第10話:学園長と占いオババ
翌朝、モチと俺はカジュちゃんに連れられて学園長に会いに行った。
途中で通った校舎内は、ヨーロッパの古城をリフォームしたような上品な内装。
お城を買い取って学校にしたのかな?
学生寮はもしかしたら昔は騎士団の宿舎だったのかもしれない。
学園長は異世界人、どんな人かと思ったら…
…でっぷり太った二足歩行の三毛猫だった。
「よく来たニャ。僕は学園長のナジャ・アサケ。よろしくニャン」
「「よ、よろしくお願いします」」
毎度お馴染み、俺たちのハモりを、猫の学園長はニコニコしながら聞いている。
「さすがは双子、息が合うニャ」
「「えっ?! 双子?!」」
またハモる。
確かにこのシンクロ率を見てたら、双子と思われてもしょうがないかもしれない。
「占いオババが言ってたニャン」
「「占いオババ?!」」
「そこの通路の突き当りにいるから、会いに行ってみるといいニャン」
学園長に言われて、カジュちゃんも一緒に3人で通路の突き当りまで行ってみたら…いた。
占いオババは、ローブを着てフードを目深に被った白猫だった。
「待ってたニャ。私はジャミ・アサケ。占ってほしい事があればいつでもここに来るがいいニャン」
「「俺たちが双子ってどういう事?」」
「正しくは前世でこの世界に居た頃の双子ニャ」
俺たちのハモりに驚きも圧倒されもせず、猫のオババは説明してくれた。
「何故お前さんたち3人だけ髪の色や顔立ちが変わったのか、それは元々この世界の人間だったからニャン」
「3人なら双子じゃなくて三つ子じゃないの?」
カジュちゃんも初耳だったらしく、聞いてみている。
白猫オババは、アンティークな机に乗せた水晶玉に、過去を映し出して見せた。
そこには、今の俺たちに似た3人の子供たちが何か話してる様子が映っている。
「モチとイオが双子、カジュは2人の幼馴染だったニャ」
「そうなの? じゃあ私ヒロイン枠ね」
カジュちゃんはニコニコしながら1人納得してる。
でも俺は、オババが小声で「まぁ一応、ニャ」と言ったのを聞き逃さなかった。