第40話:不死鳥と福音鳥
翌朝、猫型獣人の生徒たちに案内されながら、M本先生&クラス生徒50名は初めて街へ出た。
そうそう、この世界の住人、二足歩行の猫みたいな獣人は「猫人」というらしい。
異世界転移先が全寮制の学園で、周囲を深い森に囲まれた環境だったから、今まで街へ行った事が無い俺たち。
この深い森をどうやって越えるんだろう?と思ったら、動植物学部の生徒たちが一斉に召喚獣を出したのにはビックリだ。
彼等は授業で幻獣や神獣との契約をするそうで、全員が様々な召喚獣を持ってる。
もふもふ好きとしては羨ましい限りだ。
「では2人1組で乗って行くよ」
ロッサ先生の指示で、召喚獣を持ってる動植物学部の生徒と、魔法学部の生徒が2人1組になる。
「………」
モチが鼻の穴広げて見上げているのは、紅の色彩が美しい不死鳥。
炎に飛び込み、身体を焼き尽くして復活するその鳥は、自爆少年に親近感を持ったのかもしれない。
しばし見つめ合った後、親し気に頭をすり寄せた。
最初は圧倒されてたっぽいモチがニカッと笑い、片腕を親し気に不死鳥の首に回し、空いてる片手でガッツポーズをとった。
「そうだ、俺は何度でも蘇るのさ!」
…なんか言い出したぞ?
「蘇らせてるの、僕ですけどね」
E原がツッコんだぞ?
そんな2人を、不死鳥使いの猫人が苦笑して眺めてた。
後で聞いたら、モチはこの時、不死鳥に話しかけられていたらしい。
あなたは珍しいね、こんなに短期間で死と復活を繰り返してるなんて。とか言われたそうだよ。
モチにツッコミを入れるのが日課になりつつあるE原が組んだのは、白いモフモフの犬フェンリル。
幻獣も神獣も翼の有無に関わらず空を飛べる。
ちなみにこれも後から聞いたけど、E原とフェンリルの間には会話は成立しなかったらしい。
「この子が君と組みたいって言うから、一緒に行こうか」
って俺に声をかけてくれたのは、鮮やかな青色の大きい鳥を連れた猫人の学生。
「よろしく~! この子は何ていう召喚獣?」
って聞いたら…
『福音鳥です』
…本鳥が答えた!
「幸せを運ぶ神の鳥と言われる神獣だよ」
猫人がニコニコしながら説明してくれた。
幸せの青い鳥(特大)キタ!
『その髪の色、あなたは前世で私の仲間と契約していたのではないですか?』
大きな青い鳥は、その羽と同じ色の髪をした俺に興味を持ったらしい。
「うーん、前世の記憶は無いんだけど、完全回避っていうユニークスキルを使えたみたいだよ」
って答えたら、心当たりがあったのか青い鳥は円らな目を更に丸くして驚いた様子。
更に話そうとしたところで、出発の呼びかけがあった。
猫人が福音鳥に乗り、俺はその後ろに乗っけてもらって猫人の腰に腕を回した。
「落ちないようにしっかりつかまっててね」
「うん」
『では飛ぶよ~!』
大きな青い鳥が、猫人と俺を乗せて空へ舞い上がった。




