第15話:学園内見学その4.給食室
「あっちは給食室で、授業がある日はお昼に給食のおばちゃんたちが作った物を食べるの」
次に案内してもらったのは、生徒と教師たちの昼ゴハンを作る給食室。
料理学部も良い匂いだったけど、ここも胃袋に響く匂いが漂ってる。
「あら、モチとイオも起きたのね」
と声をかけてきたのは、給食室から出て来たF島主任だ。
「お疲れ様ですF島主任、もしかして給食のおば…ゲフンゲフン、おねえさんになったんですか?」
慌てて言い直すモチ。
F島主任はアラフォーだが未婚だ。
言葉には気を付けないといけない。
良い子のみんな、まだ結婚してない女の人は「おねえさん」と呼ぼうね。
「給食スタッフではないけど、今日は豚キムチが出るそうだからリクエストに来たのよ」
幸いF島さんは、モチが危うく言いかけた事には気付いてない様子。
何かゴキゲンで去って行った。
豚キムチか。
そういやF島さんは辛い物好きだったな。
「F島さんのクラス、今日は災難ね」
何故か苦笑するカジュちゃん。
何? 何? 気になるんだけど。
「「災難って何?」」
ハモった。
モチも気になるらしい。
「F島先生ってば激辛好きだから。給食でピリ辛系の料理が出る日は、自分のクラスだけ辛さUPリクエストするのよ」
という話を聞く限りは、少し辛くされるくらいかな?と思うかもしれない。
モチも俺もこの時はF島さんの辛さレベルを知らなかったから、そう思ったよ。
でも後に、F島さんの激辛料理を食べて、考えを改める事になった。