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【完結】アサケ学園物語~猫型獣人の世界へようこそ~  作者: BIRD
第1章

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第45話:異世界ガラポン抽選器

ガラポン抽選器。


我が社のイベントチームの人間にとっては、見慣れたモノ。

業務の中に抽選会場の受付もあって、バイトの子たちが交代で受付をしていた。

モチや俺は、どちらかというとステージ関連の業務が多かったから、受付をする事は少なかったけど。


「なんで異世界(こっち)に…?」


モチが鼻の穴広げながら近付いてゆく。


「いらっしゃい…?」


その変顔に、抽選器がある屋台の店員らしき猫人が軽く引いてる。


「すいません、初めてこの街に来たんですが、その道具は何に使う物ですか?」


フォローのため、俺はその猫人に話しかけてみた。


「この2人は最近こちらに転移して来た異世界人なんだけど、元の世界の道具と似た物を見て、興味を持ったみたいだよ」


更にイツキがフォローしてくれた。


「そうでしたか。これはガラガラと呼ばれる、幸運度を調べる魔導具なんですよ。出た玉によって魔法協会から様々なプレゼントが貰えます」


屋台の猫人、声からすると女性かな? が教えてくれた。

魔法協会のプレゼントとか。なんか面白そう。


「やってみたらいいよ。特にイオは運に恵まれてそうだし」


と言うチッチと、その肩にいるピピルが意味深にウインクする。


………なるほど。


俺に羽毛をくれたのは、これを予測してたのか。


「運試しをしてみたいんですが、おいくらですか?」

「銅貨1枚です」


抽選は1回100円くらいだった。

どうせなら4人で楽しもう。


「じゃあ銅貨4枚渡すので、1人1回ずつお願いします」


店員さんに銅貨を手渡して、4人で順番にガラガラを回す事にした。


「じゃあ最初にやって見せるね」


最初はイツキ。

ガラガラの取っ手をつかんで、ゆっくり回す。


日本の抽選会では学生がノリと勢いでよく高速回転させてるけど。

あれやると、玉が出てこないんだよ、スピードが落ちるまで。

逆にすんごいゆっくり、コマ送りかスローモーションみたいに回す人もいるけど、それはそれで玉が出てこない。

抽選器はラジオ体操で最後の、大きく深呼吸~の動作くらいのスピードで回すのがちょうどいい。


日本の物と構造が同じなら、今やってるイツキの回し方が正解だ。


コロンと出てきたのは、丸い玉。

日本との違いは、それがプラスチックじゃなくて石で、淡く光ってる事かな。

出てきた玉の色は、イツキの属性である火を表わす赤色だ。


「はい、こちらをどうぞ」


と、店員さんがイツキに手渡すのは、1枚のカード。

炎の絵を中心に魔法陣が描かれたカード、何に使うものだろう?


「お、まだ持ってなかった魔法だ」


イツキが嬉しそうに言う。

カードは魔法を習得出来るアイテムなのか。


「次はモチがやってみなよ。チッチはいい物引き当てるの分かってるから、先に引いといた方が残念感が少ないよ」


ってイツキが言うので、二番手はモチになった。


抽選器の扱いは慣れたもの、モチもちょうどいいくらいのスピードでガラガラを回す。

出てきたのは、イツキと同じ赤い玉だけど、放つ光はもっと強い。


「さすが転移者さん、運が高いですね。はい、こちらは火属性の上位魔法ですよ」


店員さんが手渡すカードのデザインも、イツキのものよりも派手だ。


「………モチは、メラゾーマを、おぼえた」


鼻の穴広げて真顔で呟くモチ。

それ、店員さんが引くから、やめとけ。


ってモチ、その魔法名にするのか。

この世界では、魔法は使い手が好みで名前を付けるので、魔法そのものの呼び名としては火属性の上位とか下位とかだけだ。

そして何故他社のゲームの魔法なんだ?


さて、次は福音鳥(ハピネス)の羽毛を貰った俺の番かな?

幸せの青い鳥(本体)持ってるチッチの方が、いい物出しそうだもんね。

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