第54話:学園長の呼び出し
翌朝、チッチ、モチ、俺は、学園長の呼び出しを受けた。
「チッチ、王様に会う事になったのかな?」
「このメンバーで呼ばれるって、それだよね?」
「国王陛下、初めてお会いするけど、どんな方なんだろう?」
そんな事を話しながら、学園長室へ続く廊下を歩いてゆく。
ユニコーン母子は、チッチから離れようとしないので、普段から捕獲玉に入れて連れ歩いている。
回避が高くて通常は捕獲玉に入らない夢幻種だけど、同意があるので難なく入った。
「あれ?」
「え? そっちも呼び出し?」
何故かE原、カジュちゃん、リユ、更にはY根さんまでも、学園長室に呼び出されてる。
「Y根さん、しばらく会わないうちに変わったね」
「あんた達もね」
「氷属性風味になったね」
「あんた達をまとめて凍らせるくらいは、出来るわよ」
異世界に来てるのは聞いてたけど、会うのは転移後初めてのY根さんは、銀髪にアイスブルーの瞳の美少女に変わっていた。
つまり、彼女も転生者だね。
白い布地に銀色と水色の糸で刺繍された振り袖を着たY根さんは、ちょっと不機嫌そうな顔。
後で知ったんだけど、茶道部の茶会準備中だったらしい。
「朝っぱらから呼び出してすまないニャ、パパが君たちと話したい事があるそうだから、ちょっと行ってきてほしいのニャン」
相変わらずでっぷり太ってる三毛猫学園長は、ズボンのボタンが心配なくらい出てるお腹を揺らしながら、学園長室の奥の扉へと歩いてゆく。
「あたし忙しいんだけど。つまんない話だったらグーで殴るわよ」
Y根さん、絶対零度の睨みが、日本にいた時より強化されてませんか?
「な、殴るのは勘弁してほしいニャ」
いつも悠々としてる学園長さえも、ビビる強さだ。
三毛猫学園長、シッポがブワッと膨らんでる。
「これでもY根には配慮してるニャ。転送陣の使用許可をもらったし、本来はM本たちと同じ時間に行ってもらう筈だったニャン」
「そう。なら、早く転送して」
会話の様子から、どうやら先生たちも呼び出されてるらしい。
転送陣って、ワープか何かかな?
「わ、分かったニャ」
Y根さんの圧に負け気味の学園長が扉を開けると、そこは床に魔法陣が描かれた小部屋があった。
それを見た俺たちゲーム会社スタッフは、ワープを連想した。
「この魔法陣の上に乗れば、パパのところへ転送されるニャン」
学園長が説明してる最中に、急ぎたいY根さんがスタスタ歩いて魔法陣の上に立つ。
続いて残りのメンバーが、ゾロゾロと魔法陣に乗った。
この世界では、集団での移動手段は主にバスだ。
バスといっても、タイヤじゃなくて足付いてるけどね。
ちなみに、魔法陣は魔石の消費が大きいから、滅多に使わないらしいよ。
学園長のお父さん、経費がかかる魔法陣を使って呼び出してまで、話したい事って何だろう?




