チャンス
文章力足りなくてよくわからなかったらごめんなさい。
海砂が学校に来なくなってから、学年中が彼女の噂で持ちきりだった。
『きっと虐待を受けているんだ』
『あの傷はリストカットってやつ?』
『人気があったから誰かが妬んでいじめてたんじゃ…』
『今は病院にいるらしいよ』
『警察に保護されたんじゃないの?』
嘘か本当かもわからない噂話をみんなが信じていることに僕は呆れていた。
彼女の周りにいた女子たちが噂話に夢中になっていることに虫酸が走る。
誰も心配しているそぶりも見せない。
普通、友達なら彼女を心配して連絡をしたり噂が広まるのを止めたりするものじゃないのか。
そう考えて、初めて違和感を覚えた。
あんなに人気者だったのに、彼女を心配して気遣うような友達もいないし、彼女の傷に気付く友達もいなかった。
しかも、彼女は聞き上手でいろんな人から慕われ、自分の話をあまりしなかったからこそ不思議ちゃんキャラで有名だった。
それほど徹底してキャラづくりをして痣や傷と自分の素顔を隠していたんだろう。
そして『聞き上手な不思議ちゃんで可愛い海砂星空』がみんなは好きだった。
誰も彼女の素顔なんかに興味がなかった。
誰よりも人気者だった彼女が一番孤独だったのか。
そう思った瞬間、彼女と話したくなった。
『たまたま席が隣になったクラスメイト』の僕なんかじゃ嬉しくないかもしれないが、味方になりたかった。
でも、実際に連絡を取ることはなかった。
僕にとっても所詮、海砂は『たまたま席が隣になったかわいそうなクラスメイト』でしかなかった。
僕は、彼女の連絡先を知らないことを言い訳に『彼女を気に掛ける友達』にはなれなかった。
一週間後、僕が彼女のことについて消化不良なまま彼女の噂話はすっかりなくなり、話題は隣のクラスの細川さんと石田くんが付き合い始めたことにすり替わった。
中学生の噂なんてそんなものなんだろう。
でもやっぱり僕は彼女のことがきになったままで、ついに卒業するまで彼女のことを忘れられなかった。
そんな彼女に再会するなんて、神様は僕にもう一度チャンスをくれたのだろうか。
「叶くん、私のこと覚えてたんだね。やっぱりあれのせいかな…?」
「違うよ。ほら、僕たち隣の席だったじゃん。それに僕のことを叶くんって呼ぶの海砂くらいだよ」
僕はできるだけ明るく笑って返事をした。
「そっか…。たしかにみんな叶くんのこと苗字で呼んでたなあ」
「だから中学の時から海砂はすごく印象に残ってるよ」
「叶くんこそ、私のこと海砂って呼ぶの先生と叶くんくらいだよ」
なんとか話題をそらし、会話を弾ませることができた。
僕がほっと安心していると海砂は
「今日面接に来る高校生って叶くんのことでしょ?こっち来て」
と、厨房の裏まで案内してくれた。
相変わらず、海砂は肌を隠していた。
最後までお読みいただきありがとうございました。




