよ、そしてこの前、君の名前を知ってね会ってみたいと思っていたんだ。」
そう言うと萬は自分をじっと見つめると。
「僕は君の世界の住人じゃない。ニャルが言っていたと思うけどCOC世界の人間なんだ。」
「あーそれで、目星って言ったんですね。」
「そういう君は、ニャルのお遊びに付き合わされている身みたいだけど、合ってるかな?」
「そうなんですよ!あいつ本当に鬱陶しくて、ここに来る少し前に変な島に飛ばされてナイトゴーントと戦ったりしてたんですよ!」
「よく生きて帰って来れたね。」
「まぁ俺COCやってるのでその時の経験が無かったらとっくに死んでたかも知らないです。」