第25話:野外授業はダンジョンで
「みんな揃ったな? それじゃ出発するぞ~」
担任のM本先生引率で、ゾロゾロ出かける生徒50名。
学園の周囲は深い森で、あちこちに地下へ続く洞窟があるという。
この森はちょっと変わってて、4つのエリアに分かれてる。
春・夏・秋・冬の季節がそれぞれ固定されていて、場所によって季節感がガラリと変わる。
今から向かうのは過ごしやすい気温の「春の森」。
「初参加もいるから、トラップの無い初級ダンジョンにしておくぞ」
と言うM本先生、洞窟の入口に着いたら初参加の俺を先頭にするのはなんでかな?!
「分かれ道になったら向かう通路を教えるから、どんどん進め」
「はぁ」
なんだかなぁと思いつつ、先頭を進む俺。
しばらく進むと、ゼリー状の動くモノがポヨンポヨン跳ねて来た。
ゲームでお馴染みのスライムだろうか?
「よーしイオ、そこで止まってろ。後ろのみんなは氷魔法準備!」
指示を出すM本先生。
…あ、何するか分かった。
ポヨンポヨン跳ねるスライムが俺を取り囲んだ。
普通の人ならタコ殴りにされるところだけど、まあ俺には当たらないワケで。
ポヨンポヨン、スカッ
ポヨンポーン、スカッ
ポポポポーン、スカッ
至近距離から体当たりしてくるのに、全く俺に当たらない。
「………」
ムキになって体当たりしてくるスライム群と、あ~はいはい好きにしな~って感じで無防備に立ってる俺。
初ダンジョン、初魔物遭遇なのに、全く緊迫感が無い。
その後ろで、氷魔法が使える生徒たちが杖の先に魔法を溜めていた。
俺の周囲はスライム祭り。
M本先生が、片手をサッと向けて攻撃合図を出すと、一斉に氷の刃が飛んでくる。
氷の刃がスライムに当たると、凍結が始まりスライムが次々に凍ってゆく。
あっという間に、その場に居たスライムが全て凍った。
俺の周囲に、冷凍スライムがゴロゴロ転がってる。
「イオ、それお前の異空間倉庫に入れとけ。帰ったらシャーベットにして皆で食おう」
先生に言われて、俺は周囲に転がってる冷凍スライムを全部収納した。
ゼリーみたいで美味そうと思ってたけど、食えるらしい。
「よーし、次行くぞ~」
と言いつつ、引率の先生は俺より後ろを歩く。
スライムを片付けて、俺たちは洞窟の奥へ向かった。




