第35話:イノシシ肉を食べよう
「血抜きとか解体とか、やり方分からないね」
「とりあえず、異空間倉庫に収納しとこう」
「動植物学部の先生なら解体出来るかも」
そんな会話をしながら、俺たちは学園に帰った。
まずはうちのクラス担任のM本先生に報告。
やはり動植物学部の先生と生徒に解体してもらうように指示された。
「こんにちは~今入ってもいいですか?」
「大丈夫だよ、どうぞ~」
動植物学部は教室に動物がいたりするので、確認してから入る。
「イノシシが穫れたので解体をお願い出来ますか? お肉おすそ分けします」
「いいよ。何頭かな?」
「4頭です」
動植物学部の先生は、体格の良い茶トラの猫型獣人、男性かな?
地球だと茶トラはオスが多い。
学園長が三毛猫だけどオスだから、地球とは違うかもしれないけどね。
「じゃあ、解体するから君たちも見て、やり方を覚えるといいよ」
「「「はい」」」
モチと俺のハモりに、珍しくE原も加わった。
「狩りや釣りをするなら、捌く事も出来るようにならないとね」
茶トラの先生は、ロッサ・シマさん。
低くて深みのあるイケボだから、多分男性だと思う。
「命を殺めるなら、調理して食べるところまで責任を持つんだよ」
ロッサ先生の言葉が、深い。
そしてその解体技術は、一流の板前みたいに動作1つ1つが滑らかで、無駄が無くて速い。
手伝いに入った学生たちも手際がいい。
血抜きから解体までの流れをしっかり見学して、俺たちはそのやり方を記憶した。
次からは、ちゃんと自分で出来るように。
「終わったよ」
「「「ありがとうございました!」」」
また3人でハモる。
解体が終わったイノシシ肉をロッサ先生たちにお裾分けして、あとは異空間倉庫に収納。
俺たちは魔法学部の校舎前へ向かった。
「お、戻って来たな」
「焼き野菜も貰ってきたよ~」
校舎前の広場では、魔法学部のメンバーがバーベQの準備をして待っていた。
料理学部管理の畑から野菜を貰って来た人もいる。
大きいのも含めてイノシシ4頭分の肉は、かなりの量になった。
「タレは色々作ってきたよ」
「ニンニクやショウガもあるからね」
リユたち料理学部の面々も参加。
校庭で大人数の焼肉パーティが始まった。
名人技で血抜き・解体された肉は、臭みが無く柔らかくて美味い。
ショウガやニンニクを揉み込んで、炭火で炙り焼きして、リユたちが作ってきたタレに浸して食う。
同時に骨を煮込んで出汁をとったスープも作られた。
そこにも肉と野菜が入れてあり、栄養たっぷりで美味しい。
匂いに釣られて来た他の学部の生徒たちにも、早い者勝ちだよ~と言いつつ気前よく配る。
(タマにも持って行ってあげようかな)
司書のレオさんも来たのを見て、俺は思いついて焼肉とスープを異空間倉庫に収納した。
ここに入れておけば冷めないし、零れたりもしない。
放課後に図書室へ行く時、タマにおすそ分けしよう。




