第33話;自爆と防壁
「♪今日~も元気に、はいっ! 自爆!」
ちゅど~ん!
今朝も日課のモチ自爆。
最近ではE原の聖魔法レパートリーが増えて、防壁が使える。
他の生徒たちはE原の周囲に寄り集まって、防壁で爆発の衝撃を防いでもらっていた。
「E原、ちょっと試してみてもらいたいんだが…」
一緒に防壁に入ってるM本先生が、E原に何か耳打ちしてる。
何を試すのかな?
翌日、モチが教室に入って来て、日課をこなそうとした時…
「♪今日~も元気に…」
「防壁!」
「…はいっ! 自爆!」
ちゅど~んっ!
…爆発したけど、教室は壊れなかった。
「よし、成功だな!」
満足そうな先生。
「E原、これからはそれでいこう」
「これの方が小さい範囲で済むから、魔力消費少ないですね」
先生とE原がそんな会話を交わしてる。
外でやれと言っても室内自爆するモチに、対処法を考えたらしい。
モチが魔法を発動する前に防壁で覆い、その中で爆発させた。
結果、モチだけが爆発して教室も人々も影響無し。
「あれ? 教室壊れてない?」
蘇生されたモチが、室内を見回してキョトンとしてる。
「フッフッフ。いつまでも壊されてたまるか」
ドヤ顔で言うM本先生。
「え~っ、どうせ修復するからいいじゃないですか~」
不満そうなモチ。
やっぱり壊すつもりでやってるのか。
後で聞いたら、建物の破壊も経験値的なものに加えられるらしい。
魔法レパートリーを増やしたいモチは、経験値的なものを欲していた。
「そんなに経験値が欲しかったら、魔物にでも特攻しとけ」
って先生、大雑把な事言ってるし。
「夏の森にイノシシが増え過ぎてるから、ちょっと特攻してくるといいぞ」
「それ、特攻する前に特攻されません?」
突進のプロのイノシシに特攻しろと無茶振りする先生に、モチがツッコミを入れた。
「それは、イオに標的になってもらえばいいだろう?」
え? 俺も同行すると決まってるみたいな?
「E原、お前も行ってやれ」
「…そう言われる予感はしてました」
蘇生係に同行させられるE原、察していたらしい。
「イオがイノシシを集めて、モチが自爆でも攻撃魔法でも適当にやれば狩れるだろ。E原は戦闘中は自分の身だけ守って、後からモチの蘇生をすればいい」
先生、すんごく適当な気がするよ?
更に先生、異空間倉庫から剣を取り出して俺に手渡してくるし。
「ほれ、これをやるから前衛っぽい事してこい」
「前衛っぽい事って…」
「斬るとか突くとか適当にやっとけ。モチの魔法で倒せるから標的になれれば何でもいいぞ」
やっぱり、俺の扱い、雑だよね?




