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第十話 猫の意を狩る者。

 悟が絶望の孤島を脱出した後にニャルは銀の鍵の効果でとあるビルの目の前に飛ばされた。


 「よりによって、ここですか。」


 ニャルは「はぁー」ため息をつきながらビルの中へと入って行く。行く先々で声をかけらるが、ニャルはそれを意図も容易く交わしながら社長室へと向かっていった。


 会社名:萬代社(よろずたいしゃ)、人材派遣会社であり、社長萬躁矢(よろずそうや)が手がける楽器により、世界的に認知されている企業である。

 社長の萬躁矢はジュリアード音楽院:首席卒業、過去行われたコンクールにおいて数々の実績を残し、その腕前で世界を渡り歩き、コンサートを開催し、それで得た資金を元に発展途上国の人々に現地で支援活動と音楽活動を行う、生粋の善人として活動している。

 その彼が建てた企業は文字通り世界各国から人を集めていた。


 階段を駆け上がり、社長室前へとやってきたニャル。扉を叩き合図を送る。


 「どうぞー。」と声が聞こえてくる。


 ニャルは扉を開けると社長が机に向かって、何かを書いていた。ニャルだと気づくと社長は声をかける。


 胡散臭そうなイケメン顔に黒いローブ、と白色のちょっとボサボサした髪と束ねてある長ーい髪を持ち、半透明のサングラスをかけ、奥には細目が見える。


 「遅かったじゃないかネコ君。こんな時間まで何をしていたんだい?仕事溜まってるけど。」


 「それはあとで速やかに終わらせます。」


 「どうしたんだいネコ君、この時間まで遊んでたのかな?心拍数が上がってるように見えるけど。」


 「いえ、何ともありません。」


 「そう、なら良いんだよ君にはまだまだ働いてもらうからね。」


 「僕もまだ死ぬつもりはないよ、あんたを止める。」


 「それを言うならネコ君、僕もだよ。僕の計画は止めさせない、計画の実現にはそれしかないからね。」


 「そうですか、わかりました。それはそれとして、溜めた仕事やるのでジュース奢ってください。」


 「ジュース?それくらいなら別に構わないけど、どれ買ってくれば良い?炭酸系?それともコーヒーとか?」


 「決まってるじゃないですか……新鮮なあなたの血のジュースですよ、萬躁矢!」


 ニャルはそう言い放つと同時に呪文:ヨグ=ソトースの拳を萬躁矢に向けて発射する。


 [ヨグ=ソトースの拳

 MP80→60

 ダメージ20d6→79]


 一瞬の内に練り上げられた魔力の拳が萬躁矢の頬を貫きかけるが、萬躁矢には一切のかすり傷がなかった。彼もニャルが呪文を発動したタイミングで呪文:肉体の保護を使用していた。


 [肉体の保護

 MP100→80

 装甲20d6→88

 装甲88→9]


 人外同士とも言えるような一触が場の空気を凍らせ、高火力の呪文と高防御の呪文のぶつかり合いが社長室に置かれている物々を吹き飛ばし渦を巻く。


 「危ないじゃないかネコ君、恩を仇で返すだなんて。」


 「恩?僕は君にそんなの感じたことないよ。」


 「かけているじゃないか、君が今そうして僕と喧嘩ができるのは僕が君のことを殺したりしてないからだよ。それに僕は君を雇ってる立場だ、君に多少の制限をかける代わりに労働時間外での自由活動を認めるそう言う契約じゃないか。」


 「だったら彼の方を返せ。」


 「バカを言わないでくれ、出来るわけないだろう。そうしたらこれまでの成果が無駄になる。計画の実現が出来なくなるだろ、ニャルラトホテプ。」


 萬躁矢がそう言うとニャルは戦闘体制を解き、自分が処理する仕事を持ち、その場を後にする。


 先ほどの一触により起きた風圧の影響で散乱する社長室に萬躁矢は残る。


 「やっぱ嫌いだな神話生物は。」と呟いて。


 「後片付け、どうしよ。僕1人じゃ日が暮れそうだ、いやもう暮れているか。ネコくーん!さっきの仕打ちしないでおくから片付け手伝ってくれなーい!」

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