第26話:洞窟を抜けたら海だった
洞窟の奥まで進むのは、それほど難しくはなかった。
元々そんなに強いモンスターはいなくて、洞窟の規模も小さいから。
珍しい事に、この洞窟は海へ通り抜けられるようになっていた。
外に出た俺の前方、一面に広がる鮮やかな青色の海。
「お~っ! 海キレ~!!」
「え?! 海?!」
先頭を歩いてた俺が声を上げたら、モチが後方からダッシュで前まで来た。
「すげーっ! 真っ青!!」
モチも俺も、窮屈感のある洞窟から解放的な海に出て、テンション上がりまくり。
「ここで昼にするぞ~、モチ、魚獲るの手伝え」
M本先生が、モチを呼ぶ。
釣りでもするのかと思ったら、思ってたより派手な漁だった。
「いっきま~す! 爆裂魔法!」
…というか、モチが使う魔法が派手なんだけど。
日々の日課で自爆を使い続けた結果、モチの魔法レベルがめちゃくちゃ上がってる。
本来は勇者がラスボス相手に最後の手段として使うのが自爆だそうで。
そんなもんを毎日使ってれば、凄い速さで魔法レベルが上がるのも当然らしい。
モチは自分が爆死しない魔法も覚えた。
威力の操作技術も上がって、爆発の範囲を調節出来るという。
で、そんな派手な魔法を使って何をするかと思えば…
「お、いいぞ。魚が浮いてきた」
…魚を気絶させて獲るという漁法!
【ダイナマイト漁】って知ってるかな?
水中で爆発物を爆発させて、その衝撃波で死んだり気絶して水面に浮き上がってきた魚を回収する漁法だよ。
M本先生がモチに教えたのは、それの応用だ。
新鮮な魚をいっぱい手に入れて、先生が持って来てたバーベQセットを使って、焼き魚パーティが始まった。
「うんまぁ!!!」
「白身魚の塩焼き最高っ!」
魚は給食でも出てるから何度か食べてるけど、獲れたて新鮮なのを塩焼きがイチバンだね!
炭火でこんがり焼けたパリパリの皮ごと豪快にかぶりついて、ふっくらした淡白な身を味わう。
このワイルドな食べ方が、魚の美味さを最も引き出すんだと思うよ。
異世界での初バーベQに大満足して、俺たちは来た道を戻って学園に帰った。
帰りもやっぱり俺が先頭で、後ろの連中が遠慮なく魔法浴びせて倒しながら帰るという。
みんな、俺の扱いちょっと雑じゃない???




