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【完結】アサケ学園物語~猫型獣人の世界へようこそ~  作者: BIRD
第1章

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第69話:異変

「よし、これで全校生徒の給食用は確保出来たな」


かなり奥まで狩り進んだところで、M本先生が言う。


「終点ボスを狩らなくても肉は足りているが、ジャミからボスを見て来てほしいと頼まれたから一応行くぞ」

「はい」


先生の指示で、引き続き先頭を進む俺。


占いオババのジャミは、確か国家任務の捕獲対象を水晶玉で探っていた筈。

ここのボスと何か関係あるのかもね。

ちなみに「終点ボス」っていうのは、枝分かれしたダンジョンの通路の行き止まりに沸く魔物だ。

俺が倒した大鶏は終点ボスよりも弱いが、鶏系では強い部類に入るので「中ボス」と呼ばれる。



スタスタスタ…


…ドスドスドスッ!


「ここら辺の罠は殺傷力高そうだね」

「涼しい顔で避けながら言われてもな」


天井からドッサリ降ってきて、床一面に刺さってる氷の槍を眺めて言ったら、背後にいるモチからそんなツッコミが入った。


「とりあえずこれ邪魔だから砕くよ」


俺を囲むように地面に突き刺さってる槍を見回して、後方メンバーに告げる。


「はーい。防壁(バリア)!」


お馴染みE原がみんなに破片が当たらないように防壁(バリア)で包んでくれた。


「じゃあいくよ~、白き翼(エルブランシュ)!」


本日2度目の攻撃スキル使用。

背中から白い翼が開いて、バッ!と周囲に羽根が散る。


大量の硝子が砕けるような音と共に、氷の槍が粉々に砕け散った。


「うん、片付いた。範囲攻撃スキルっていいな」

「それメイン攻撃にしたら殺戮の天使とか二つ名が付くんじゃね?」


見晴らしがよくなってスッキリしてたら、モチにそんな事を言われた。


「天使っていうかこれ鶏の羽根だけどね」

「本体無かったら区別つかんだろ」


そんな会話をしつつ進んで行ったら、通路の行き止まりに到着。

難なく着いたボス部屋は、殺風景な広い空間で、何もいなかった。


「何もいないね」

「誰かが倒して24時間経ってないとか?」

「おかしいな。今日ここへ来たのはうちのクラスだけの筈だけど」


みんなで辺りを探しても、何も見つからない。


「前に来たのは動植物学部のメンバーか。イオが倒した大鶏の手前で帰ってるな」


先生がポケットからスマホに似た魔導具を出して、氷雪の洞窟の入場履歴を見てくれた。

直近の入場は先週で、中ボス前に引き返しているので、ここには狩りに来ていない。


「とりあえず帰るか。もともと狩るつもりは無かったからな」


先生の指示で、クラス一同ゾロゾロと帰る。


四季の森とそこにあるダンジョンは、学園の敷地内にあり、学園関係者以外は立入り禁止らしい。

学園関係者は森やダンジョンに入る前に告知し合うので、ここに誰がいつ来たかはすぐ分るそうだよ。



「最後にボスを倒したのは卒業生だな。冒険者になってるそうだからギルドに行って聞いてみるか」


森を出て校庭に来ると、先生がそう言って召喚獣を出す。


「「って、それ乗ってくんスか?!」」


モチと俺がハモる。


M本先生が大柄な体格に似合わず、ヒラリと背中に飛び乗ったのは西洋竜(ドラゴン)だ。


「今日の授業はここまで、解体して給食室に肉を届けたら帰っていいぞ。じゃ、ちょっとギルドに行ってくる」


そう言うと、M本先生はドラゴンに乗って飛び去ってしまった。


そんなの乗ってったら、街の門番さんたち驚かない?

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