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【完結】アサケ学園物語~猫型獣人の世界へようこそ~  作者: BIRD
第1章

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第82話:トゥッティとU川先生

「あらぁ~やったじゃなぁい」


部屋の外から声がして、振り返ったらU川先生が来ていた。

隣にカジュちゃんがいるから、彼女が呼びに行ったっぽい。


「これけっこう首締まってますけど、大丈夫ですか?」

「大丈夫大丈夫、本来なら脱皮して回復するのを、封じてるだけだから」


泡吹いて白目むいてピクピク痙攣してるトゥッティ。

ちょっと心配になって聞いてみたら、あんまり大丈夫じゃない気がする答えが返ってきたよ。



「運搬手伝いにきたぞ。U川のところへ運べばいいか?」


M本先生も来た。

そちらは、隣にいるY根さんが呼んできたんだろう。


「そうね、お願いするわ~」


U川先生が言うと、M本先生は異空間倉庫(ストレージ)からストレッチャーを出して、トゥッティを乗せた。

怪しい生物グルグル巻きにされたまま、白髪の少年が運ばれてゆく。


カジュちゃんとY根さんまで一緒に行っちゃったから、モチと俺はポツンと残されてしまった。


「…なぁ」


しばし鼻の穴広げて真顔になってたモチが、やがて話しかけてくる。


「俺たち、割と真面目に戦ったよな?」

「そうだね」

「なんでU川先生が来ただけで、一気にコメディになるんだ?」

「なんでだろうね?」


そんな会話をするモチと俺。


その後、時折ウダの館から野太い悲鳴が聞こえるようになったけど、気にしない事にした。

学校には、7つくらい不思議があるもんだよ。



翌朝。

モチと俺は学園長室へ呼び出された。

一緒に呼ばれたのは、カジュちゃんとリユとE原。

Y根さんがいないのは、今回は修行の打ち合わせがないからかな。


「またパパのところへ、行ってくれるかニャ?」


まあ予想はしてたけど、そう言われた。


転送魔法で飛ばされた先、アサケ王国の王宮では、学園長そっくりのパパこと国王がまっていた。


「よく来たニャ。今日はみんなに御褒美をあげる日ニャン」


でっぷり太った三毛猫国王は言った。


「モチ、イオ、国家任務達成ご苦労さまニャン。捕らえたトゥッティは、U川に任せておけば大丈夫ニャ」

「トゥッティは確か魔王の側近ですよね。魔王は襲って来ないんですか?」


次は魔王を倒せとか言われないかな?と気になってたら、同じ事を思ったらしいモチが聞いた。


「この時代は、魔王は無害だから倒さなくていいニャン」


意外な答えが返ってきた。


「無害?」

「そうニャ。昔、勇者が魔王の悪の心を破壊したから、今では魔王は愛と平和を大切に暮らしてるニャン」


愛と平和を守る魔王って一体…。


「トゥッティの捕獲も、実は魔王に頼まれたのニャン」

「「「「えっ?!」」」」

「あ、そういえば神殿でそんな話を聞きました」


国王の意外な情報に驚く俺たちの中で、神殿務めのE原だけ落ち着いていた。


「魔王は今では魔導具を作って世の中に貢献したり、たまに異世界へ遊びに行ったりして、気ままに生活してるニャン」


国王が話す魔王についてが、なんか誰かと被る気がするよ?

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