第18話:学園内見学その7.動植物学部
「ここは植物や動物の事を学ぶ学部だよ」
次に案内してもらったのは、動植物学部。
我が社の女性陣が多いのは、異世界のモフモフ目当てか。
白いフサフサした仔犬がいると思ったら、神獣フェンリルの子供だってのにはビックリだけど。
フェンリルといえば創作の世界で人気のモフモフ、その実物と触れ合える幸せ。
白い仔犬の神獣は、構ってもらえるのが嬉しいのか、抱っこされながらシッポを振ってる。
神獣の威厳なんてカケラも無い、カワイイだけの生き物だ。
ここは、図書館に続いて俺の好きなジャンル。
そういや中学生の頃、自然科学部ってのに入ってたな。
臨海実習が楽しかったのを覚えてる。
夏休みに海辺の旅館に1週間泊まって、海のいきもの採集したよ。
俺は海の中に生えてた「アラメ」っていうコンブの仲間を引っこ抜いて持ち帰ったんだけど。
デカ過ぎて先生に「返してらっしゃい」って苦笑されたのはいい思い出?
そんな事を思い出しつつ様々な標本が並ぶ棚を眺めて回ってたら、モチが何やら凄いジーッと見てるモノがある。
「モチ、それ何?」
初めて見る、異世界のナニカ。
モチは何をそんなに真剣に見てるのか?
「…へ?! あっ、いや、なんでもない…」
ハッと我に返った様子のモチ。
なんでもないとか言う場合って大体なにかあるんだよね。
まあいいか、今はツッコまないでおこう。
モチが見てたモノは、ウニに似た生物。
でもウニみたいに硬そうなトゲじゃなく、ウネウネ動くそれはイソギンチャクっぽくも見えた。
異世界の生態系の、未知の生物。
カワイイとかカッコイイとか言うより、変な生き物図鑑に載りそうなヤツ。
モチはこういう怪し気なモノ大好きで、たまに漫画のネタにしてるから、興味をそそられたのかもしれない。
この怪し気な生き物が後に大活躍するんだけど、モチも俺もこの時はまだ想像すらしてなかった。