第13話:学園内見学その2.料理学部
「じゃ、次は料理学部ね」
カジュちゃんが次に案内してくれたのは、調理師を目指すという学部。
人気の学部らしく生徒数が多く、調理室も複数ある。
廊下を通ると、胃袋を魅了する良い匂いがする。
「「は…腹減った」」
まあ当然、ハモるよな。
モチと揃って近くの調理室を覗くと、肉じゃがっぽい物を器に盛り付けてるのが見えた。
いいな~アレ。
試食させてくれないかな?
羨ましく思いつつ調理室を眺めていたら、猫型獣人に混じって見覚えある女の子がいるのに気付いた。
髪や瞳の色は水色で洋風な顔になってるけど、あの見慣れた顔立ちは…
「リユちゃ~ん、お兄ちゃん起きて来たよ」
ってカジュちゃんが調理室のガラス窓開けて声かけたから、もう明らかだ。
俺と同じ会社、グッズ販売店で働いてた妹のリユ。
社内丸ごと異世界ツアーなら、来てても不思議じゃない。
料理好きだから、この学部にいるのも納得。
「おはよう~、肉じゃが食べる?」
って言った妹が天使に見えたのは、きっと空腹のせい。
「「いただきます!」」
そりゃあハモるよ。
モチも俺も、リユの料理が美味いの知ってるから。
調理室隣の試食ルー厶に入らせてもらって、絶妙な味付けに仕上がった肉じゃがを御馳走になった。
すき焼きに似た甘辛い煮汁の中に、豚肉とジャガイモ、彩りに緑の豆が入ってる。
芋は煮崩れしにくいメークイン系、もっちりした食感。
豚肉は短時間で仕上がりやすいように、バラ肉スライス使用だな。
お昼にはまだ早いけど、遠慮無く美味しく頂いたよ。
「ごちそうさま!美味しかったよ」
お腹が満足したところで、次の学部を見学に向かう。
「そういば先生いなかったけど、料理学部にも社員さんいるの?」
モチがカジュちゃんに聞いた。
確かに、調理室で教師らしき人いなかったな。
「何言ってるの、リユちゃんが先生に決まってるじゃない」
「「マジっすか?!」」
カジュちゃんの答えに、またハモるモチと俺なのだった。




