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【完結】アサケ学園物語~猫型獣人の世界へようこそ~  作者: BIRD
第1章

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第67話:中ボスとのタイマン勝負

「コォ~~~」


体重20~30kgの鶏が、翼を半開きにして頭を低くして構えてる。

母校の飼育小屋の鶏が飛び蹴り前によくやってたポーズだ。

飼育係の間では「荒ぶる鶏の構え」とか言われてたな。


「ケェッ!」


スカッ☆


ドガンッ!


予想通り、飛び蹴りがきたけど、見事にはずれて壁に激突する大鶏。


「すげ~な、足めり込んでるよ」

「コッコッコ」


俺が褒めたら、大鶏は得意気に笑った気がする。


「飼育小屋の鶏より強いかもね」

「いや間違いなく強いだろ」


壁に穴を開けた後スタッと身軽に着地する大鶏を見て言ったら、後方で見学してるモチからツッコミが入った。


「ケェェェ~~~!!!」


大鶏の首周りの羽毛が膨らむ。


この後に何が起きるかもう明らかだから、俺以外のメンバーはみんな防壁(バリア)の中に入ったままだ。


ドドドッ!!!


範囲攻撃、羽根が突き立ってるのは俺の近くの壁や床や天井だけ。

刺さってる羽根が1回目の攻撃より密集してるのは、攻撃範囲を狭くしたからかな?


もちろん、俺には1つも当たらない。


「コ~~~」


俺に集中させた羽根攻撃も回避されて動揺したのか、大鶏が目を見開きながら首を左右に振ってる。


「じゃあ今度はこっちの番かな。…水神の必中(ティアマト)!」


起動言語(キーワード)に応じて現れた小さめの水の龍が、俺の周囲をぐるんと回って体内に入ってくる。


「コケッ?」


大鶏が首を傾げた。


俺は足元の床に刺さってる羽根を左手で抜き取り、大鶏を狙って投げてみた。


ドスッ!


金属みたいに硬くなってる羽根が、大鶏の胸に突き刺さった。


「グェッ!」


…しかもダメージ通った?


「コ~~~」


大鶏は困惑した様子で、刺さった羽根を咥えて引っこ抜き、脇へポイッと捨てた。

カランと音を立てて、刃物みたいになってる羽根が床に転がる。


「やっぱ素の攻撃力だと駄目か。…火神の激怒(イグニス)!」


起動言語(キーワード)に応じて炎の鳥が現れて、俺の周囲をぐるんと回って体内に入ってくる。


右手に持ったまま使ってなかった剣が、高温で熱した鉄みたいに赤く発光し始めた。


「コケェッ?!」


大鶏が驚いたような甲高い声を上げる。


「もう1つ使っておこう。…風神の息吹(ルドラ)!」


ヒュンッと一瞬閃く何かが俺の周囲を一周して、体内に入ってくる。


まるで時間が停止したように、自分以外の全てが動きを止め、音が消えた。


大鶏も驚愕の表情のまま停止している。


俺は勢いよく踏み込み、赤く発光している剣で大鶏を斬り付けた。

肩から斜めに入れた斬撃の痕が、ゆっくりジワジワと赤く発光し始める。


ドサッ!


風神の息吹(ルドラ)の効果が切れて、周囲の音や動きが戻った直後、大鶏が倒れた。

その身体には、斜めに赤く光る裂傷がある。


「お疲れ様です。もう大丈夫そうですね」

風神の息吹(ルドラ)を使うと、何が起こったか全く見えないな」


E原が防壁(バリア)を解除し、先生がこちらへ近付いて来る。


「ケ~~~」


すぐ近くで微かな、弱々しい声がした。


「え? 生きてる?!」


声がした方を見たら、倒れたままの大鶏が目を開けてる。


「お前気に入られたな。何か渡そうとしてるぞ」


先生が言う通り、大鶏は片方の翼を差し伸べてる。

その翼に両手を差し伸べたら、ポトンと1つ丸い物が手の上に落ちた。


「あ、ありがとう」

「コォ~…」


お礼を言ったら、大鶏は満足そうに目を細めて、パタッと動かなくなる…


…そして、解体してないのにその身体が肉や羽根などの素材に変わった。


「え?!」

「ボスクラスの魔物に、たまにある現象だな」


びっくりしてたら、先生が教えてくれた。


「ボスモンスターは戦った相手の強さを認めて気に入ると、こうやって全ドロップアイテムをくれるらしい。お前の異空間倉庫(ストレージ)に入れとけ」


言われて、俺は大鶏が遺した素材を収納した。


ありがとな。全部大事に使うよ。

狩ったからには責任を持って食べる、素材を使う。

それが殺めた魔物への礼儀だと、この世界に来て覚えたし、理解してる。


「しんみりしてるところ何だが、魔物は倒しても24時間経てば再び出現(リポップ)するぞ」

「「…へ?」」


先生に言われて、俺も、釣られてしんみりしてたモチもポカンとしてしまった。

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